金融庁は25日、東京都から400億円の追加出資を受けて経営再建中の新銀行東京(本店・東京都新宿区)がずさんな融資審査をしていたとして、近く業務改善命令を出す方針を固めた。同庁は、融資審査を含む経営管理体制の甘さが貸出金の多額の焦げ付きにつながったとみている。元行員が絡んだ不正融資事件が発覚したこともあり、取締役会の機能強化など法令順守体制の整備も含めた内部管理の改革を求める。
新銀行東京は、石原慎太郎都知事が主導して設立、中小企業向けの無担保・無保証の融資を売り物にしてきた。しかし、融資実績の積み上げを優先するあまり、行員に融資ノルマを課したり、貸出先企業に対する経営調査などの融資審査がずさんだったりしたため、焦げ付きが膨らんだ。
今年10月には、企業の決算書類を返済能力があるように改ざんしたとして、警視庁が元行員や元暴力団組員ら8人を詐欺容疑で逮捕する不正融資事件も発覚するなど、経営管理体制の不備が浮き彫りになった。
金融庁は今年5月から同行に対する初の検査に着手。10月には数十億円規模の不良債権の追加処理を求めるとともに、取締役会の機能不全など経営体制の不備を指摘する検査結果を通知していた。【永井大介】
毎日新聞 2008年12月25日 20時17分(最終更新 12月25日 23時17分)