悩んだり苦しんだりしている人の声を電話で聴く活動を続けているNPO法人「東京自殺防止センター」(新宿区)は、元日と2日、24時間態勢の特別相談を実施する。不況による解雇など厳しい社会情勢のなか、正月に孤立感を募らせて自殺する人が出ないようにと緊急に決めた。(大井田ひろみ)
同センターは通常、午後8時から午前6時まで年中無休で無料相談を受け付けている。電話相談が中心だが、必要に応じて面接や手紙での相談にも応じる。相談を受けるのは、研修を受けたボランティアの相談員だ。年間自殺者数が初めて3万人を超えた98年に設立した。
普段はさびしさや孤独感を訴える電話が多い。しかし、この1カ月は、世界的な景気悪化による雇い止めや派遣切りを受け、「働く場所がなくなった」「年内で仕事を打ち切られる」「就職したくてもできない。将来がとても不安だ」といった声や借金の悩みが目立った。
「私だけひとりぼっち」「自分以外の人はみんな楽しそう」。24日のクリスマスイブにはそんな相談電話も寄せられたため、「多くの人が家族だんらんのときを過ごすお正月は、孤立した人にとってつらい気持ちが募りがち。なんとかできないか」と24時間電話相談の実施を決めた。
今回、元日と2日に24時間対応することで、31日午後8時から1月3日午前6時まで、続けて相談を受けることができるようになる。同センターは「電話を通してつながることで、自殺したいほどつらい気持ちを和らげてほしい」と話している。
電話番号は、通常と同じ(03・5286・9090)。