今年も残りわずかになった。一年を振り返ると、国内外で驚くようなニュースが多かったが、身近な生活レベルで最大のサプライズはガソリン価格の乱高下ではないか。
先日、岡山市内の給油所でガソリンを入れた。レギュラーは一リットルで九十円台だった。夏場には百八十円を超えていた。わずか数カ月で半値になろうとは予想もしなかった。
ここ数年、中国やインドなど新興国を中心にした需要の増加で、原油価格は上昇基調をたどっていた。昨年あたりから急速に跳ね上がったのは、世界的なカネ余り現象を背景に投機資金が大量に原油市場に流れ込んだためとされる。
ところが米国発の金融危機が表面化した今夏以降、原油需要は大量消費国の米国で落ち込んだ。中国やインドなどでも伸び悩み、投機資金離れも加わって一気に下落に転じた。
雑誌の月刊現代十二月号に、米国のカリスマ投資家といわれるジョージ・ソロス氏へのインタビューが掲載されている。ソロス氏は「アメリカの時代は終わった」と、米国の消費を原動力にした世界経済は大転換点を迎えていると指摘する。
痛みは感じるだろうが、エネルギーをあまり使わない生活様式に変わる必要があるとみる。来年はそういう社会に変革できるかどうか、世界が試される年になるかもしれない。