ジャンク箱をかきまわす
とりあえず壊れたスピーカーの代わりに、どうでもいいような実用スピーカーを作らなきゃならない。ジャンク箱を漁ってみたら、こんなのが出てきました。ツィーターは市販の安物パソコン用システムから外したモノで、フレームはプラスティックです。アルミプレスのカバーがかかっているので、見てくれはダイキャストのフレームみたいなんだがw これ、単体で売ってるようなシロモノではないんだが、もし売っていたとすると数百円程度です。
マグネットが二段になっているのは、防磁型だからです。キャンセル・マグネットと言うんだが、磁力が外部に漏れてパソコンやTVの画面に影響を与えないようになってます。振動系はドーム型だと思うんだが、カバーのせいでよく判らない。もちろん特性なんかまったく不明。
大きい方はフルレンジです。むかし、DIYの店で買った。一本2000円くらいか? これも特性はよく判らない。能率は88dBというので「相場」ではある。ツィーターの能率といい勝負だと思うので、これならアッティネーター(ツィーターの能率を落とす、一種のボリューム)なしで繋がります。鉄板プレスのチャチいフレームなんだが、幸いな事にエッジが布製なので経年変化による支障はありません。口径12cmのペーパーコーン、中央部がアルミセンターキャップなので、中高域がきれいに出ます。多分。低音は、普通の発想ではほとんど出ません。そういうモノなので仕方ないです。箱はやはり自作の内容積10リットルほどの合板製で、壁紙が貼ってある。もともと12cmとツィーターがついていたので、穴があいてます。ダクトの計算もへったくれもないんだが、この手のフルレンジは特性はどれも似たり寄ったりだし、おいらの作るバスレフはどれもダクトのチューニングは低めなので、物理的に入りさえすればダイジョウブだろう。
長いことスピーカーいじってると、ユニット見ただけで、特性とか素性とか、ある程度は見当がつくわけだ。12cmのフルレンジと言っても、ウーファーに近いモノとか、明るく賑やかに鳴りっぷりの良いタイプとか、コーン紙の造りを見れば見当つく。低域はどう頑張っても望み薄なんだが、中高域はほっといても出ます。わざわざツィーター付ける必要ないようなもんだが、箱にはすでに穴が空いてるので仕方ないです。つうか、ツィーターに高域を分担させてやれば、それだけ高域の「質」は向上します。ツィーターの効き具合は、ネットワークのコンデンサー量で加減すれば良い。コレに関しては試聴しながら決める、と、そんなところです。
一時間ほどで完成。まっすぐ付けると、フルレンジとツィーターが当たるので45度傾けてあります。音出ししてみると予想通りで、低音はまったく不足。中域から高域にかけてはニギヤカです。ドラムのハイハットなんぞが、シャリつく。ツィーターのせいじゃないです。コンデンサーは0.68と最小のものを使っているので、ツィーターはほとんど効いてない。フルレンジの癖だな。
もともと12cmのフルレンジ・スピーカーなんてモノは、PA用として設計されているわけだ。PAとは何かというと「パブリック・オーディエンス」で、告知用なわけだ。人間のしゃべってる「声」がシッカリ聞き取れるようになっている。なので、どうしてもそういう音になるわけだ。というか、そういう音に「作っている」わけです。それでも、おいらのリファレンスはビリー・ホリディとコルトレーンなので、ギョッとするほど生々しくていいです。新品のユニットはどうしてもニギヤカな音になるので、使っていれば多少は大人しくなるかも知れず、また、アンプにはトーンコントロールというモノがついているので、低音をブーストしてやると結構使い物になる。
とはいえ、こんな、拾ってきたようなスピーカーで、左右両チャンネルで一万円もしないようなシステム使い続けるのは真っ平なので、自分では使いません。店番の女の子が自分の好きなCDを自分で聞くためのスピーカーなので、とっとと店に出します。ただ、一万円程度で、スピーカーシステムが作れるという事、聞くモノによってはそれでも十分に満足出来る、という事を書きたいだけです。で、最後に現行ではどんなユニットが面白そうか、12~3cmのフルレンジ・ユニットに絞ってあげておきます。みんな、低音不足で高域の質があまり良くないユニットなんだが、比較的能率が良くて、自作スピーカーの面白さを教えてくれるユニットです。
エレクトロボイス 205-8A 3,180円 ヒノオーディオ扱い
12cmシングルコーン 90~18k 91dB
コレ、昔はJBLブランドで出ていたユニットにそっくりなんだがね。だとすると、低音不足で高域も出ない、スコーカーみたいな音です。スーパーウーファー付けて、ホーンツィーター付けると、安くて強烈なシステムが出来ます。安いので、いっそ片チャンネル4本シリパラで使ったりするとパワーも入るし、カッコいいです。
エルシー電機 LC-12S 10,290円 コイズミ無線扱い
【13㎝フルレンジスピーカー】
インピーダンス…………8?
再生周波数帯域…………75~20kHz
最大入力…………………50W(Mus)
出力音圧レベル…………90dB/W/m
マグネットサイズ………?90×15mm
バッフル開口径…………122㎜
総重量……………………1kg
ボーカル、弦楽器を美しく再生する国産ユニット。優しい音色で、ツヤと張りのある音質を奏でます。・・・と、書いてあるね。エルシー電機というのは歴史の古いPA用スピーカーの会社なので、基本的にはPA用です。やはり低音は出ないので工夫が必要。ツィーターなんか付けないで、箱で工夫して一本で行きたい。
FOSTEX FE126E 3,890円 コイズミ無線扱い
【12cmコーン型フルレンジ】
インピーダンス……8?
再生周波数帯域……70Hz~25kHz
出力音圧レベル……93dB
Qo/mo ………………0.25/2.9g
入力…………………45W
バッフル開口径……104?mm
重量…………………1.0kg
FEシリーズというのは、おいらがスピーカーいじりはじめた頃から定番として存在しているんだが、やはり低音不足で元気の良い音です。PAでは元気の良い音でないと遠くまで通らないです。しかもコレはマグネットを強化したバックロードホーン用なので、ますます低音不足。スーパーウーファーなしのバスレフで音をまとめるのは結構難しいですね。
ダイトーボイス FW130G51 1,300円 コイズミ無線扱い
【13cm ポリプロピレン・フルレンジ】
ダブルコーンタイプ
PPコーン
ゴムエッジ
インピーダンス……4?
最低共振周波数……90Hz
再生周波数帯域……fo~20kHz
出力音圧レベル……85dB
入力…………………20W/60W
バッフル開口径……123mm?
重量…………………525g
このユニットだけは、他のモノと設計思想が違います。PA用ではなく、完全なピュアオーディオ用です。分割振動しにくいポリプロピレンのコーンにゴムエッジで、しかも能率が低い。磁気回路があまり強力ではなさそうなんだが、案外、音のまとまりは悪くないかも知れない。今度、使ってみます。つうか、とりあえず1300円というのは安いね。
レディ・イン・サテン+4 価格:¥ 1,995(税込) 発売日:2000-11-22 |
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