典型的な素人さんのタクシー批判

■タクシー乗務員の待遇改善は需給調整ではなく最低賃金法の厳格運用で
地方のタクシー運転手の実入りとかを聞くと、下手をするとコンビニのアルバイトより酷く驚く。しかし乗務員の待遇改善が必要であれば最低賃金を引き上げれば良い。問題の発端は水揚げの減少を増車で補って乗務員の待遇を犠牲にした、タクシー事業者の刹那的な経営判断ではないか。


 トラックバックがあったので読んでみたらこれです。タクシーに対する素人さんの典型的な批判です。FAQのつもりでエントリーを立てます。

 楠正憲さん。流し営業地域で「水揚げの減少を増車で補える状態」に業界を置いたら、みんな増車するんですよ。典型的な囚人のジレンマが発生しますから。同業他社が減車しようと増車しようと、自社が増車した方が得になるゲームのルールが成立してしまうことに気づきませんか? これが公道で営業するタクシーの宿命です。

 従って最善の解決策は「水揚げの減少を増車で補えない状態」に業界を置くことなんですよ。だから世界中のほとんどの大都市がタクシーの車両数に制限をかけています。

 自由経済の牙城であるNY市も例外ではありません。日本を含め全世界に規制緩和を主張していた彼らも、タクシーを自由化したらウォール街がタクシーで埋め尽くされ運転手の質が低下するのが目に見えてますから、お膝元では自由化しなかったんですね。

 規制改革会議が主張して日本で実現した「参入・増車自由」は、論理的に必ず失敗する政策です。実際に失敗しました。間違ったことを主張した人間が責任を取ることもなくまだ委員として残っていることが異常です。内閣府の知能(もしくは志)の低さが分かります。

 あなたの言うように最賃で取り締まったら最賃スレスレに収斂するだけです。取り締まりコストばっかりかかって碌な結果にはなりません。

 タクシーの内外価格差も、2キロの場合と5キロの場合で全く違うことをご存知ないようですね。ポンドが下落したので今は違いますが、一時期、東京のタクシーの初乗り運賃はロンドンの地下鉄の最短区間運賃より安かったって、知ってますか?

 何も知らないくせに分かった風なことをしゃべるなとは言いませんが、まあ、もう少し調べてからものを言ってくださいな。知らないなら知らないなりに、断定的な物言いを避けるとか、中の人間に対する最低限の礼儀ってものがあるでしょう。

 奥様が陣痛のときに世田谷で配車してくれなかったという記述があります。どこに電話したのかよく分からないので何とも言えませんが、「どこに電話したらいいのか分からない」ということ自体が問題ありだと思います。タク懇でまとめた構造改善計画の「流しルート制度」はこのあたりの問題を解決しようとしたものです。東旅協は今回は見送ってしまいましたが、これは業界としてやるべきだと思いますし、行政としてやらせるべきだと思います。それが公共交通機関ってものです。
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