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【国循の不同意治験】焦点は同意書立ち会いの治験コーディネーター (1/2ページ)
国立循環器病センター(大阪府吹田市)で、患者側の同意を得ないで未承認の補助人工心臓の臨床試験(治験)が継続されていた問題で、厚生労働省は来年1月にも第3者委員会による調査を決めた。焦点は、意識不明の患者男性=当時(18)の母親が「理解(納得)することはできません」と記した同意書だ。センター側は「問題ない」としているが専門家らも「ありえない」と疑問視。同意書を取り交わす場面で立ち会う治験コーディネーターが、かぎになりそうだ。
専門家も疑問
患者は、心臓移植しか助かる道がないとされる拡張型心筋症で、平成19年春にセンターで、治験の同意書に本人がサインし、未承認の補助人工心臓を埋め込む手術を受けた。だが、術後約2週間で容体が急変し、意識不明に。母親は治験継続に納得できず、20年2月、同意書に「理解(納得)することはできません。でも生命維持するためには、治験に参加するほかないでしょ?」と記した。男性は同年春、意識不明のまま死亡した。
同センターの友池仁暢病院長は「この同意書で継続の同意を得たと判断した」。これに対し、国の「臨床研究の倫理指針に関する専門委員会」の委員を務めた神戸大の丸山英二教授は「『理解できません』と書かれたものは通常、同意書に値しない」とした上で、センターの手続きに「倫理的な問題があったと思われても不思議ではない」と疑問を投げかけている。