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【千葉】ちばニュース2008<5>銚子市立総合病院が休止 再開へ 行方は不透明2008年12月30日
「逼迫(ひっぱく)した財政の中、休止というつらい決断をしなければならなくなった」。銚子市立総合病院が五十八年の歴史に終止符を打った九月三十日。岡野俊昭市長(62)は病院職員を前にした最後のあいさつで言葉を絞り出した。 自治体病院の休止という衝撃は全国を駆け巡り、病院には報道陣が詰め掛けた。「なぜ防げなかったのか」。記者からの質問に岡野市長は「医師不足が原因。もう一つは市の財政難。あらゆるところから金を集めて投入したが、これ以上金はない」と強調した。 同病院は一九五〇年、市立診療所として開設。その後、総合病院となり地域の医療を支えた。 しかし、国が二〇〇四年に導入した新臨床研修制度の影響で、医師不足が深刻化。職員の給与カットなど合理化を試みたものの、医師数減による収益の落ち込みを補うことはできなかったという。 援助を続けてきた市も財政は厳しい。「これ以上支援は無理」として、再開のめどが立たないまま休止が決まった。 休止から約二カ月半。市は市立病院を効率的な運営ができる「公設民営」で再開する方針を決め、今月から、市に代わって運営する「指定管理者」の募集を始めた。だが、二十六日時点で応募はない。締め切りは来年一月。市が目指す同四月の再開は極めて厳しいとみられる。 休止のショックは、岡野市長のリコール(解職請求)運動に発展した。運動を進めた市民団体は本請求に必要な数を超える約二万六千人分の署名を集め、今月二十六日、市選挙管理委員会に提出。選管の審査が通れば、住民投票で解職の賛否が問われることになる。 リコール運動の結果がどうなるか、病院は再開できるのか、行方は不透明だ。ただ、「病院を存続したい」という思いでは行政側も市民側も一致している。病院の再開に向け、どのような道のりを歩むのか結論はまだ出ていない。 ◇ ◇ 今年は県による救急医療体制の強化が進められた。 県は二月、県内二機目のドクターヘリの導入を発表。基地病院の選定が進められ、君津中央病院に導入されることが決まった。 これまで県南部で三十分程度かかっていた現場到着時間が短縮され、県内全域を十五−二十分でカバーすることが可能になるという。来年一月に式典が開かれ、運航が始まる。 (宮崎仁美)
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