育児と仕事の両立を目的に企業が定める「一般事業主行動計画」で、県は策定を義務付
ける従業員数の基準を、現行の百人以上から五十人以上に引き下げる方針を固めた。国は
二〇一一(平成二十三)年度から雇用が百一人以上の企業に計画策定を義務付けるが、県
は条例改正により全国に先駆けてさらに対象を拡大。計画の内容充実も図り、社会全体で
育児を支援する機運の醸成につなげる。
行動計画は国の次世代育成支援対策推進法に基づき、現在は従業員三百一人以上の企業
に策定を義務付け、三百人以下の企業は努力義務としている。
「子育て推進県」を掲げる県は、昨年施行した「いしかわ子ども総合条例」で独自に従
業員百人以上を策定義務の対象に指定した。県によると、これまで三百一人以上の百十九
社、百人以上三百人以下の三百二十社を含む約千社が計画を策定。策定率は全国一位の約
六%におよび、全国平均の約1・6%を大きく上回っている。
ただ、中小企業の比率が高い県内では、総従業員数の約四割しか計画策定の「恩恵」を
受けず、県は五十人以上を雇用する企業に対しても一一年度から努力義務、一三年度から
義務化する。
国は行動計画について▽出産時の父親の休暇取得推進▽事業所内託児施設の設置▽子ど
もの職場見学―などの取り組みを例示しているが、「企業の計画の内容にはばらつきがみ
られる」(子ども政策課)状況。このため、県は来年度にいしかわ子ども総合条例を改正
し、計画の内容充実について努力規定を明示する。計画内容の公表も段階的に義務化し、
育児支援の取り組みの浸透を図りたい考えである。
県は計画策定の推進へ、来年二月にシンポジウムを初開催する予定で、「人材確保や仕
事の効率向上など企業側にもメリットがあることを地道に周知していきたい」(同課)と
している。