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2008-12-30

[]re:女装子の嫁


女装子の嫁を書いたモトマスダさん、こんにちは

あなたのエントリを読んで思ったことを書いてみたいと思います。


私の旦那は女装子です。

そのことは結婚前から知っていました。いや、正確に言うと、知らなかったけど違和感がありませんでした。もともと顔立ちがたいへん可愛らしく、背もそれほど高くない華奢な骨格。私服スカートこそはかないもののとてもユニセックスで、実際女性に間違われることも日常茶飯事でした。

女装子の嫁

私は女装経験があります。自分で言うのもアレですが似合わないこと山の如しでしたw

女装が似合うかどうかを左右するのは骨格ですよね。顔は余程じゃない限りどうにでもなる。

女装が似合う骨格って私的には羨ましいなあ、と思うのですが。


ようやく気づいたのです。結婚とは、「父」と「母」になる可能性をもたらすものなのだと。最初から「子供は要らない」と明確な意図がある場合は別として、自分と共に「父」となってくれる人を伴侶として選ばなければいけないのだということを。

婚姻という行為が「人の親」になる可能性を孕んでいるのは事実ではありますが、必ずしも「父」と「母」でなければならない、とも限らないですよね。「父親同士」「母親同士」「父か母、どちらか片方」「父も母も知らない子」様々な可能性があります。親、という視点から見れば最後のパターンだけは存在しませんが、それ以外は十分にありえます。そのどれをも否定するべきではありませんが、同時にモトマスダさんが『結婚とは、「父」と「母」になる可能性をもたらすもの』だという価値観をお持ちであることに結婚後にお気づきになられたのはそれはそれで仕方の無いことなのかな、とも思います。


私の中の「父」のイメージは、男らしく、いざという時に身体を張って妻と子供を守れる強さを持った人。子育てによってその強さを得るのでしょうが、可愛らしい妹であり娘である彼は、あまりにそのイメージからかけ離れていました。

自分があまりにも典型的な「男親」を求めていることにショックを受けましたが、気づいてしまって以来、彼との将来を考えることができなくなりました。彼の長所であった女性らしさがすべて、伴侶としての欠点にしか見えなくなってしまいました。

モトマスダさんがお考えになる「男親」というのが典型的なのはモトマスダさんの価値観ですからどうすることも出来ないと思います。

ですが不思議なのは、モトマスダさんの旦那さんというのは「女性に間違われる」こともある、とは言ってもそれは外見だけの話ではないのでしょうか。私はそこが不思議でならないのです。

女性的な外見を持っている男性というのは「男親」になることは出来ないのでしょうか?

いえ、勿論そうしたことに対して十分話しあいをしたり、書かれていない事も沢山おありになられるのは想像に難くないのですが、モトマスダさんの旦那さんが果たして本当に「男親」にふさわしくない存在であるのか、というのが些か疑問なんですよね。


冒頭にも書きましたように私は趣味で女装をしていました。その関係上、沢山の女装趣味の人を見てきましたし、ゲイビアンの人とも交流を深めてきました。

その結果から言えることは「女装が似合っているからと言って必ずしも心が女というわけではない」という至極当たり前の結論だったのです。


「女は作られる」とは昔の偉い人の言葉ですが、男が女の格好をして「女らしい」仕草をしたところで社会は男を女性として受け入れるわけではありません。

服飾も化粧も記号としての意味を所有しているように見えるのに「似合う、似合わない」という第三者的判断によって峻別をし残酷なまでの判断をそこに下すこともあります。

私はどう見ても女の格好なんか似合わないだろう、と思うほどのごつい体格をしているにも拘わらず、そっと触れただけで壊れてしまうような儚い乙女心を持っている人を知っています。反面、メンズの服を着ていてすっぴんなのに女の子にしか見えない人なのに「漢と書いておとこと読むっ」な人も知っています。なんというか人それぞれって感じなんですよね。


社会的ジェンダー規範としての「らしさ」というのは一種の牢獄で、自分がどうありたいか、ということではなく、第三者が「お前は○○らしく振る舞え」という態度である、と私は認識しています。女装の似合わない男が幾ら女の格好をし、女のように振る舞っても女として受け入れられない要因はそこに存在しますし、望むと望まないとに関わらず産まれてきた性別によって性別による振る舞いを強要される局面が存在するのも、自己の意志とは無関係な第三者の要請によって「作られる」ものであります。


モトマスダさんの旦那さんは、可愛らしい人なのでしょう。ですがそれは外見だけなのでは?と思います。少なくとも私はモトマスダさんの文章からそう読み取りました。もしかしたら旦那さんは性同一性障害なのかもしれませんが、そうでなくて単純に女装が似合う可愛らしい外見を持っているだけに過ぎなくて「男親」として、いいえ「親」として十分にお子さんをモトマスダさんと育てていく事は出来るのではないでしょうか。


勿論、モトマスダさんの文章には「書かれていないこと」も沢山あるでしょうし、あなた達ご夫婦のことはご夫婦でお決めになられる以外にない。別に相談をしたくて書いたわけではなく、自分の心の中に溜まっていたものを吐き出したくてお書きになられたのだ、とも思います。

ですから、このエントリもモトマスダさんへのアドバイスではなく、私がモトマスダさんの文章を読んでの私なりの感想です。

身体というのは心の入れ物だけれども、身体という心の入れ物だけを見て心がどのようであるのかを決めてしまっているのだとしたら、少し悲しいことだな、と思って文章を書きました。<違っていたならごめんなさいね


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ゲスト


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