写真1●北海道グリーンエナジーデータセンター研究会に参加する室蘭工業大学が製作した雪冷房の実験機
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ITベンダーや大学などが研究・開発を進めている、低温の外気や雪を利用してエネルギー効率を高めるデータセンター設備のこと。NTTコミュニケーションズ、富士通、リコーなどと、室蘭工業大学などが2008年6月に設立した「北海道グリーンエナジーデータセンター研究会」が構想を練っており、2011年の建設を目指している。すでに実験機などを制作している(写真1)。
米インテルなどの調査で、データセンターにおける消費電力の約4割を冷却用の設備が占めるとの結果が明らかにされている。省エネ型ハードウエアの採用やサーバー統合による台数削減だけでなく、冷却装置の消費電力を減らすことも、データセンター全体の省エネには有効な手立てとなる。
ホワイトデータセンターでは電気で駆動する冷却装置を使わず、三つの方式で空気を冷やす構想だ。一つめは「外気冷房」。冬など外気温度が低い時期に、外気をそのままデータセンター内に取り込んでサーバーに供給し、プロセサやハードディスクの冷却に使う。
二つめが「フリークーリング」。外気を利用する点は同じだが、いったん水を冷やすことに使い、その冷水でサーバーを冷却する方式だ。
三つめは「雪冷熱エネルギー」。雪を使って空気の温度を下げてサーバーに供給する。具体的には冬期のうちに、雪を貯雪庫と呼ぶ設備に蓄積。そこに空気を流し込むことで温度を下げる。
「雪冷房」と呼ばれ、ビルの空調などですでに実績があるという。08年7月に開催された北海道洞爺湖サミットでも、一部の設備で使用されていた(関連記事:データセンターを雪で冷やす構想,その萌芽がサミット会場に)。
写真2●室蘭工業大学が作ったホワイトデータセンターの模型では、データセンターの隣に農地がある
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北海道グリーンエナジーデータセンター研究会の試算では、東京でデータセンターを開設する場合と比較すると、外気冷房やフリークーリングだけで約7割、雪冷熱エネルギーを加えた3方式を併用すると9割以上、空調の消費電力を削減できるという。
また排熱については、ビニールハウスの暖房などに流用する構想もあるという。隣接地に農地を作り、無駄なくエネルギーを使うことを目指す(写真2)