大手ゼネコン「鹿島」(本社・東京都港区)などが、キヤノン(本社・同大田区)から請け負った工事を舞台に、少なくとも十数億円の裏金をつくっていたことが関係者の話で分かった。大阪市のコンサルタント会社社長(61)が関係するグループ会社が裏金の受け皿で、このグループから計30億円前後が現金で引き出されていたことも判明。裏金の総額がさらに増える可能性が高い。工事受注のための工作費に使われたとみられている。
裏金づくりの舞台は、キヤノンのプリンター関係の工場、研究施設の本体工事や土地の造成工事に絡むもの。最初に受注した鹿島は実際に工事を行う一方、様々な会社や業者、共同企業体(JV)などに工事を下請けに出し、最終的には大阪市のコンサルタント会社社長が関係するグループ会社が請け負う「裏金ルート」をつくっていた。ところが国税当局の調査などで、このグループ会社は工事をしておらず、外注費は架空だったことが判明した。
帳簿などで裏付けられた裏金は十数億円で、この裏金づくりの工事ではグループ会社の2社が最終的な請負会社になっていた。グループの別の2社も、各地のキヤノンの大規模工事で下請けに入っていたがいずれも工事はしておらず、これらも裏金づくりのルートとして利用されていた可能性が高い。
グループ会社の口座からは05年から06年にかけて計30億円前後が現金で引き出されていた。このうち1社は出金後の07年6月に倒産した。
業界関係者は社長について「暴力団など裏社会に顔が利き、ゼネコンなどの裏金づくりの際に支払先を装う役回りをする人物として有名だ」と話す。社長は朝日新聞の取材に対し、「話すことは何もない」と話している。