現代以上に暖かい時代でも解けずに残った太古の永久凍土が、カナダ北部で見つかった。北極圏に広がる永久凍土は地球温暖化で解けると、大量の二酸化炭素が放出され悪影響が心配されている。暖かな時代でも解けない凍土が存在することは、温暖化に伴う影響評価の見直しにつながる可能性があるという。
発見したのはカナダ・アルバータ大の研究チーム。米アラスカ州に近い地域で、この周辺は半分以上が永久凍土に覆われ、氷の厚さは数十メートルに及ぶ。研究チームは7年前、この永久凍土を見つけた。今回、凍土に含まれていた火山灰を放射性年代法で測定し、約74万年前にできたことを突き止めた。
地球の気候は、気温が高い間氷期を約10万年間隔で繰り返している。特に、約12万年前の間氷期は今より気温が数度も高く、海面水位も8メートル高かったとされる。研究チームは「永久凍土は海氷や氷河に比べて、想像以上に解けにくい。温暖化影響を無視できることにはならないが、将来の気候変動の予測精度を向上させるため、さらに調査が必要だ」としている。
▽福田正己・米アラスカ大教授(雪氷学)の話 温暖化で北極圏の永久凍土が解け、建物崩壊などの影響が懸念されている。しかし、アラスカでの観測では予想以上に解けていない。今回の発見を踏まえ、影響評価の精度を高めることが求められる。【田中泰義】
毎日新聞 2008年12月30日 2時30分(最終更新 12月30日 2時30分)
12月30日 | 永久凍土:74万年解けず 温暖化論争に一石 |