三越、英国一等地進出拒絶される 78年、背景に日本人差別か【ロンドン30日共同】百貨店大手三越が1978年、欧州旗艦店としてロンドンの超一等地、ピカデリー街への進出を図った際、推進したヒース元英首相ら英政府のロビー活動にもかかわらず、計画場所の有名マンション「オールバニー」の住民に拒絶されたことが、英公文書館が30日公開した外交文書で分かった。 住民側は反対理由を明示しなかったが、英外務省極東課から同年5月12日付でコータッチ外務次官補(当時)に送られた文書などによると、三越の岡田茂社長(同)は「日本人に対する人種差別だ」と考えていた。日本がエコノミックアニマルとやゆされた時代の世論が反映している可能性もありそうだ。 政財界の著名人が多数住むオールバニーの建物の一角に当時、空きができ、このスペースのオーナーも三越出店には異論はなかった。 住民の1人で日本大使経験者のフレッド・ワーナー氏は住民側団体に「(英国の)ハロッズに相当する日本の最高級百貨店」「岡田氏は私の良い友人」と説得。74年まで英首相を務めたヒース氏も、同団体に手紙を書くと確約したという。 しかしロビー活動は結局実を結ばず、ロンドン三越はその後、やや離れた場所で79年開業。三越の広報担当は「当時を知る者がいない。社史にも載っていない」として、出店の経緯についてコメントしていない。
【共同通信】
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