「モンスターペイシェント」対処マニュアル策定へ 阿南共栄病院 2008/12/30 11:03
阿南共栄病院(阿南市羽ノ浦町)が、医師や看護師に不当な要求をする患者「モンスターペイシェント」の対策に乗り出した。警察から講師を招いて講習会を開催。一月には、病院としての対処法をまとめたマニュアルを策定する。
講習会には、医師や看護師約百五十人が出席した。県警組織犯罪対策課の捜査員がモンスターペイシェントに扮(ふん)し不当要求の場面を実演。個人では対処せず、病院の代表として複数で応対し、会話の内容も記録しておく、といった対策のポイントをアドバイスした。
病院は近く専門の委員会を設け、医師や看護師から過去に起きたトラブルを聴取。最適な対処法を検討し、講習会の内容とともに、マニュアルに記すことにしている。
共栄病院でも近年、院内で大声を上げたり、威圧的な態度でクレームをつけて治療費の支払いを拒んだりする不当要求が増加。集計はしていないものの、こうしたトラブルは「大なり小なり、ほぼ毎日ある」(ベテラン看護師)と言う。
これまでは対処指針がなかったため、医師や看護師が個別に応対していた。しかし、このままでは個人の負担が大きすぎ、他の患者の治療にも影響が出るとし、現場からマニュアル策定を求める声が上がっていた。
ある内科医は「モンスターペイシェントといえど患者。どうしても気をつかう。今のままでは神経がすり減ってしまいかねない」と深刻な実情を語った。【写真説明】モンスターペイシェントに扮した警察官を相手に応対の練習をする医師ら=阿南市の阿南共栄病院