県内ニュース

仲間が男性発見も悪天候で救助断念 朝日・大朝日岳滑落

2008年12月30日 08:00
 朝日町の大朝日岳ガンガラ沢で28日、埼玉県蕨市中央1丁目、法務省職員矢本和彦さん(42)が滑落し行方不明になった事故で、一緒に登っていた仲間が29日午後3時50分ごろ、矢本さんを発見したと朝日町役場の現地対策本部に連絡した。悪天候のため、仲間は救助活動をあきらめて大朝日小屋に避難した。寒河江署は矢本さんの安否確認を急ぐとともに、朝日町山岳遭難救助隊などと30日、県警ヘリ「がっさん」などで捜索する予定。

 同署などによると、仲間3人が29日、矢本さんが携行していたビーコンの信号情報などを手掛かりに捜索。同日午後1時55分ごろ、雪に埋もれた矢本さんを発見し「遺体を確認した」という内容の携帯電話電子メールを対策本部などに送信した。発見現場はガンガラ沢尾根の銀玉水から約400メートル下った付近だという。県警ヘリも29日の午前と午後、捜索を行ったが強風などの影響で発見できなかった。

 矢本さんら一行は東京都内の山岳会「わらじの仲間」に所属。同会メンバーが29日に現地入りし、30日に3人と合流して下山をサポートする予定。メールを受け取った同会員の岡村一彦さん(48)=東京都=は「残念としかいえない」と語った。

下山する仲間のサポートに向かう山岳会「わらじの仲間」のメンバーら=西川町大井沢
下山する仲間のサポートに向かう山岳会「わらじの仲間」のメンバーら=西川町大井沢
 調べでは、矢本さんら4人は27日に入山。西川町大井沢側から朝日連峰に入り、31日に下山する予定だったという。小朝日岳−大朝日岳間を歩行中の28日午後4時ごろ、矢本さんが強風にあおられてガンガラ沢側に転落した。ほかの3人は大朝日小屋近くで雪洞を掘ってビバークした。

 県警地域課によると、朝日連峰で過去に発生した冬山登山事故では、単独登山した男性が1997年1月、吹雪で足止めされ救助されたほか、2003年1月には福島県のパーティーメンバーの1人が腹痛を訴え、ヘリで収容。朝日連峰の冬山は気象条件の厳しさなどから、十分な装備や余裕を持った登山計画、豊富な冬山経験など登山上級者でなければ困難だとされている。

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大
■ニュース特集
■山形新聞から
■広告企画
■販売から