ホンダの福井威夫社長は19日、日本経済新聞社の記者らの取材に応じ「現在の円高水準が続くと来期(2010年3月期)には正社員の削減もありうる」と述べ、為替相場が1ドル=90円前後で推移し続けると一段のリストラに踏み込む意向を示した。海外にさらに生産をシフトすることも検討する。来期の赤字転落を防ぐため「聖域を設けずリストラに取り組む」という。
ホンダは世界的な自動車販売減と急速な円高の進行で業績が悪化。08年度下期(08年10月―09年3月)の連結営業損益が1900億円の赤字に転落する見通し。業績悪化に歯止めをかけるため新工場や研究所の稼働時期を延期するなど事業戦略の大幅見直しに着手している。
福井社長は同日の取材で「1ドル=80円台は異常な水準で、100円台に戻ると思う」と述べた上で、仮に来期以降も現在の円高水準が定着すると、11月末時点で約4500人いる期間従業員が「限りなくゼロに近づく」との考えを示した。雇用確保で最重要視していた既存正社員についても「削減がありうる」と語った。(19日 23:43)