年末年始はウォン安の韓国でグルメ三昧という人たちには、イヤ〜な話だ。韓国保健福祉家族省などは、一向になくならない飲食店の食べ残しの使い回しを根絶するため、罰則強化や撲滅運動に取り組むことを決めた。
実際、韓国の“使い回し事情”はすさまじい。KBSテレビが独自に調査したところ、実に80%の飲食店が使い回しをしていたというから、やっていない店のほうが珍しいのだ。
客はどんな食べ残しを食わされているのか。一番多いのが「パンチャン」。韓国の飲食店では客が注文したメニューとは別に、キムチや塩辛、和え物、ナムル、韓国ノリなど数種類のおかずがタダでサービスされる。これがパンチャンで、店側は「ケチな店」と思われたくないので山盛りで出す。当然、大量の食べ残しが出るが、いちいち捨てていたら商売にならない。盛り直して次の客に出す店がほとんどというわけだ。そのまま出さなくても、キムチチゲの具や炒め物に使われたりする。日刊ゲンダイ本紙の好評連載「チューボーの裏」(12月13日付で終了)の筆者・吾妻博勝氏(ジャーナリスト)はこう言う。
「ソウルはいま“回転寿司ブーム”なのですが、この秋に韓国のテレビ局が取材に来ました。回転寿司でも使い回しやネタ偽装がひどいので、その手口や見分け方を教えてほしいというのです。生ものの寿司ですらこうなのですから、他は推して知るべしですよ。また、韓国の友人は焼き肉は高級店ほど使い回しが多いと言ってました。高級店に来る客は気前良くバンバン注文するので、食べ残しがたくさん出るだけでなく、大衆店のように肉をたれに漬けて出しませんから、残ったら盛り直してそのまま使えるんだそうです」
年末年始旅行で食べ残しを食わされない知恵はないのか。最近はパンチャンを注文制にして、食べたいものを必要な量だけ出したり、客が食べ残しを備え付けのポリバケツに捨てるシステムの店が登場している。店頭に「再利用しない」というステッカーを張ることも検討されているという。こうした店なら、使い回しは少ないはずだ。
ただ、いまのところ、一流ホテルの店でもない限り、ある程度の使い回しは覚悟したほうがいい。まぁ、病気になるわけではないしナ……。
(日刊ゲンダイ2008年12月26日掲載)