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空を見上げて

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「頂点へ」成長願って曲選び

フィギュアスケート振付師 樋口美穂子さん 39

 「年間に作るのは約70曲。街角で耳にした曲がお弟子さんに合いそうだと思ったら、すぐに曲名を調べます」


ジュニアGPファイナルショートプログラムで2位なった村上選手を抱きしめる樋口さん(11日、韓国・高陽で=尾賀聡撮影)

 韓国で今月行われたフィギュアスケートのジュニアグランプリ(GP)ファイナルで、演技を終えたまな弟子の村上佳菜子選手(14)を抱きしめた。喜劇王チャプリンの映画音楽をバックに、パントマイムの動きを取り入れた独創的な振り付けは、村上選手のかれんでコミカルな個性とマッチし、国際審判員の高い評価を受けた。

 世界女王の浅田真央選手(18)らを育てた山田満知子コーチ(65)率いるフィギュアの名門「グランプリ東海クラブ」で、クラブ員の振り付けを担当。本格的な振付師の草分けとして、数多くの選手を支えている。

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 「ジャンプで転ぶより、曲のリズムに乗れなかった時の方が悔しかった」。選手時代は、正確なエッジワークと優れた表現力で、全日本選手権の舞台を何度も踏んだ。20歳で引退した後、山田コーチのアシスタントに。豊かな感性が認められ、90年代半ばからは、振り付けを任されるようになった。

 曲が同じでも、同じ振り付けは一つとしてない。選手の技術と個性が違うからだ。ふだんの練習を見て、技量と特徴を頭に入れ、さらに1年後の成長を願って、プログラムを作る。曲が決まり、輪郭ができあがると、選手と一緒にリンクに立ち、試行錯誤を繰り返しながら、一つの「作品」へと仕上げていく。

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 3年前、浅田選手を世界の頂点に押し上げる力になった「カルメン」を始め、手がけた振り付けは1000を超えたが、「まだ、最高でも70点」と自己採点は厳しい。将来の夢は、ラベルの名曲「ボレロ」に振り付けをすること。この曲は84年サラエボ五輪で英国人ペアが満点を獲得した伝説のプログラムだ。「完全無欠にどこまで近づけるか、いつかはトライしてみたい」と、氷上芸術の頂を見据えた。

(宮島出)


2008年12月21日  読売新聞)
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