「どうやって食べていけばいいんだ」「住むところを何とかしたい」。雇用不安を受け、ハローワークプラザ札幌(札幌市中央区北4西5)が29日開いた「年末緊急職業相談」。年の瀬にもかかわらず、200人以上が職を求めて訪れた。多くの人が不安を抱えたまま新年を迎えようとしている。
長野県のバルブ製造工場の派遣労働者だった男性(39)は11月半ば、6カ月間の契約期間満了と同時に雇い止めになった。「景気が悪いので満期であがってください」。会社側からの通告は口頭のみだった。社員寮も退去。長野で仕事を探したが見つからず今月12日、以前住んでいた札幌市に戻った。
この日は、職探しと住宅相談のためハローワークを訪れた。バルブ製造工場の前は別の工場や土木工事の派遣労働者だった。「歳も歳だししっかりした仕事に就きたい」と願っているが状況は厳しい。友人に頼み込んで年明けまで居候させてもらうことにした。しかし、その先の見通しはまったくない。「貯金もないし、何とか早く仕事を見つけたい」。男性は疲れ切った表情を浮かべた。
厚生労働省の調査によると、道内では来年3月までに非正規労働者1663人が失職することが確認されている。ハローワーク札幌の中村隆司所長は「(調査で把握しきれない)中小企業を含めると、それだけで収まらない可能性がある」と指摘する。
厚労省北海道労働局は社員寮などから退去を余儀なくされた非正規労働者向けに住宅相談窓口を開設。15~26日に約90件の相談が寄せられ、これまでに23人に雇用促進住宅をあっせんした。労働局の佐々木明・職業安定課長は「再就職には住居の安定が欠かせない。まずはハローワークに相談してほしい」と呼び掛けている。
ハローワークプラザ札幌は30日も午前10時から午後5時まで相談窓口を開設。電話(011・242・8689)でも相談に応じる。【横田愛】
毎日新聞 2008年12月29日 19時31分