紀南病院(田辺市新庄町)で2001年1月に心臓冠動脈バイパス手術を受けた串本町の男性(当時76歳)が死亡したのは、病院の止血処理が十分でなかったと、男性の遺族が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は病院側の過失を認めた一審の判決を支持し、病院側の控訴を棄却した。病院を運営する公立紀南病院組合は上告せず、26日に遺族に対し、約8年間の利息分を含め約3593万円を支払ったという。 病院事務局によると、狭心症で入院中だった男性に01年1月24日、心臓の冠動脈バイパス手術を実施。心外膜に1〜3センチの傷が3カ所見つかり出血していたため、止血措置をした。翌25日に血圧が低下し、応急措置をしたが27日に死亡した。 男性の遺族は同年9月、手術ミスで心臓に裂傷を起こし、その後の止血処理などが十分でなかったとして、病院を相手に和歌山地裁田辺支部に3668万円の損害賠償を起こした。 今年3月、田辺支部は病院の過失として、約2573万円の支払いを命じた。病院はこの判決を不服として大阪高裁に控訴したが、大阪高裁は今月11日、一審の田辺支部の判決を支持して棄却した。 病院組合は「今回の判決結果を真摯(しんし)に受け止めたい」と話している。