1988年12月21日夜、同級生からのいじめを苦に自殺した富山市の岩脇寛子さん(当時13歳)の両親が、これまでの活動をまとめた「いじめの記憶」(桂書房、2100円)を寛子さんの命日に合わせて出版したのを記念し、両親を支援してきた「もうひとりにはさせないよ!の会」主催の出版記念会が、同市西宮町の「喫茶にしのみや」で開かれた。
父克己さん(68)と母寿恵さん(65)=富山市奥田寿町=は一人娘の自殺後、市教育委員会への情報公開請求や地裁から最高裁にまで至る裁判などでいじめ、自殺の真相を知る闘いを続けた。同書は、事件から20年を迎えたのを機に、その記録を2年がかりでまとめた。
この日は、県内外から支援者ら約30人が参加した。寛子さんが通っていたそろばん塾の木谷綜合学園副園長の木谷泰子さんも来場。「(自殺の)前日に教室でうれしそうにクリスマスの飾り付けをしていた寛子さんの声が今も耳に残っている。気付かなくて申し訳なかった」と語るなど、全員が寛子さんへの思いを語り、いじめ根絶を誓い合った。
克己さんは、05年にいじめを苦に自殺した北海道滝川市の小6女児の母親が今月、損害賠償請求訴訟を札幌地裁に起こしたことに触れ「今も同じようなことが続いている。教育者はいじめがなくなるよう努力してほしい」と述べた。寿恵さんは「たくさんの人が自分の問題としてこの本を読んでほしい」と訴えた。【青山郁子】
毎日新聞 2008年12月26日 地方版