飲酒ひき逃げ後絶たず──依存症と一体、根絶難問2008/12/29配信
警察庁によると、全国で2007年に起きたひき逃げ事件の加害者の逃走理由の最多は「飲酒運転」。「怖くなった」「無免許」を引き離し、約10年間最多が続く。 「飲酒運転は一種の病気。常習性がうかがわれ、アルコール依存症が疑われる割合も高い」と国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県)の樋口進副院長(54)は指摘する。 大阪の梅田と富田林市で起きた事件の加害者も過去に飲酒運転の検挙歴があった。同センターと神奈川県警の調査では、飲酒運転で検挙された男性487人中、アルコール依存症が疑われた人の割合は47%に達した。 大阪府などは相次ぐ事件を受けて、来年1月にアルコール依存症と飲酒運転をテーマにシンポジウムを開く。発言者の1人、同府貝塚市の北川弘さん(67)は飲酒運転で5回の自損事故を起こしたことがある。 「ニュースでひき逃げの原因が飲酒運転と聞くたびに、昔の自分の姿を思い出して胸が痛む」。こう話す北川さんは仕事のストレスなどでアルコール依存症に陥り、酔ったままでハンドルを握っていた。依存症の人のための自助組織「大阪府断酒会」に加わり症状を克服、今は同会副会長として活動する。 シンポでは「飲酒運転で検挙された依存症や予備軍の人に、行政が治療を促すことが必要」と訴える。「依存症の人を1人でも減らし、ひき逃げを食い止めたい」という。 今月中旬、滋賀県警は飲酒運転で免許停止になった人らを対象に、大阪・梅田のひき逃げ事件を題材にした「飲酒学級」を開いた。 「あなたなら(衝突後に)どうしましたか?」「なぜ殺人罪が適用されたと思いますか?」。警察官の問いかけに受講者が意見を交わす。参加した男性(56)は「軽い気持ちでしていた飲酒運転の罪の深さが分かった」と反省する。
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