ほゎぃと
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06/15(日) 21:16 IP:219.109.64.164 削除依頼 + 当組織の提供物は、4歳未満の子供を亡くした当事者のみ利用できます。 + これを受け取ったその日から1週間が選択期日です。
+ この事は第3者・本人に漏らしてはいけません。 : : : 以上の規約内容を呑んだ上で、当事者は当組織の提供物を利用する事とします。 利用規約//一部抜粋
NO.1 ほゎぃと
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06/15(日) 21:27 IP:219.109.64.164 削除依頼 - ほとんどの人が知らないと思いますが、ほゎぃとです。
たまーにどこかに現れたりしてますが、どっかで見たことあるぞ! って人はそういないと思います。 もしも、こいつ見たことあるぞ! って人は、アンラッキー……ではなくラッキーです、ラッキーにしときます!← ちなみにジャンルはよく分かりません;; いろいろ混じるかもです。 基本主はホラーとかちょいSFとか好きなので、たぶんそっち方向で行くと思われますです(∀) では、乏しい頭をフルにしぼって(?)書いていきます! 温かく見守っといてやってください(´・ω・`)
NO.2 ほゎぃと
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06/16(月) 20:48 IP:219.109.64.164 削除依頼 .プロローグ 「……仕事だ、ケイ」
1人の男の声がコンクリートの部屋に響いた。 その部屋は地下に造られていて窓はない。 そんな不自然な部屋には、さらにその雰囲気を増すような複雑な機械がたくさんあった。 それらは異様な雰囲気を漂わせている。 その中でも一際目立つのは、巨大な人体模型だった。 部屋の中央に置かれたそれは全長2メートルはある。 その人体模型は前は人体の肉体を、後ろは内臓のつくりなどがこと細かく再現されていた。 浮き出るようにつくられた血管はまるで本物のように赤黒く、蛍光灯の下で光っている。 その他にも、パソコンやら何に使うかも分からない機械やらがたくさんある。 そしてその機械と機械の隙間から、1人の青年が顔を出した。
「ちょっとレイさーん、もう仕事?」
“ケイ”と呼ばれた青年は、そう言いながら大きなあくびをした。 そしてゆっくりとのびをする。 猫を思い出させるようなそのケイに、“レイ”と呼ばれた男は小さくため息をついた。
NO.3 ほゎぃと
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07/01(火) 20:56 IP:219.109.64.164 削除依頼 - すいません;;
初っ端から放置してましたorz まあいちようテスト前だったとゆーコトで。。。 これからちょっとずつ頑張ります!← ****** 「もうじゃない。 この前の仕事から2ヶ月は経った」 「オレ行きたくないし……いっそのこと、誰かを雇うなんてのはどうですかね」 そう言いながら、ケイは歳に似合わない幼い笑みを浮かべた。 しかしその時、レイとはまた別の男の声が聞こえた。
「あほか。 この仕事はお前にしかできないだろ」
その男は1台のパソコンの前に座り、画面を食い入るように見つめていた。 その言葉に、ケイはうっと言葉を詰まらせる。
「あほかって……ロアさんひどっ」 「本当のことだろ」
“ロア”と呼ばれた男はケイの言葉をさらりと受け流し、キーボードを忙しく叩きだした。 そんなやり取りを見て、レイが声を押し殺して笑っている。 「ちょっ……レイさん、そこ笑うところじゃない」 「笑うところだろ……くくっ、さすがロアだな」 「どーも」 「あっ、ロアさんこんな時がけ話に加わってズル――」 「お前ぶっ殺.すぞ」 そんな言葉をさらりと言うロアに、ケイはぴたりと口を閉ざした。 その様子を見てレイがさらに笑う。 ケイは1人すねて何か文句をブツブツと言っていたが、容赦ないロアの鋭い視線に気付きそれをやめた。
NO.4 あほこ
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07/01(火) 21:02 IP:125.55.150.179 削除依頼 - 期待あげ
NO.5 ほゎぃと
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07/07(月) 20:30 IP:219.109.64.164 削除依頼 -
+あほこ様 コメントありがとうございます。 期待にこたえられるかは分かりませんが、少しずつ更新していこうと思います(´・ω・`)
NO.6 ほゎぃと
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07/07(月) 20:47 IP:219.109.64.164 削除依頼 ちょうどその頃レイもひとしきり笑い終えたところで、上からコートを着て外へ出る準備をしていた。 蛍光灯に照らされ、その黒いコートはぼんやりと光る。 「ほらケイ、いつまでもすねてないで準備をしろ」 「すねてません」 「すねてただろ」
レイにそう言われ返す言葉が無くなってしまったケイは、心の中で不満を撒き散らしながらも同じようにコートを着た。 レイについて上へと続く階段へ足をかける。 そして階段を上っていこうとした時、ロアの苛立った声が聞こえた。
「おいケイ」
突然呼び止めるロアにケイは足を止め、そちらの方へ振り向く。 そしてわざとらしく間延びした返事をする。
「なんですかー」 「ふざけんな! それオレのコートだろ!」
ロアがキーボードを力いっぱい平手で叩く。 ビーという音がパソコンから発せられる。
「だって温かいんだもーん」
そのロアにあの幼い笑みを見せながらケイはそう言い、そのこげ茶のコートをひるがえした。 その時すでに階段を上り終えていたレイがケイに向かって叫んできた。
「おいケイ行くぞ! 何やってんだ」 「ナイスタイミーング。 じゃ、ロアさん、オレ急いでるんでー」 「おい! 待てって!」
必死に呼び止めるロアを無視し、ケイは階段を早足で上った。
NO.7 なつめ∀・)
07/07(月) 20:55 IP:219.198.52.180 削除依頼 ネクスト希望します!
NO.8 ほゎぃと
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07/13(日) 20:48 IP:219.109.64.164 削除依頼 なつめ∀・)様 ネクストありがとうございます! そのくせしてのろのろ亀更新ですいません^^; それでもなるべくハイペースで行こうと思うので温かく見守っといてやってください(´・ω・`)
NO.10 ほゎぃと
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07/13(日) 21:04 IP:219.109.64.164 削除依頼 「レイさんお待たせ――って痛っ!」 ケイが階段を上り終えた途端、その頭にレイの硬い拳が落ちてきた。 ケイは涙目になりながら頭をさする。
「ひっどーい。 虐待反対ー」
自分ができる最大限のうる目でケイはレイを見つめる。 ついでに胸の前で手まで組んでみた。 しかしレイはそんなケイを鼻であしらう。
「何が虐待だ。 そんな目で見ても何も変わらんぞ。 早くしないと日が暮れる」 「だってえ、ロアさんがあ……」 「人のせいにすんな」 「あたっ」
今日2度目の拳骨を受け、足早に前を行くレイを頭をおさえながらケイは追いかける。 そんなレイの背中を眺めながら小さく呟いた。
「あーあ……男なんかとじゃなくてかわいい女の子と仕事したーい……」 「何か言ったか」
レイが足を止めケイを睨みつける。 ケイは胸の前でおおげさに手を振りながら自分の無罪を証明する。 それから慌てて何にもないですよ、と付け加えた。 するとレイはフンと言いながらも再び前へ進みだした。 ケイは、はあと1つため息をつく。
「……誰かオレに安らぎをくれー……」
その後、ケイの頭に怒りの拳骨が落ちたのは言うまでもない。
NO.11 ほゎぃと
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07/13(日) 21:07 IP:219.109.64.164 削除依頼 - ※
レスの9のところは小説の内容が気に入らなかったので 消しました。 誰かのコメを消したとかではないのでご安心を! ※
NO.12 ほゎぃと
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07/14(月) 20:27 IP:219.109.64.164 削除依頼 .第1章 仕事 「……で? 今回はどこの誰なんですか?」
レイの運転する車に乗せられ、ケイは助手席で外を眺めながら言った。 所々傷のついた黒の車はのどかな田舎の中を走る。 ケイが物珍しそうに見る先には、広い田んぼが続いていた。 そこで農作業をする人たちの上を鳥がV字型の群れになって飛んでいく。 不格好なかかしもいる。 それに意味があるのかケイには分からない。 聞こえる音は車のエンジン音くらいだ。 レイは真っ直ぐに続く道を見つめながら口を開いた。
「ここからあと30分ほど行った所に住む人だ。 名字は確か……深見、だったはずだが」 「はっきりしてください」
間髪を入れないケイのつっこみにレイは聞こえているのか聞こえていないのか、何も言わずただハンドルを操作していた。
「……無視ですか」 「お前がオレにつっこむには100年早い」 「それじゃあ死んでますー」 「んじゃ1000年」
どうやらケイのつっこみはレイに聞こえていたらしい。 しかしレイはそれ以上ケイの相手をする気はないらしく、それだけ言うと運転に没頭してしまった。 静寂な空気が流れる。 ここは景色の切り替わりが激しい所だ。 すでに外の景色は田ばかりの風景から一変して、住宅街に入っていた。
NO.13 ほゎぃと
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07/17(木) 20:51 IP:219.109.64.164 削除依頼 きっともうすぐ、その“深見”という人の家に着くのだろう。 その時ふと、先程のやり取りをケイは思い出した。 確か本当にその名字で合っているのか確かめようとしたのがあの会話の元だったはず。 しかし結局はただの漫才のように終わってしまったのだが。 レイは話をそらすのがうまい。 尊敬はできないけれど、むしろしたくないけれど、うまい。 「……深見って言うんですよね、その人」
再びそうレイに問い掛ける。 「たぶんな」 「たぶんじゃ困ります」 「じゃ、絶対」
ケイはレイに見つからないよう小さくため息をついた。 レイの短所はきっといい加減なところだ。 今みたいなことがよくある。 前なんかレイに聞いた名字と表札の名前が違い、慌てたことがある。 それは結局は中山を山中と間違えるというなんとも古典的なレイの勘違いであったのだが、そのことを本人に問い質すと「知るかそんなもん」なんて言って返されてしまった。 ロアはレイと幼なじみだなんて聞いたから、ロアはきっと苦労したのだろうと思う。 いや、しかしロアはロアで口が悪いという短所があるわけなのだから、2人とも似たもの同士と言えるのだろうか。 それともロアかレイ、2人のうちのどちらかの性格が伝染したのか。 とにかく2人のそう言うところはなおしてほしいとケイは切に願う。 まあそういうケイこそ人には何も言えないのだが。 そんなことを考えていると車はだんだんとスピードを落とし、1軒の家の前で止まった。 レイが背もたれに寄りかかり小さく息を吐く。 そしてケイに目配せをした。 どうやらそこが例の深見さんの家のようだった。
NO.14 ほゎぃと
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07/26(土) 20:45 IP:219.109.64.164 削除依頼 - 長い間放置すみませんm(__)m
今ちょっと事情があってしばらく更新できそうにないですorz ですので、通りすがりの方でもいいので上げてくださると助かります! 勝手ですみません;;
NO.15 ほゎぃと
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08/02(土) 21:03 IP:219.109.64.164 削除依頼 - 復活しました!
久々に更新したいと思います(´・ω・`) ちなみにこの話の季節は現実とずれています。 ま逆の季節になってしまってすいませんorz +++ 「ここだ。 行くぞ」 「りょーかい」
ケイはそう言いアタッシュケースを手に持った。 重さはそうない。 レイに続き車の中から足を出す。 外へ出るとふわりと一瞬きんもくせいの香りがした。 もうだいぶん寒くなってはきたのだが、秋の咲き残りがまだいるらしい。 その鼻をくずぶるような香りを吸い込み、歩を進める。 それを待っていたかのように前を行くレイが口を開いた。
「ここの家庭は先月、2歳の子供を亡くした」
レイが淡々と“仕事”に必要な事柄を並べる。 レイの心に哀れみなどない。 ケイはレイの後ろからその家の玄関を目指す。
「それで今回はいくらほど請求すれば?」 「そうだな……50万くらい、だな」
考えるようにゆっくりとレイが言葉を発する。 その言葉にケイは目を落とした。
「……安いですね」 「夫が金ごと消えたんだとか」
悪びれもなくレイが言う。 ケイは相槌を打ち、玄関の前で立ち止まった。
NO.16 ほゎぃと
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08/04(月) 20:27 IP:219.109.64.164 削除依頼 - ちょうど目の高さにある表札を確認する。
そこにはローマ字で“HUKAMI”と書かれてあった。 ケイはその表札を見つめたまま口を開く。
「きちんと深見さんですね」 「お前はオレを疑ってたのか」 「念のためですー」
ケイがそう言いぺロリと舌を出すと、レイはフンと言いながらケイを睨んだ。 そして突然腕をあげたかと思うと何の前触れもなくチャイムを押してしまった。 ポーンでもないボーンでもないこの木造の家にふさわしいこもったような音が聞こえる。 それからすぐ戸の奥から人が近づいてくる気配がした。 ケイは慌ててレイのコートのすそを持ち揺さぶる。
「ちょ、ちょっと。 まだ心の準備が」 「お前にそんなものはいらん」 「え、それって差別じゃないですか」 「差別じゃない。 区別だ」 「や、一緒でしょ」
そんな会話をしていると玄関の戸が開き、中から若い女が出てきた。 そういえばこの家は外見自体はそうとう古いのに、戸だけはきちんと押し引きで開閉するようになっている。 普通はこういう家の場合横開きの戸を想像するのだが。
「あ……あの、どちら様で……?」
その女はいきなりの、しかも初対面の男2人の訪問に驚いているようだった。 警戒心からか戸は最低限だけ開き顔だけを覗かせている。 そんな女にケイはにこやかな笑みを見せこう言った。
「安心してください。 私達はあなたを救うためにここへ来ました」
NO.17 ほゎぃと
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08/05(火) 20:35 IP:219.109.64.164 削除依頼 「……は?」 「あなたは」
戸惑う女に今度はレイが口を開く。
「先月子供を自己で亡くされましたね」 そのレイの言葉に女が目を見開く。 そして2人の視線を避けるようにに目をふせる。 その反応がレイの言ったことを肯定することでもあった。
「あなた方は……誰なんですか」
女が一呼吸をおき、ふせられていた目を開く。 問い質すように女は言った。
「あなた方は警察の方ですか」 「いいえ」
女の問いにレイは即答した。 女の目が再び見開かれた。
「警察とは一切関係ありません」
レイがそう言い放つとレイとケイを汚いものを見るような目で見据えてきた。 しかし2人がそれくらいのことで怯むことなどない。
「……あなたたちは誰ですか」 「それは、あなたが私達を中へ入れてくださればお話します」 「……帰ってください」
レイの言葉に聞く耳も持たず、女は戸を閉めようとする。 レイはその閉じかけた戸の隙間にすばやく手をいれ、戸を掴んだ。
「待ってください」 ここで帰ってもらっちゃ困るんですよ、とレイは不敵な笑みを浮かべた。
NO.18 ほゎぃと
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08/07(木) 22:39 IP:219.109.64.164 削除依頼 -
女がびくりと身体を震わす。 レイはその油断をいいことに、閉じかけた戸を引っぱり無理やり戸を開けた。 女が不快そうな、気味悪そうな顔で2人を睨む。 しかしレイはそれに動じることなく話を始めた。 こういったことには慣れているのだ。 逆にいえば、これが普通の反応。 「私達は」
レイがそこで一呼吸をおく。 ケイはただレイと女のやり取りを見ていた。 「人を造ることができるんですよ」
女が眉間に眉を寄せる。 「その造られた人のことを私達は“人造人間”と呼びます。 そして」 レイが女の目を見据える。 女の喉が上下に動くのが見えた。
「私達はあなたの子供を造りにきた」
レイの言葉にあきらかに女が反応する。 もちろん誰だって耳を疑うだろう。 “人を造る”だなんて。 しかも“子供を造る”なんて言われれば混乱するのは当たり前だろう。 けれども嘘なんかではない。 それは本人達がよく知っている。 レイが足を前にすべらせる。 じり、と靴と砂利とがこすれ合う音がした。 「安心してください」
女を諭すようにレイが言う。 それに対して女は無言のままだ。 「からかってなんかいませんから。 だから中へ入れてください」
黙りこむ女にレイはたたみかける。 きっと今、女の心は揺れているのだろう。 ケイとレイ、2人の言うことを信じてもいいのか。 2人を中へ入れてもいいのか。 しばらくの沈黙の後、女は黙って戸を大きく開き2人に中へ入るよう促した。 ケイとレイは目を合わせ中へ入った。
NO.19 ほゎぃと
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08/10(日) 20:48 IP:219.109.64.164 削除依頼 「……それであなた達は――」 「ああ、そうでしたね」
きしむ廊下を進み、和室へ入ったケイとレイは出された座布団に座った。 この部屋には中央にテーブルが置かれてあり、床の間まであった。 この家には洋室はないらしく、そうとう古い家らしい。 ケイは物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回す。 レイはテーブルの下でケイの足をつねった。
「ふぁぎゃっ」 「……は?」
いきなり奇声をあげるケイに女は眉間にしわを寄せ、冷たい声をかける。 ケイが横目でレイを睨むと、レイはそれに気付いているのか気付いていないのか女に話を続けた。
「私達はR.という企業組織の者です――まあ、“組織”と言えるような人数ではありませんが」 「……“R.”……?」 「はい。 まあ“Robot”とかそういう解釈の仕方でけっこうです」 困惑した様子の女にレイが説明を付け足す。
「私達はその名の通りロボット――人造人間を造っているのです。 そして私達は今回、あなたの子供として人造人間を提供しに来たわけです」 「……こ、ども……?」
女が肩をピクリと震わす。 明らかに反応している。 こっちの話に喰い付いてきている。
「まあ、もちろんお金はいただきますが……」
ケイが後から付け加える。 その言葉に女が落胆したような声をもらす。
「家にはほとんどお金に余裕がなくて……」 「心配しなくてもいいですよ。 そんな大金じゃない――50万、払ってもらえれば」
ケイがそう言うと女は何かを考えるように下を向き、黙り込んでしまった。 そんな女にレイはさらに畳み掛ける。
「安心してください。 これは人身売買なんかではない。 私達があなたに提供しているのは、ロボットです」
そのレイの言葉に女はゆっくりと顔を上げ、決心したように口を開いた。
NO.20 ほゎぃと
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08/11(月) 17:20 IP:219.109.64.164 削除依頼 - ※
すいません、またもや明日から15日くらいまで更新ができませんorz ですのでどなたかその間だけ、上げておいてほしいです(´・ω・`) 通りすがりの方でも内容を読んでない方でも、上げるだけでけっこうですので、よろしくお願いします! ※
NO.21 ほゎぃと
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08/16(土) 21:17 IP:219.109.64.164 削除依頼 - 復活しました!
では、再開させていただきます! +++
「……分かりました」 じわり、と女の瞳に涙がうかぶ。
「お金を払います。 だから私の子供を――シンヤを造ってください」 すがりつくような瞳を2人に向ける。 そんな女に、ケイは女と出会った時と同じようなにこやかな笑みを見せた。
「それでは、これからいろいろと説明をしなければいけないことがあるのですが……よろしいですか?」 「お願いします」
女はうなずき、2人に向かって会釈をした。 そこでレイが唐突に席を立つ。
「それでは、私はこれで」
そう言って部屋から出ようとする。 ケイは慌ててレイを呼び止めた。 「ちょ、ちょっとレイさん! どこ行くんですか」 「1時間経ったら戻ってくるさ」
レイはそう言って片手を上げ、こちらを振り向きもせず部屋を出て行ってしまった。 女はその様子をぽかんと見ている。
「えーちょっと待ってくださいよ……。 てかそれ答えになってない……」
いつもはケイとレイ、2人で仕事を進めていく。 なのにケイ1人となってはいつもの倍、話さなければならない。 ケイはそれに不満を持っていた。 あーあ、と呟く。 でも仕事を放り出すわけにはいかない。 もしもそんなことをしてしまえば、後で厄介なことになりかねない。 しょうがない、と諦め、ケイは女の方を向いた。
NO.22 ほゎぃと
[URL]
08/25(月) 21:02 IP:219.109.64.164 削除依頼 - またまた長い間放置すみませんm(__)m
そしてちゃっかりその間にホムペをつくってましたorz 前作も更新中ですので、ぜひ来てみてください!!! ↑↑URLからどうぞ↑↑ +++ 「ではまず、説明の前に……。 ご主人はいらっしゃらなかったんですよね」
この質問は、レイの言っていたことを確かめるためだ。 もしもこの情報が間違っていた場合、妻と夫、2人がそろっている時に出直さなければいけないからである。 自分達ではない、他人が正確に誰かにこのことを説明することは困難なことだろう。 まあ、自分達の情報が間違う事はほぼない。 100パーセントに等しい。 それを示すように、ケイの問いに女は小さく「はい」と答えた。 ケイはそれを聞いて話を進める。
「分かりました、ありがとうございます。 それ以上は聞かないのでご安心を。 それでは、説明に入っていきたいと思います」
ケイそう言い、車から出る時に持ってきたアタッシュケースを机に置いた。 ゴトリ、と音がした。 女の視線がケイからそれに移る。 そしてケイは、その中から何かのファイルを取り出した。 「……と、その前に……」
NO.23 東西南北
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08/25(月) 23:28 IP:121.84.252.237 削除依頼 - 本当に、貴方様の文才には脱帽します。
しすぎて禿げてしまいそうなくらいに。 是非ともわけてくださいorz そしてネクスト希望です。
NO.24 ほゎぃと
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09/03(水) 20:47 IP:219.109.64.164 削除依頼 東西南北様 ああああありがとうございます!!! まさか来ていただけるとは思ってもいませんでした。
脱帽なんかしちゃいけないですよ! 私は目立たず国旗……じゃなくて校旗でもあげときます← まあ実際やったことはありませんけどね(ω; 逆に私が文才をもらいたいくらいですorz では、お互い頑張りましょう!
NO.25 ほゎぃと
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09/13(土) 20:40 IP:219.109.64.164 削除依頼 「え?」
女が問う。 ケイはその女に対し真面目な面持ちを見せ、言った。
「足、くずしてもいいですか?」
一瞬、女はキョトンとした顔をする。 それからケイの顔をまじまじと見つめた。 何も言わない女にケイは再び問う。
「えーっと……くずしてもいいですかね」
ケイの2回目の問いに女はやっと意味が分かったらしく、「どうぞどうぞ」と恥ずかしそうに言った。 うっすらと顔を赤らめ、慌てている様子だ。 まあ、とケイは心の中で呟く。 こんな緊張した場でいきなり言い出すのもどうかというところか。 ケイはそんな女に笑みを見せ、足をくずしあぐらをかいた。 レイがいたら怒鳴られるだろうが、今はいないのだからいいだろう。 なるほど、レイがいないのもたまにはいいのかもしれない。
「いいですよ。 こんな場で言った私も私ですから」
ケイはそう言いながら、自分のことを「私」と呼ぶ自分を笑ってやりたかった。 はっきり言えば自分が気持ち悪くもある。 でも仕方がない。 とにかく、だ。 相手に信用してもらえるよう、礼儀正しくするべきなのだ。 少しの辛抱。 ケイは自分にそう言い聞かせ、目の前においたファイルを開き、女に見えるようにした。
NO.26 ほゎぃと
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09/21(日) 21:46 IP:219.109.64.164 削除依頼 そこには小さな文字が何行も並んでいた。 女がその文字を目で追うように見る。
「これは、私達組織の提供する人造人間を利用するための規約です。 まあまずはその前に人造人間についての説明を少し」
ケイはそこで間をあけ、小さく息を吸った。 そして再び口を開く。
「人造人間は、普通の人間とはなんら変わりないのです――」
NO.27 ほゎぃと
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09/27(土) 20:35 IP:219.109.64.164 削除依頼 -
.2 レイは黒の車を走らせていた。 外の景色は住宅街をさらに進み、大通りへ出ていた。 マンションや飲食店、デパートなどが立ち並んでいる。 そして、ある大きな病院の敷地内で止まった。 窓を開け、確かめるようにその外見を眺める。 玄関を何人もの人が出入りしていた。 それを終えるとレイは窓を閉め、駐車場へ入っていった。 適当な場所に車を止め、レイはゆっくりと外へ出た。 ふっと息を吐く。 車のキーをポケットの中でまさぐりながら、病院の玄関へ近づいていく。 そして、玄関の前に立ったとき――
「兄さん?」 後ろから唐突に声が聞こえた。 一瞬息を飲む。 躊躇することはない。 レイは自分にそう言い聞かせた。 ここへ来ればこうなることぐらい分かっていたはずだ。 それからゆっくりとレイはその声の方向へ振り向く。 「……瑠衣」 吐き出すようにレイが言ったその言葉に、声の主は小さく微笑んだ。
NO.28 ほゎぃと
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10/13(月) 21:12 IP:219.109.64.164 削除依頼 -
そこにいたのは、紛れもないレイの弟だった。 その笑みを浮かべながら、瑠衣は目を細めた。
「久しぶりだね、兄さん」 「……ああ」
レイはそれだけ答え、病院には入らず駐車場の方へ歩き出した。 何をしているのか、自分でも分からなくなる。 レイは自分の足先を見つめた。 そんなレイを瑠衣が慌てて呼び止める。 「ちょっと兄さん! どこ行くのさっ」 「帰る」 「帰るって……ゆっくりできないわけ? 何年ぶりに会ったと思ってるのさ」
レイはピタリと足を止めた。 後ろからついてくる様は昔と全く変わっていない。 心の中で小さく笑った。 それから瑠衣の問いに一瞬考える素振りを見せる。
「さあな」 「さあなじゃないでしょ! 10年だよ10年っ。 ていうか、なんで帰ってきたの? そういえば父さんに会った? あ、その前になんか仕事してるの?」
質問をズラリと並べられたレイは苦笑を浮かべた。 こいつには何も話してはいなかったな、と心の中で呟く。 まあ、話すつもりはないのだが。 レイは瑠衣の言葉を適当に受け流した。
「まあな」 「……何に対して?」 「まあいろいろと」 「それじゃあ分からない!」
瑠衣は眉間にしわを寄せ、怒ったように言う。 だが、はっきり行って怖くも何ともない。 こいつは本当に何も変わってはいない。 ふいにとても懐かしい何かを慈しむような感覚を覚えた。
NO.29 ほゎぃと
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10/26(日) 20:59 IP:219.109.64.164 削除依頼 - すいません><
今更ながらミスに変換ミスに気付きました;; ×だが、はっきり行って怖くも何ともない。 ↓ ○だが、はっきり言って怖くも何ともない。 ^^^^ です!!! 訂正失礼しました。
NO.30 ほゎぃと
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10/26(日) 21:27 IP:219.109.64.164 削除依頼 しかしその気持ちに反するように、レイの頭には冷めた言葉しか浮かんでこなかった。
「会ってねえよ」
レイは吐き捨てるように言った。 あんな奴なんかに、と心が叫ぶ。 思い出すだけで吐き気がする。
「え?」
そんなレイの心中を知らない瑠衣は素っ頓狂な声を出した。 どうやら何の質問に対しての答えなのか、分かっていないらしい。 レイは小さく溜め息を吐いた。 それから瑠衣に分からぬよう舌打ちをする。 口に出すことすら拒まれた。 それでも仕方なく、レイは嫌々ながらも口を開いた。
「あいつだよ、親父」
言いたくない単語だったことと、瑠衣のペースに引きずり込まれている気がしたことで、レイは顔を歪めた。 それでも瑠衣はレイに対する問いを止めない。 「……会わないの」 「どうでもいい」
急に大人しくなった瑠衣を尻目に、レイは今度こそ駐車場へ歩を進めた。 結局、自分は何をしにきたのだろうかという疑問が頭を過ぎる。 その瞬間、レイのコートが何かに後ろへ引っ張られた。 何のかまえもせず油断していたレイは、それ程強くもなかった力に引き寄せられ、そのまま数歩後ろへ下がっていた。
「どうでもいいなら会えばいいじゃん。 だいたいからここに来たのは父さんに会うためじゃないの」
息継ぎすらせずに瑠衣が言う。 頑固なのは昔から変わっていないらしい。 瑠衣は例の怖くも何ともない顔つきで、精一杯レイを睨んでいた。 こうなると、もう他人の言う事なんか聞き入れない。 相変わらず面倒な性格だ。
「……分かったよ」
レイは悪態をつき、仕方なく病院の中へ入った。
NO.31 ほゎぃと
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11/08(土) 21:30 IP:219.109.64.164 削除依頼 - すいません自上げします;;
テスト終わったらまた舞い戻ってきますッ
NO.32 ほゎぃと
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11/23(日) 21:55 IP:219.109.64.164 削除依頼 「……おい、何でついてくるんだ」 「へ?」
病院の中に入ってもなおついてくる瑠衣をレイは睨む。 全くプライバシーのプの字もない。 まあ、兄弟だったらそれは当然なのかもしれないが。 しかしそんなレイの様子も気にせず(もしかしたら気付いていないのかもしれない)、瑠衣は歳に似合わない幼い笑みを浮かべ、答えた。
「僕だって父さんに話があるのー」
ふと、レイの頭にケイの顔が浮かんだ。 瑠衣については諦めたように息を吐く。 ――瑠衣はケイに似ている。 そう心の中で呟き、自嘲気味に笑った。 ――違った。ケイが瑠衣に似ているのだ。 「……どうかした?」
黙ってしまったレイを瑠衣が不思議そうに見つめる。 レイはその言葉に引き戻され、同時に恥ずかしさを覚えた。 瑠衣に心配をされるなんて、と自分に憤りさを感じた。 別に、と何事もなかったかのように振舞う。
「そう。 じゃあ父さんがどこにいるか聞いてくるね」
瑠衣はそう告げると、受付の方へ歩いていった。
NO.33 奈緒
11/23(日) 22:24 IP:219.75.215.106 削除依頼 - こんばんは。
面白そうな題材なので、見つけてから一気に読み進めました。 ケイのキャラが好きです^^ レイとのやり取りが微笑ましいです。
ところで、NO.17にて 誤字を発見しましたの報告いたします。 自己→事故 ではありませんか?
NO.34 ほゎぃと
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12/01(月) 20:12 IP:219.109.64.164 削除依頼 -
奈緒 様 コメントありがとうございます! ケイは私の中でも好きなキャラなので、そう言っていただけると嬉しいです^^ そして、レイとケイはなかなかに良いコンビだと思います← まだ題名の意味まで全然進んでないのですが、なるべく速くそこまで行けるよう頑張ります!! そして、もちろん完結まで……! あわわ! 誤字発見ありがとうございます>< 自己ではなく事故ですね;; 子供を自己で亡くしたって……自分でもよく分かりません← 一気読みお疲れ様でした!(笑) これからもチビチビと粘って(!?)いきたいと思います^^
NO.35 ほゎぃと
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12/01(月) 20:36 IP:219.109.64.164 削除依頼 レイはその瑠衣の呼びかけに答えることはせず、ただその場に突っ立っていた。 瑠衣はよくここに来ているのだろうか。 受付の女とも人見知りらしく、親しそうに話していた。 瑠衣のその背中を見つめる。 その時、瑠衣の手袋のはめられた両手が目に入った。 黒色で、おそらく革製のもの。
――あいつはまだ、あんなものをはめているのか。
心の中で呟く。 瑠衣が手袋をするのは冬だけでない。 夏でも、それこそ1年中それを手放すことはない。 瑠衣にとってその手袋の下は、いわばコンプレックスなのだ。 しかしレイはそう思ってはいなかった。 瑠衣が思っているほど、人はそのことを気にはしない。 そう伝えたことがあったが、瑠衣は同情だと思ったらしく、苦笑いをするだけだった。 兄さんはやさしいんだね、と。 それ以上何か言うこともできず、結局はそれ以来、そのことについては何も話してはいない。 まあ、10年も会っていないとなると、その表現はおかしい気もするが。 それでも、瑠衣がそれを望んでいることは確かだった。 そんなことを考えている間に瑠衣は受付での会話を終え、レイのもとへ戻ってきた。
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