本田圭佑の中間報告
【海外通信員】2008年12月28日
12月19日、アウェーでのエクセルシオール戦をもって、VVVの本田圭祐は今年のリーグ戦を終えた。現在は短い冬のオフに入っており、次は第22節、1月16日のホームでのRBC戦からリーグが再開する。リーグ前半戦を終えたところで、本田の数字、現地での評価をまとめてみたい。
まずは数字から。
現在までにオランダ2部は21試合を終え、本田は19試合出場9得点7アシスト、イエローカード1枚。得点ランク6位、アシストランク1位となっている。出場試合が2試合欠けているのは、北京五輪に出場したためにリーグ開幕に間に合わなかったためで、合流直後の試合だった8月22日のFCアイントホーフェン戦に後半から途中出場したあとは、すべての試合にスタメンで起用されている。
次に、主要メディアでの評価も記しておこう。
オランダの週刊サッカー雑誌であるフットボール・インターナショナル誌では、毎試合全選手が採点(10満点、最高10最低1)されている。本田は幾度も週間ベストイレブンに選ばれているが、リーグのちょうど半分となる第19節を終えた時点で、その平均点が掲載されていた。いわゆるベストプレーヤーのランキングになるわけだが、本田は平均点6.71で第2位。
テレビメディアに目を移そう。オランダ2部の試合当日のダイジェスト放送権を持っているのはRTLだ。この放送局は2部リーグと提携する形でピリオドごとの最優秀選手、タレント、監督、チームを表彰しているが、本田は第3ピリオド(1ピリオド6試合、つまり第3ピリオドは第13節~18節)の最優秀選手賞を受賞している。また、15節のオムニワールド対VVV、20節のVVV対MVV戦の2試合で本田が決めたゴールが、それぞれの節の週間ベストゴールに選ばれている。
上記のような数字、メディアでの評価を見てもらえれば分かるとおり、本田は、現在オランダ2部においては、ベストなプレーヤーの一人として認識されている。実際、PSVファンが集うフォーラムの移籍版に「Keisuke Honda」のスレッドが立てられて獲得すべきかどうか議論されていたり、AZファンの掲示板で本田の名前がたびたび挙げられていたりと、1部のトップクラブのファンですらその動向に注目するほどに存在感が高まっているのが現状だ。
となると、この冬にでも移籍か、と思ってしまいそうだが、その可能性は、あまり高くはなさそうだ。「まだ、意識する時期じゃないかなって。冬に移籍するっていうイメージが今のところないので。なにしろこのチームを優勝させたいということだけを考えてやってる」本人のコメントからも、このままこのチームで今季を戦い抜き、タイトルを獲得することに意味を見出しているように感じられる。もちろん状況はどう転ぶかわからない。どんなチャンスが舞い込むかもわからないし、どの選択肢が“正解”ということもないだろう。ただ、チャンピオンの肩書きと数字という1シーズンを通した明確な実績を残しておくことも悪くはない。そして、下位リーグであってもヨーロッパにおける実績を買われて上位のクラブに移籍する。それは、至極まっとうな歩みであるように思う。ステップアップの王道を歩みつつある本田は、今季前半戦を順調に折り返したことは間違いない。(堀秀年=ロッテルダム通信員)