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【疑惑の濁流】核開発、偽札づくり…浮かび上がる特定失踪者と国家事業とのつながり (4/4ページ)
このニュースのトピックス:疑惑の濁流
イスラム圏初の核保有国となったパキスタンで「核開発の父」と呼ばれ、核技術を売買する世界的な秘密ネットワーク「核の闇市場」を構築したとされる科学者カーン博士は、濃縮ウラン技術を1980年代後半に北朝鮮に提供し始めたとしている。ひそかに核開発を進めてきた北朝鮮。核の闇市場に深くかかわり、遠心分離器などの機材を入手してきたことはほぼ確実とみられている。
では、それを扱う人材はどうしたのか?
荒木代表は北朝鮮の「思考回路」を解説する。
「そもそも、拉致をする北朝鮮の発想には、『足らないから持ってくる』という単純さがある」。
北朝鮮が朝鮮戦争時、韓国側から多くの技術者や知識人を連れ去ったことは有名だ。技術者ではないが、「北朝鮮の映画製作を指導してもらうため」との金正日総書記の意向で、韓国の女優、崔銀姫さんと、夫で映画監督の故申相玉さんが拉致された事件も名高い。
荒木代表は、こうした背景を踏まえ、次のように言葉を続けるのだ。
「北朝鮮の技術の低さはすさまじいものがある。自力で精巧な偽札などをつくれるはずがなく、金だけで解決する問題ではない。どこからか人を連れてきたとしか考えられない。また、1980年代は韓国との国力差がはっきりした時期。北朝鮮は挽回(ばんかい)するために核開発にシフトし、人材育成を省くためために拉致したのではないか」
マッピングリストから浮かぶ推論を裏付ける証拠が出てきた場合、北朝鮮が世界中で拉致を敢行した別の意味がみえてくる。