ジュリーこと沢田研二のマネージャーは、大学の後輩K君だ。

彼も軽音楽部に入部し、ジャズのベースをやりだした。
僕よりも3つ下で、確か浜松の辺りから出てきて下宿していた。

僕がコンテスト用に組んだ「八事裏山フォークオーケストラ」は、メンバーの入れ替わりが激しくあった。
元々、プロを目指して組んだ訳ではないので、就職やら何やらで辞めるのも出るからだ。

初めに抜けたのはベース。
それでKに声を掛け、トラで演奏をして貰ったこともある。
Kはその後、チェリッシュを辞めた奥山敬造氏が、旧友のつぼイノリオ氏を誘ってつくる「欲求不満フォークソングボーイズ」に、これまた我がバンドの初代リードギターのK藤と参加した。

その後、バンドは辞めて、渡辺プロの名古屋スクールメイツのマネージャーを始めた。
そして上京し、渡辺プロでジュリーの付き人をやり、今ではジュリーのマネージャーになった。

でも、ジュリーと言えば、GSタイガースの頃から、スーパースター。
マネージャーとはいえ、彼のゴキゲンを損ねることは出来ない。
絶対的な、イエスマンである。

コンサートも、彼の気まぐれで決定される。

今年の初めのライブで、思いつきで「今年は還暦を迎えるから、記念にタイガースでコンサートをやった後楽園球場で、もう1度やる。が、後楽園球場は東京ドームに変わったから、東京ドームでやる。」と宣言した。

結局、大阪の「京セラドーム」と「東京ドーム」の2カ所で「還暦コンサート」を開くことになった。

彼は、こんなエポックメーキングなコンサートなら、満員になると本気で思っている。

が、そんなに世間は甘くない。

だいたい、愛知芸術劇場大ホールでも、満員どころか・・・。

ジュリーは、会場が満員でないと、気分を概して30分で終えることもあるらしい。(業界の噂話と受け取って。)
そんなことを知っているマネージャーを初め、地元イベンターは大変。
上の階は幕を張って、ステージから見たら壁のように見せたり、いろんな努力で誤魔化している。

今回はドーム、ステージを上手く作り、観客席をなるべく少なくするとか、多分必死で考えていることだろう。

結局、彼に現実を伝える人がいない事が、スタッフの最大の悲劇だ。