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1933年生れ。朝日新聞編集委員を経て、政治評論家。著書に『湾岸戦争という転換点』、『自民単独支配の終焉』(編著)など。 衝撃を与えた矢野氏の提訴 公明党が衆院に進出した1967年(昭和42年)から1989年(平成元年)までの23年間、同党の書記長・委員長を務めた矢野絢也氏(76)が、宗教法人・創価学会(体表役員=正木正明理事長)と同会の最高幹部クラス7人を相手取り、名誉毀損にもとづく損害賠償請求訴訟を東京地裁に提訴したことが、政界に衝撃を与えている。創価学会側は、矢野氏の訴えを「事実無根の虚偽」だとして、矢野氏と矢野氏の「訴状」にもとづいて特集記事を掲載した『週刊新潮』を相手取り、名誉毀損で損害賠償請求訴訟を同地裁に提訴しており、両者は真っ向から対決する構えである。矢野氏は、「私はもう76年も生きた。これからは腹をくくって、妨害に屈することはしない。創価学会の問題点を徹底的に追及していくつもりだ」としており、今後、国会から参考人や証人として呼ばれることがあれば喜んで出席する姿勢である。もし、そのような事態になれば「政教一致問題」が、再びクローズアップされることになろう。 矢野氏が、さる5月12日、東京地裁民事部に出した訴状によると、被告は創価学会のほか、同学会の杉山保・青年部長(2005年当時、以下同)谷川佳樹・総東京長、弓谷照彦・男子部長、森井昌義・関西青年部長、長谷川重夫・副会長、西口良三・総関西長、藤原武・関西長の7人。損害賠償請求金額が5500万円。提訴するにいたった理由として、次のように指摘している。 ◇訴訟の概要 創価学会と密接な関係の公明党の要職を長くつとめた矢野に対して、2005年(平成17年)頃から、被告らが機関紙など(『聖教新聞』などを指す)での誹謗中傷、言論活動中止の強要、矢野の手帳などの提出の強要、莫大な寄付の強要など、一連の人権侵害を行ったことについて損害賠償を求める。 ◇事実経過 (1)矢野は1993年(平成5年)から94年(6年)にかけて月刊誌『文芸春秋』に手記を連載した〔筆者注、矢野氏が政界を引退した直後の平成5年9月号から同誌上に7回にわたり、公明党議員時代の回想録を連載した。初回のタイトルは「政界仕掛人 極秘メモ前公開」というもので、終了後、『二重権力・闇の流れ──平成動乱を読む、政界仕掛人・矢野絢也回想録』として平成6年、文藝春秋社から出版された〕。その中に「創価学会と公明党は政教一致といわれても仕方がない部分があった」との記述があったため学会から非難された。矢野は不注意な記述であったと釈明、手記を単行本にした際、その部分を訂正した〔筆者注、矢野氏は連載第1回の中で、「やはり私たちは、とかく政教一致というご批判をいただいているが、確かに状況をみてみると、そう言われても致し方ない面はある」と記した。創価学会と公明党にとって、「政教一致問題」は、1970年(昭和45年)の「言論出版妨害事件」以来、「非常にデリケートな案件」(矢野氏)だけに、当時から同グループ内で問題視する動きが出ていた〕。 (2)その後、矢野と学会との関係は平穏だったが、2005年(平成17年)4月頃から、学会は突然、手記の問題を取り上げ、矢野を激しく攻撃するようになった。4月20日、西口と藤原は学会施設の戸田記念国際会館(東京・新宿区)に矢野を呼びだし、「学会青年部が怒っている」などとして、『文藝春秋』掲載の記事について謝罪文を書くよう求めた。矢野は学会との長い関係を考えて、西口らが用意した文案に従って謝罪文をつくり、翌21日に手渡した。 (3)その頃、矢野は夫人とともに海外出張を予定していたが、4月25日、秋谷栄之助会長(当時)から電話で、「都議選前だからやめて欲しい」と言われた。矢野が、「業務上、必要な出張であり、中止できない」と答えたところ、秋谷会長は、旅行の日程表提出を求め、矢野はこれに応じた。 (4)矢野の謝罪文については、同年4月28日付の『聖教新聞』で、大きな活字で、「公明党元委員長の矢野が謝罪」「"私の間違いでした"」「"当時は心理的におかしかった"」などの見出しで、矢野の記述で学会が大きな被害を受けたことが強調された。 (5)矢野は4月28日から海外出張にでかけたが、5月9日付の『聖教新聞』は、これを激しく非難、森井の「我々は『口先だけ』なら絶対に許さない。本当に詫びる気持ちがあるなら、行動と結果で示してもらいたい、と重ねて言っておく」との発言が掲載された。 (6)5月14日夜、海外から帰国した矢野は、そのまま戸田記念国際会館に出向いて、学会青年部と会った。その席で、矢野は杉山、弓谷、谷川、森井らから『文藝春秋』の記事を前に置いて、こもごもつるし上げのように非難、追求された。森井は2回「土下座しろ」と迫り、谷川は「人命にかかわるかもしれない」という趣旨のことを言って矢野を脅迫した。弓谷は「政治評論家をやめるべきだ」などと迫り、ほかの者も血相を変えて威嚇した。杉山は「文春の件を謝る。評論家をやめる。今後は書かない。恩返しをする」との文書を用意していて、署名を要求した。矢野はこれらの脅迫に屈して署名、政治評論家としての活動をやめることを約束した。 (7)5月15日、元公明党議員3人(筆者注、黒柳明・元参議院議員、大川清幸・同、伏木和雄・元衆議院議員の3人を指す)が、突然、矢野宅を訪れ、前日の青年部との面談にふれながら矢野を威嚇、強迫して、矢野から手帳を渡すとの約束を取りつけた。3人は、同日深夜、再び矢野宅を訪れ、手帳など個人的資料のうち、手元にあったすべてを持ち去った。 (8)5月30日、元公明党議員3人は、再び矢野宅にきて、残りの資料すべてを持ち去った。その際、3人は不動産の取得、処分の資料や絵画・骨董品、銀行関係書類などを点検し、矢野に学会への寄付をもとめた。 (9)6月15日、西口、長谷川、藤原は、戸田記念国際会館で矢野と会い、「青年部の怒りはやむを得ない」「庶民の心に立ち戻らなければ地獄におちる」「家も売って」「2億だとか3億だとか、そういうものを(寄付しろ)」などと述べ、矢野に資産のほとんどを学会に寄付しろとの理不尽な要求をした。 (10)2006年(平成18年)5月頃から、何者かが矢野宅近くに監視カメラを常設、監視を続け、矢野、矢野の妻や秘書らが外出する際には数台の車で執拗に尾行するなど脅迫した。尾行者は、矢野らが地下鉄、鉄道で移動する時も、背後につきまとい、矢野らは身体の危険をしばしば感じた。これらの苦痛、危険に耐えかねて、氏名不詳者を被疑者として、警視庁牛込警察署に被害届、保護願をだし、警察によるパトロール強化を求めることになった。その時期、態様などから、この尾行、監視が学会によるものではないかと考えている。 ◇違法性と責任 (1)一連の行為が、矢野の基本的人権とプライバシーを違法に侵害することは明らかである。このうち、手帳の持ち去り、家探しについては、現在、東京高裁で審理中である(筆者注、後述)。 (2)言論活動の妨害 杉山、谷川、弓谷、森井らの行為は、矢野を脅迫して、政治評論家活動を中止させたものであり、憲法で保障された表現の自由、職業選択の自由を侵す違法な行為である。4人の被告に損害賠償責任がある。 (3)寄付要求(省略) (4)機関紙による誹謗中傷(省略) (5)創価学会の責任 言論活動の妨害が学会幹部により、学会の行為といて行われたことは明らかである。『聖教新聞』『創価新報』などが、言論妨害者の行為を賞賛し、矢野を非難していることも、これを強く裏付ける。さらに、3人の元公明党議員が、学会と公明党幹部の指示を受けて、矢野の手帳などを持ち去ったことも、言論活動封じ込めを一層確実にするためのものであったと考えるべきである。以上、学会自体が、矢野の言論活動を妨害したものと評価されるべきであり、損害賠償責任を負う。 寄付要求は、その寄付先が学会であることからして、長谷川らの行為は、個人的発意による行為ではなく、学会としての組織的意思による行為と見るべきであり、学会は損害賠償責任を負う。 創価学会側の提訴 一方、創価学会の谷川佳樹・副会長は5月20日、『週刊新潮』(5月22日号)が掲載した悪辣な捏造記事で名誉を毀損されたとして、同誌発行元の新潮社(代表取締役社長、佐藤隆信)と早川清・編集長、記事中で事実無根の虚偽を並べた矢野・元公明党委員長を相手に、1100万円の損害賠償と、同誌、全国紙などへの謝罪広告の掲載を求めて、東京地裁に提訴した。 訴状などによると、「『週刊新潮』は矢野の一方的な話を鵜呑みにして、2005年(平成17年)5月14日懇談の席で、あたかも谷川が、矢野やその家族に危害を加えると脅迫し、評論活動をやめるよう強要したかのような虚構を掲載したものである」としている。 この提訴について、谷川氏の代理人の小川治彦弁護士は──5月15日発売の『週刊新潮』5月22日号に、「『矢野絢也』を窮鼠にした『創価学会』の脅迫と誹謗中傷」とのタイトルの記事が掲載された。この記事では5月14日の矢野氏と学会青年部幹部との面談で、「谷川は『人命にかかわるかもしれない』『あなたは息子がどうなってもいのか』という趣旨のことを言って矢野を脅迫した」との訴状を引用。「家族にまで危害がおよぶ恐怖を感じたのです。それで、文春に書いた手記についての謝罪と、今後、評論活動は一切しませんと約束させられてしまいました」との矢野氏の発言が掲載されている。この記事は、創価学会副会長の谷川氏が、暴力団まがいの脅迫行為、犯罪行為をしたとするものであり、谷川氏の名誉を著しく毀損するものだ──と指摘している。 次ページ(2)につづく この記事のトラックバックURL:
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