パイロットの英語試験、不合格ゼロのからくり(下)
すると、韓国では大変なことになった。2004年末に交通安全公団主管で航空従事者(操縦士、管制士、無線通信士)を対象とする英語評価試験の一種「G‐TELP」を行ったところ、基準を満たしたのは操縦士が275人中114人(41.5%)、管制士は85人中23人(27.1%)だけだったからだ。2005年には、試験を受けた434人中317人(73%)が不合格となった。
ところが、最終期限に定められた今年3月までに、英語評価の対象者3600人余り全員が合格証を手にしたことが分かった。どのようにしてパイロットや管制士の英語の実力を急にアップさせたのか。
答えは、航空安全本部が「問題銀行」式の試験を導入し、予想問題をホームページ上に全て公開したところにあった。ICAOは「この場合、英語の実力を正確に測定するのは難しい」として否定的な意見を示したが、航空安全本部は「こうしたやり方でなければ、操縦士や管制士の大部分が英語試験にパスできず、航空機を操縦できなくなる状況に陥る」と訴えて押し通したことが分かった。しかし、問題を事前に教えてもらった上で試験を受けたにも関わらず、合格者の約95%は「4等級」の判定を受けた。4等級とは、100点満点中65‐79点だったことを意味し、3年後に再評価を受けなければならない。
これに対し航空従事者らは、「英語のために航空機が危険にさらされるケースはほとんどない」と主張し、英語試験を導入する必要はない、と不満げに語っている。そもそもこの制度は北米地域での運航が頻繁な南米系航空会社の操縦士のために設けられたもので、日本や台湾でもICAOの要請に従い操縦士の英語能力を評価しているが、試験は航空会社が自主的に行っている。韓国だけが外部評価機関に任せており、そのために試験料として一人当たり9万6000ウォン(約6600円)もの費用がかかっているという。
李衛裁(イ・ウィジェ)記者
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