パイロットの英語試験、不合格ゼロのからくり(上)
不合格者続出と見て、あらかじめ予想問題を教える
それでも95%が79点以下、3年後に再評価
2001年9月11日、仁川国際空港を飛び立ち米国ニューヨークに向かっていた韓国の航空会社の旅客機がサンフランシスコ上空を過ぎるころ、突然米国空軍の戦闘機から追跡された。米国の領空でこの旅客機が「ハイジャックされた」という情報が入ってきたためだ。
この旅客機は戦闘機の指示に従い、近くにあるカナダのホワイトホース空港に着陸した。後で分かったことだが、この一件は旅客機と航空管制部の間の意思疎通がきちんとなされておらず、そのために起こったハプニングだったという。当時、旅客機を操縦していた訓練生の副機長が誤って「ハイジャックボタン」を押してしまい、航空管制部が状況を確認する過程で対話に誤解が生じ、実際にハイジャックが発生したと判断したというわけだ。米国メディアは当時、「“つたない英語(Broken English)”のために起こった騒動だ」と報じた。
1994年4月、韓国の航空会社の貨物機が中国・上海の虹橋空港付近に墜落した。この事故の原因の一つとして、当時パイロットが管制部との通信過程で「1500フィート(約457メートル)」を「1500メートル」と誤解してしまった、という点が指摘されている。
意思疎通の過程における小さな誤解でも場合によっては大きな事故につながる可能性が高い、という判断に基づき、2004年9月に国際民間航空機関(ICAO)は韓国など非英語圏の国に対し、英語の実力が備わっていない航空従事者を現場から排除してもらいたいと求めた。毎年起こる航空機事故のうち15%から25%は「コミュニケーション上の問題」によるものだ、という判断の下、こうした要求を行ったわけだ。
ICAOは2008年3月まで猶予期間を設け、この時までに英語能力試験を通過できなかった航空従事者については国際線業務に従事させないよう、各国に通告した。
李衛裁(イ・ウィジェ)記者
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