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キス1回=1万円タイトルNO.80045
    JuJu 11/08(土) 17:07 IP:60.39.7.10 削除依頼

 
「 1回、1万円だけど、どう? 」

 
 
          YES or NO??





NO.1 JuJu 11/08(土) 17:34 IP:60.39.7.10 削除依頼



こちらは、深夜の街の中。

ここでは最近

ある仕事が騒ぎになっている。

 
その社員は、特に女子高生を中心としているらしく

高校生から始まり、幅広い年代の男性が狙われているそうだ。



「 キス屋? 」

「 そうよ、キス屋 」
 

学校が終わった深夜に出勤し、

男性の帰宅時間をねらって仕事をするのだ。

 
こちらの女の子も、人目のつかない場所でその仕事をしているようである。

 
「 キス屋って…最近騒ぎになっているよな。

するわけないだろう!!

俺には子供も女房もいるんだよ 」

「 だからあなたに言ってるのよ? 」

 
女の子は、30代前半の会社員を狙ったようだ。

一歩近づき、相手の右手を両手でつつみこむ。


「 …疲れた顔してるわ…。

最近、奥さんに大事にされてないんじゃない? 」

「 !! 」


どうやら男性は図星だったようす。


二人の目が合う。


彼女の白くて細い腕、黒い瞳、サラサラの長い髪。

おもわず見とれてしまうのも無理ない。


「 ちょっとだけ…

あたしと遊んで…? 」

「 …っ 」


そのまま彼女は、男性を抱き寄せ

優しくキスをした。

 
ボソッ

 
「 1回1万円よ  」



NO.2 ナーシー 11/16(日) 20:08 IP:219.165.173.210 削除依頼
ネクスト★
面白いです!!

NO.3 芽癒 11/16(日) 20:09 IP:124.99.114.253 削除依頼
面白いです! 更新お願いします!
よければ友達になりませんか?

NO.4 JuJu 11/23(日) 23:59 IP:60.38.12.59 削除依頼
耐え切れなくなった男性は、そのまま彼女に抱きつこうとした。


「 …だめよ、ここからは追加料金よ。

もしこれからも付き合ってくれるなら…

また次の機会で 」


続きをしようとするといきなり冷たくなる。



「 …次も頼むよ 」

「 これであなたもキス屋の会員ね? 」

「 あぁ… 」

 
男性は簡単にキス屋の魅力にとりつかれてしまった。

最初に全否定をしていた面影は一つも無い。


「 じゃあ今日の分は…

キス1回分の1万円、

そして入会金の…

5万円のところを特別に3万円にしちゃうわ 」


そういうと彼女は制服の胸ポケットから、1枚の名刺をとりだし、

相手の胸ポケットに入れた。

 
「 いつでも連絡して?

この時間には必ず会いに来るわ 」

「 あ、あぁ… 」


「 じゃあ、この今日の分はもらっちゃうわ 」


いつサイフから抜き出したのか、手には4万円がしっかり握られていた。


男性は、すっかり彼女に魅了されてしまい
なにをされても気づいていない。

 
「 じゃあまたね 」

NO.5  なの 11/24(月) 01:44 IP:210.153.84.228 削除依頼
ねく

NO.6 JuJu 11/24(月) 09:21 IP:60.38.12.59 削除依頼
〒 ナーシー様 芽癒様 なの様

nextありがとうございます(´`*)
頑張って更新します。

芽癒様、ぜひぜひお友達になりましょう(・ω・)

NO.7 JuJu 11/24(月) 09:26 IP:60.38.12.59 削除依頼
 

1日、1日で一人、一人とキス屋に魅了されていく男性は増え続けていた。

 
「 キス屋? ばからしい 」なんて言う男性が今になっては

逆に珍しくなってしまったようだ。

 
だが、キス屋社員は
あくまで女子高生であることを忘れないで欲しい。


さあ、ここからは
ある一人の社員にスポットをあててみよう。


この物語は、ここから始まる…

 
 

NO.8 JuJu 11/24(月) 09:47 IP:60.38.12.59 削除依頼

 

「 おい! おい、ひなた! 」


「 んんー?? 」

 
「 何時まで寝てんだてめー!!

今8時20分だぞ!! 」

 
「 んー… 」

 
1階の茶の間から、お兄ちゃんの声が遠くに聞こえた。

温かい天国の布団から

手だけを出して、携帯の時計を見た。

 
「 やば…っ

今日風紀検査…ッッ 」


ガタンッ

 
布団から飛び起きて、

昨日脱ぎ捨てたままの制服を着て、

階段を駆け下りる。

 
「 お兄ちゃんおはよう! 」

「 おはよう! じゃねーよ!!

早く行けーッ!! 」

「 いってきまーす!! 」


かばんに、洗面用具、歯ブラシ、アイロン、メイクセットを詰め込んで

勢いよく家を飛び出した。

 
学校までは歩いて10分、

全力ダッシュで5分くらいだ。

 
「 もーっ! 出勤時間が2時までとかありえん!! 」


この、周りの目を気にせず叫び

学校へダッシュしている女子高生。


実は、彼女もキス屋の社員である。

 

NO.9 ま∩^ω^∩め 11/24(月) 13:14 IP:118.237.21.14 削除依頼

面白いです!
リク( ∵ )

NO.10 にょろーん(ω*) 11/24(月) 17:45 IP:58.98.161.246 削除依頼
おもしろいですΣ(゜д゜;)
ねく

NO.11 にょろーん(ω*) 11/25(火) 21:22 IP:58.98.161.246 削除依頼
あげ

NO.12 11/25(火) 21:49 IP:114.189.50.82 削除依頼
おもしろいっ、
ねくすと!

NO.13 JuJu 11/28(金) 19:32 IP:60.38.12.146 削除依頼
〒ま∩^ω^∩め様

〒にょろーん(ω*)様

〒あ様

 
コメありがとうございます(ω)
更新遅いですが、気長に待ってくれたら嬉しいです。

NO.14 JuJu 11/28(金) 19:47 IP:60.38.12.146 削除依頼

 
 
「 はい、君遅刻ね 」
  
 
風紀委員の冷たい一言。
 
 
「 … 」

 
遅刻は8時30分から。

あたしが着いたのは…

 
8時31分だった…

 
「 これからは時間に余裕を持った行動をしましょう 」

「 はい… 」

「 名前とクラスは? 」

「 美空 ひなた…D組… 」

 
普段の遅刻はいいとして…

ほんとはよくないけど。

 
風紀検査のときの遅刻検査で遅刻をすると、

とんでもないことになる。

 
「 美空さん、この遅刻届けを事務室にもっていって…

あとは今からハンコを押す生徒手帳を職員室に…

それから… 」

「 … 」

 
こんなふうに、とんでもなく面倒くさいことになる。

だから今日だけは遅刻したくなかったのに!!

 
「 じゃあ、生徒手帳出してくれるかな? 」

「 はいはい… 」

 
生徒手帳をかばんから出そうとする。

朝無理やり入れたヘアアイロン、その他色々と詰め込んできたため、

生徒手帳が取り出しづらい。

 
「 ちょっと待ってください… 」

 
思いっきり手をつっこむ。

 
  
バサッ

 
 
かばんからはみ出ていた封筒が、

重たげな音をたてて風紀委員の前に落ちた。

 
「 ? 落ちましたよ? 」

「 げ…っ!! それは…っ

さ、触っちゃだめ!! 」


 


 


 

NO.15 JuJu 11/28(金) 19:56 IP:60.38.12.146 削除依頼

 
 
そう言ったときには、もう遅かった。

風紀委員は、その重たい封筒を拾い上げあたしに渡そうとした。

 
「 どうぞ 」

「 あ、ありが… 」

 
 
バサ――――


 
「 !? 」

「 !! 」

 
封筒に入っていた、

何万…いや総額何十万のお札が


重さに耐えられなかった封筒が破けて


出てきたのであった…

 
 
「 あ…あはは… 」

笑ってごまかそうとしたが…

 
「 先生ーッ!! 先生ぃーッ!!! 」

 
…時すでにおそし。

風紀委員はありえないスピードで、先生にチクりに行ってしまった…

 
え? その大金はなにかって?

 
 
…決まってるじゃない。


 
お給料よ、お給料。

 


NO.16 マロン 11/28(金) 20:30 IP:60.47.211.17 削除依頼
ねくすと
きぼんぬ(☆∀☆)ノ

影から見てた(^皿^)b

NO.17 リオン♪ [MAIL] 11/29(土) 09:29 IP:121.113.215.181 削除依頼
NEXT(*^^)

NO.18 ま∩^ω^∩め 11/29(土) 14:58 IP:118.237.8.240 削除依頼

やっぱ面白いです!
楽しみにしてます∵*

リク

NO.19 奈々 11/29(土) 16:12 IP:219.34.111.12 削除依頼
面白いですwwネク

NO.20 にょろーん(ω*) 11/29(土) 18:17 IP:58.98.161.246 削除依頼
えーーー!?

NO.21 JuJu 11/29(土) 20:11 IP:124.84.206.138 削除依頼


「 あぁーっ、くそ…

さらに面倒くさいことに… 」

 
ばらまかれたお札を丁寧に残さず拾い上げ封筒にいれる。

俊足の風紀委員は

拾い上げた頃にはもう先生を連れてきていた。

 
「 おい、お前か!! 何十万も学校に持ち込んだのは… 」

 
…風紀委員よりもっと早い足の、

生徒指導部の先生があたしの前まできた。


「 あー、えー…っと 」

「 見せてみろ!! 」

 
言い訳を考えているうちに、

持っていた封筒をとられてしまった。

 
指導部の先生は、封筒の中を確認した。

 
「 5…10…16…20…25…28…

30万だと!? 」

 
30万円と、たくさんの小銭が入ったビニール袋…

袋の中身はそれだった。

 
「 お前…こんな大金を…っ!! 」


先生の顔が青ざめている。

こんな大金、普通の高校生が持ち歩いているわけがない。


「 あ…あの、これはですね… 」

「 こんな大金…っ

先生の車のローンの何ヶ月分だと思ってるんだ…っ 」

 
先生の青ざめている理由は、ずれていた。

 
「 あのっ、先生!! 先生!! このお金は…っ 」

 
良い理由が思いつかない。

頭の中で、意味のわからない理由がぐるぐる回って、

何が一番いいのかわからない。

 

NO.22 あい 11/29(土) 20:13 IP:114.155.109.17 削除依頼



  ネクスト!



NO.23 JuJu 11/29(土) 20:24 IP:124.84.206.138 削除依頼
 
 
「 ごほん…まぁ…理由は、生徒指導室で聞こう 」


指導部の先生は、ひなたの真っ白で細い腕をガッチリとつかんで、

教室へ向かった。

 
「 馬場先生ーっ、聞いてくださいよう… 」

「 はいはい、今からゆっくり聞くからね 」

 
生徒指導部、馬場先生は

話が長い熱血教師だった。

 
何を言っても聞く耳をもたない。

 
誘導されるがままに、肌寒い生徒指導室のいすに座らされた。

 
「 さぁ…この大金だが… 」

 
向かい合わせに座った先生は、

二人の間にある机にさっきの封筒を静かに置いた。


「 …っ 」

 
ひなたはまだ良い理由が見つからなかった。

 
( あたしが、キス屋社員だってばれたら…

大変なことに…っ )


体中に緊張が走る。

今から何を言われるんだろう。 

 

「 この半分を先生にくれたら、

これからの説教をなしにしてやるぞ 」

「 先生、おふざけもいいかげんに 」

 
先生の冗談に笑顔で答える。

 
「 そんな冗談はおいといてだな… 」

 
ごく…っ

 

NO.24 JuJu 11/29(土) 20:35 IP:124.84.206.138 削除依頼
 
 
「 なぜ…、こんな大金を持っている? 」

「 … 」

 
しんとした空気の中で、先生が低い声であたしに聞いた。

 
「 … 」
 

ひなたの心の中の理由は…

 
( いやー、昨日もらったばっかりの給料だったんで嬉しくて持ってきちゃったんですよ )

( キス屋の給料の袋、かばんから出すの忘れてて… )

 
…心の裏では、自分の正直さに腹を立てていた。

 
「 答えられないのか? 」

「 …いえ、今月分の母からの仕送りを持ってきてしまったんです。

すいません…、わたしが…っ 」

 
とっさに出てきた理由を、早口で答える。

同時に涙で同情をさそう。

 
「 あぁ…っああ!! 泣くな泣くな!!

そうだよな、そうだよな、お前はお兄さんと二人暮らしだといっていたよな!! 」

「 …っすいません、すいません…っ。こんな大金… 」

「 いや、俺が悪かった…っ 」

 
いつの間にか立場が逆転していた。

馬場先生の弱点はずばり「 涙 」だった。 


「 わかった、理由はわかったぞ。

じゃあ教室に戻れ。


あ、この大金は持ち歩くのはキケンだから授業が終わったらとりにきなさい。 」

 

「 はい…っ 」

 
腹の中で爆笑をこらえながらも、

立ち上がり、ドアへ向かう。

 
「 …ちょっと待て 」

 
ドアノブに手をかけたとき、

先生はひなたを呼び止めた。



NO.25 JuJu 11/29(土) 20:52 IP:124.84.206.138 削除依頼

 


「 美空…

 
『 キス屋 』をしってるか 」
 
 
 

「 …!? 」
 
 
予想外の質問に、即座にふりむく。
 
 
「 どうなんだ? 」

 
先生はあたしが知ってるのを知っていて聞いてる?

先生はあたしが関わっていることを知ってる?

先生はあたしが社員であることを悟っている?

 
それともただの興味?
うわさで聞いただけ?

 
足が震える。


…なんて答えたらいいんだろう…

 
 
「 …しっ…りません…っ 」

 
足と同時に震えた声で答える。

それが精一杯だった。

 
結構度胸のあるほうのあたしだけど…
 
 
キス屋の社員であることがまわりにばれること以上に、

怖いものはないと知っている。

何よりも大事にしなければならないことという事も…


 
…『 命 』以上のものだという事も…

 
 
「 …そうか、もういいぞ 」

 
先生のその言葉に、どんな意味があるかなんて知らない。

あたしはすぐに生徒指導室を出た。

 
 

 

NO.26 JuJu 11/29(土) 20:57 IP:124.84.206.138 削除依頼
 
 
…あのいつも明るくて

おふざけが過ぎている先生が…
 
 
あんな真剣な目で、あたしにキス屋の存在を聞いてきた。

 
手を顔の前で組み、

あたしを鋭い目で見た馬場先生が

ひなたの目に焼きついている。

 
あんなに真剣な先生、見たことがない。

 
それほど、重要なことなのだろう。

 

嘘をついてごめんなさい、先生…

 
でも、あたしがキス屋の社員である以上、

こんなことくらいで

ばれるわけにはいかないんです…

 


NO.27 JuJu 11/30(日) 20:25 IP:124.85.3.86 削除依頼
〒マロン様

〒リオン♪様

〒ま∩^ω^∩め様

〒奈々様

〒にょろーん(ω*)様

〒あい様


next&コメありがとうございますヽ(´∀`)ノ

頑張って更新します☆

NO.28 JuJu 12/05(金) 18:26 IP:221.185.176.233 削除依頼


「 君。

キス屋に興味はないかい? 」

 
バイトで遅くなった、ある日の夜。

あたしの後ろに、彼は現れた。

 
「 キス屋ぁ…? 」

 
キス屋の存在がまだあまり世間に知られていない頃だった。

だが女子高生ともなれば、噂を聞かないわけが無い。

 
…女子高生をスカウトするってほんとだったんだ…

 
「 そう。

条件は厳しいものになるが…

給料ははずみまくりだぜー? 」


にやりと笑う男。

 
真っ黒なローブに怪しげなサングラス。

声を聞いていると…

きっと30代くらいのおじさんだろう。

 
「 悪いけど…、キスを売るわけにはいかないんだよね。

ってか、うちには親いないから、

勝手に怪しいバイトしてたら兄ちゃんに心配かけるし… 」

 
ぶつぶつと理由を並べて断ろうとすると、

男はポケットから札束を取り出した。

 
「 これ、平均的な月給 」

「 は…っ!? 」

 
札束をよく見ると、1000円札じゃない。

もう1つ0が多かったのだ。

…ざっとみて40万はある。
 

「 月給ですって? 」

「 嘘はつかないよ?

君、きれいだし、可愛いから…

慣れてきたら、これの倍の給料は軽くいくんじゃないかな? 」

 
「 80…っ 」

「 悪い話じゃないでしょう? 」

「 … 」

 

NO.29 まり 12/05(金) 19:13 IP:125.172.217.120 削除依頼




    ねくすと♪♪



NO.30 ♪ひよ♪ 12/05(金) 19:55 IP:122.249.153.247 削除依頼
面白いですね(^□^)

さいこ〜!!!

NO.31 亜ス架 12/05(金) 20:20 IP:118.21.92.71 削除依頼
メッちゃ面白いです!!

ネクストです!!

更新とかがんばってください!

天才小説家さん←

NO.32 柚実 12/05(金) 20:24 IP:219.54.181.48 削除依頼
あげます(ノ*´I`)ノ

NO.33 JuJu 12/05(金) 22:47 IP:221.189.37.165 削除依頼
〒 まり 様
〒 ♪ひよ♪ 様
〒 亜ス架 様
〒 柚実 様

ネクストありがとうございます(><)
天才だなんて…´`*

これからも頑張ります☆


NO.34 JuJu 12/06(土) 16:09 IP:221.189.50.248 削除依頼


ガチャ
 

「 遅かったな、ひなた 」

「 ん、ただいまおにーちゃん… 」

「 あんま無理すんな 」

 
今から言うことは、

お兄ちゃんは許してくれるのかな。

 
「 あのね…

お兄ちゃん 」

「 何? 」

 
時計は夜10時半。

お兄ちゃんがつくってくれたカレーは、

ラップをかけてテーブルにおいてあった。

 
お母さんも、お父さんも、ほんとはいない。

あたしが小さい頃に二人ともいなくなちゃったんだ。

 
今は、生きてるか、死んでるかもわからない。


多大なお金があれば…、世界中をさがせば…

きっとどこかで見つかると思うけど、

あたしとお兄ちゃんはそんなことはしない。

 
あの日、いきなりあたし達兄妹を捨てた両親を

許すことはこの先きっとない。

 
だから今はお兄ちゃんと二人で両親がおいていった家で暮らしてる。

生活費は、大手会社の正社員のお兄ちゃんが贅沢なほど保障してくれてる。

 
7歳離れた、たった一人のお兄ちゃん。

ずっとずっと二人で暮らしてきたお兄ちゃん。


そんな人に…


「 キス屋の社員契約をしてきました 」

 
…なんて…っ

 
言えるはずがない…!!!!

 


 

NO.35 JuJu 12/06(土) 16:27 IP:221.189.50.248 削除依頼
 
 
「 なんだよひなた…

顔色悪いぞ 」

「 あの…っあのねお兄ちゃん!!

ともっ友達が、いいバイト先紹介してれたの!!

だから…っもしかしたらそっちに移るかも!! 」

「 …あ、そ。

あんま体に負担かかるような仕事はやめろよ 」

「 うん…っうん!! 」

 
…嘘をついてしまった…

きっとこれが、お兄ちゃんにはじめてついた嘘。

 
でも…

高校生が月給80万なんて…

 
この話に飛びつかない人なんている…?


 
罪悪感は、笑ってごまかした。


 
ごはんを食べて、

シャワーをあびて、

自分の部屋のベットに倒れこむ。

 
このまま深い眠りにつくのがいつもの日常。

 
でも今日、

右手にはある紙を握っていた。

 
「 キス屋の法則…? 」


あの変なおじさんにもらった紙には、そう書いてあり、

下に文が続いていた。

 
 
『 キス屋の存在を他人へ自分からばらす行為 = I'll kill you 』



「 は…っ!? 」


I'll kill you 「 私はお前を殺す 」と書かれてる。

 
その下に『※』のマークがあり、

その後には色々な人の名前が続いていた。

 

「 なんだろこの名前…? 」

 
山田春恵・大山雅・青山まどか・西山恵美…

ざっと見て20人。

 
その中に見覚えのある名前を発見した。

 
「 佐々木 アスカ…!? 」

 
その人は、ひなたの学校で行方不明になった先輩だった。

美人で性格もよく、誰からも人気のある女性だった。


その人の名前が


キス屋からもらった紙にしっかりと書き留めてあったのだ…



 

NO.36 Erena■ 12/07(日) 00:42 IP:121.94.32.113 削除依頼
おもしろい!
まいにちたのしみにしてますw

NO.37 桜子 12/08(月) 19:10 IP:118.12.133.223 削除依頼
早くガンバッテ、かいてください。読みたいです。

NO.38 紗希 12/08(月) 19:20 IP:114.152.125.234 削除依頼
ネクスト(*^。^*)

NO.39 JuJu 12/08(月) 20:41 IP:124.85.57.54 削除依頼
 
 
「 なんでアスカ先輩の名前が…? 」
 
…なんて声にださなくてもわかる。

 
多分、彼女はキス屋の社員に任命されたのだ。

でもなんらかの形でキス屋の正体が彼女によってばらされて…

キス屋の法則通りになってしまった、という事だ。


…これなら今まで行方不明で見つからない根拠になる。


信じられない現実に手が震え

持っていた紙を落としてしまった。

 
「 …っと 」

 
紙はひらひらと部屋を舞い、

ひなたの部屋のベットから床に落ちた。

 
その紙を拾おうと、ベットから降りたとき、

ひなたは短く悲鳴をあげた。


「 …っ 」

 
その紙は、ひなたからみて裏になって落ちていた。


その裏には…


 
『 あなたもこのような人たちの運命をたどりますか? 』


と、赤い文字で書いてあったのだ…



NO.40 12/10(水) 20:27 IP:219.54.181.48 削除依頼
あげあげ★

NO.41 マロン 12/10(水) 21:03 IP:60.47.211.17 削除依頼
ねく
がんばれ↑

NO.42 桜子 12/11(木) 17:11 IP:118.12.133.223 削除依頼
早く読みたいよ〜〜。天才だぁ〜。ネクスト

NO.43 JuJu 12/12(金) 21:41 IP:221.184.98.172 削除依頼
 
 
気づくと朝日が窓からさしていた。

眠らなかった。

いや、眠れなかったというのが正しい。


 
「 ふぅ… 」

 
あの紙はしっかり握り締めていた。


もう自分でも今から何をしようとしているのか、わからなかった。

本当に昨日、あのキス屋の社員になってしまったのだから。


解約は…

きっとできないだろう。

 
「 学校いかなきゃ… 」

 
時計は朝の6時。


「 うあッ!! ひ、ひなた!? なんだよこんな朝早くに… 」

「 おはよ、お兄ちゃん… 」

 
階段を降りると、お弁当作りをしているお兄ちゃんの姿。

いつもあたしが起きたときには。もうしっかりと包まれたお弁当がテーブルの上においてあったから

作っているのを見ることは滅多にない。

 
「 いつもこんなことしてるんだぁ… 」

「 あ? まぁな… 」


お母さんがいなくなってから、あたしのお弁当を朝いつも作ってくれてる。

最初は、料理なんてほとんどできないお兄ちゃんだったけど…

きっと、いっぱいいっぱい勉強したんだよね。


「 …手伝おうか? 」

「 今夜はふぶきか… 」

「 いま5月なんだけど… 」

 
そうつっこむと、すぐにお兄ちゃんがあたしの頭を軽く叩いた。

 
「 ばか、お前の料理なんて食えるもんじゃねえだろ 」

「 ちょ! どういうことよ 」

「 いいから、休んでろ。ただでさえバイトで忙しいのにお前は… 」


ぶつぶつと文句をいうお兄ちゃん。

こんなこと言ってるけど

あたしのこと、いつも一番大切にしてくれてるんだ…

 
…やっぱり、経済的にも、家庭的にも

頼ってばっかりじゃだめだ!!

 
「 お兄ちゃん!! あたし、今日から新しいバイトするね!! 」


…言ってしまった…


NO.44 JuJu 12/13(土) 20:44 IP:124.84.219.174 削除依頼


…そんなこんなであたしはキス屋の社員としてこの日から働くことになった。

 
まぁ、初出勤の話とか

どんな仕事の仕方だとか…

 
そんな話は後にわかることだから、

今は話さないでおく。

 

NO.45 JuJu 12/13(土) 20:55 IP:124.84.219.174 削除依頼
  

話を今にもどそう。


 
「 なんで馬場先生、あんなこと… 」

 
さっき馬場先生から聞かれたことは、説教よりもずっとずっと、ひなたにとってはつらいことだった。


下を向いて、まずは自分の教室に向かう。

 
ひなたは遅刻してきたので、

他の生徒はとっくに授業をはじめている。


生徒指導室から出た廊下は、

まるで誰もいないように何も聞こえない。


ひなたの足音だけが

妙にひびきわたる。

 
その音と、さっきの馬場先生の言葉がひなたの頭の中でこだまし、
 
その音と同時に

あの日見たアスカ先輩の名前と「 I'll kill you. 」の文字が残像としてちらつく。

 
「 絶対…絶対ばれちゃいけないんだ… 」

 
震えた声で独り言をつぶやく。

このことだけは誰にも相談してはいけない。

 

ウ゛ーッ ウ゛ーッ


 
「 !! 」

突然、ひなたの携帯のバイブ音が鳴った。

 

NO.46 ユニコーンの呪文 12/13(土) 21:38 IP:198.81.3.167 削除依頼
おもろぃ!!!
読みました^^
がんばれ〜><
続きめっちゃ気になるねんけど(→^^←笑)

NO.47 12/14(日) 20:07 IP:61.119.178.86 削除依頼
next(*^Д^*)!

NO.48 奈々 12/16(火) 15:44 IP:219.34.111.12 削除依頼
ネク

NO.49 12/19(金) 15:11 IP:58.94.66.83 削除依頼





NO.50 JuJu 12/20(土) 18:47 IP:124.84.202.167 削除依頼
 
 
「 …っはい!! 」


会社からの電話だった。

ひなたはあわてて電話に出る。

 
「 No.1873ですね? 」

「 そうです 」

 
電話の向こうの女性の声は、キス屋の連絡管理人である。

この管理人は、キス屋会員と社員の橋渡しをしてくれるのだ。

 
「 指名が入っていますが、今日の夜11時はどうですか? 」

「 大丈夫です 」

「 指名者は会員NO.25の遠藤さんです。

それでは彼に指名承諾のメールを送ります。 」

「 了解しました 」

 
ブツッ

 
「 ふー… 」

 
…いつかは…やめなきゃいけないなんて、

何回も、何百回も思う。

まぁ、そんな簡単にこの仕事がやめられたら

命の心配なんてしないってな。

 

NO.51 JuJu 12/20(土) 19:08 IP:124.84.202.167 削除依頼

 
夜11時。

街は12時間前と逆の顔、

昼より明るい光だらけの夜の街となる。

 
そんな街に、

毎日女子高生達は繰り出して行き、

溶け込んでいくのだ…

 
「 遠藤さん 」

「 ひなたちゃん…きてくれたんだね 」

 
ひなたは早速待ち合わせの場所にいた遠藤さんに駆け寄っていった。


遠藤さんは26歳、若くして有名会社の社長である。

太っていて、

まさにメタボちっくな体型なのだが、

経済力は計り知れない。

 
ひなたのことを気に入ってくれていて、

毎回10倍近くの収入を得ることが出来る。

 
「 今日もいいかな? 」

「 もちろんです、遠藤さん 」

 
今日の朝、バックに詰め込んだメイクセットで

完璧に仕上げた顔を彼に近づける。

 
「 う…っ 」

 
だが…

遠藤さんから10倍の収入を得るためには、

このきつい口臭の壁をこえなければならなかった…

 
( 歯くらいみがいてこいや… )

 
キス屋に入りたてのころ、初めて遠藤さんとキスをしたときは

猛烈な吐き気がひなたを襲ったが、

ハッキリ言えばもう、慣れてしまった。


「 … 」

 
ひなたは遠藤さんの顔を両手でつつみ、

そっとキスをした。

 
「 ひなたちゃん…最高の気分だよ 」

「 私もです、遠藤さん 」
( 遠藤さん…最悪の気分だよ )

 
ひなたはそのまま遠藤さんに抱きしめられてしまった。

ハグは恋人以外とする気は最初は全く無かった。

でも…やっぱり金には勝てない自分がいる。

 
でも彼女は遠藤さんに抱きしめられているときはどうしても、

大きな肉まんにつつまれている気持ちにしかなれなかった。

 

NO.52 〓ゆぃ〓 12/20(土) 21:24 IP:220.61.160.30 削除依頼
おもしろい!
ねくすと希望します♪

よかったら
ゆぃの小説も見に来て下さい><

NO.53 カロラァ 12/20(土) 22:30 IP:124.144.62.194 削除依頼
NeXT希望です♪

NO.54 Eru*+ 12/21(日) 10:40 IP:221.17.197.134 削除依頼
超面白いです^^*

ネクスト☆

NO.55 12/21(日) 15:05 IP:58.94.66.83 削除依頼



ト♪

NO.56 はるな☆ 12/21(日) 16:14 IP:125.2.57.155 削除依頼
すごくオモシロイですね(・+・)
私の夢は、小説家デス!!!
何か、すっごく参考になりました♪
絵も上手いんですか?
私、本当は小説家か漫画家でなやんでるんですけどね・・・・・。
よく「絵上手い」って言われるんです。
(自慢ではありません。)
それで、絵を描いてるあいだになりたくなって・・・。
小説家も・・・・・。
続き、すごく楽しみです!
もう「プロ」ですね!
頑張って!応援しています。

NO.57 リオン♪ 12/22(月) 14:52 IP:121.113.215.181 削除依頼
NEXT!!

NO.58   桜子 12/22(月) 19:24 IP:118.12.133.223 削除依頼
ネクスト!!!

NO.59 JuJu 12/22(月) 21:02 IP:221.185.173.65 削除依頼


…恋ってなんだっけ。

 
キス屋に入ってから、ふと思うようになった。


好きでもない人とキスやハグをする回数を重ねるうちに

あたしは人を好きになる感覚を忘れてしまった気がする。

 
この寂しさを感じたのは、初めてじゃない。

忘れたことに気づいたときは言いようの無いむなしさがあったが、

今はそんな寂しさですら慣れてしまい、

なにも感じない。

 
「 寒… 」

 
社員になって半年が経つ。

ひなたはもう立派な正社員だ。

 
半年も経てば季節は逆転し、

夜中に明るい街にいても

冷たい風が彼女を横切る。

 
その風は、ひなたのぽっかりとあいてしまった心へ

隙間風のように通っていった。

 
遠藤さんからもらった10万円をしっかり握り締め、

冷たい街をどんどん進んでいく。

 
…そんなときだった。

 
 
♪〜

 
 
「 ? 」

 
 
街に響き渡る、澄んだ歌声が聞こえてきた。

 
 

NO.60 JuJu 12/22(月) 21:23 IP:221.185.173.65 削除依頼

 
その辺のストリートミュージシャンじゃない。
 
音楽にあまり詳しくないひなたでもわかった。


彼の歌声は街行く人を一瞬で魅了し、

大勢の人を回りにあつめていた。

 
今のひなたとは真逆の世界がそこにあった。

 
「 …っ 」

 
その世界は、希望の光のようなものに見えた。

ひなたはゆっくりとその男性に近づいていく。

 
力強い、でも心地よい声。

気持ちの良い振動とともに聞こえてくるキーボード。

そして何より、

彼の音楽は今まで聞いたことのないものが伝わってくる。

それが何なのかは、ひなたにはわからないがなんとなくそう思った。

 
ひなたは大勢集まる人を押しのけて

そのミュージシャンのまん前にしゃがみ、

ずっと彼の奏でる曲を聴いていた。

 
 
自分とは正反対の世界にいる見知らぬ彼に、

ひなたは初めて魅了されるという言葉の意味を知らされた。

 

NO.61 12/23(火) 09:11 IP:221.17.197.134 削除依頼
ネクストでもないけど、一応ネクスト^^;


NO.62 Eru*+。 12/23(火) 09:14 IP:221.17.197.134 削除依頼
ネクストォ♪

続きが楽しみです★

61>>

ネクストでもないけどって、

ちょっと酷くないですか??

NO.63 JuJu 12/23(火) 21:54 IP:221.189.130.97 削除依頼


「 リクエスト、ある? 」

「 へ!? 」

 
突然彼は曲を止め、目の前にいたひなたに話しかけた。


「 あ、あの…どんな曲を弾いてるんですか…? 」
 
突然のリクエストに焦り、ひなたはおそるおそる聞いた。


「 ん? 君の好きな歌でいいよ 」

「 へ? 」

 
…そんな、あたしが知っててもあなたが知らない曲なんていくらでもあるじゃない…
 

「 あ、じゃあ…シャビッツのLOVE… 」

 
そう思ったが、ひなたは魔がさして誰も知らないような曲をリクエストした。

でもひなたがつらいときにいつも聞いていて、大好きな曲には間違いない。

 
「 うーん…わからないなぁ…。

その曲、聞かせてくれる? 」

「 …? 」

 
まさか。とは思いつつ、ひなたは携帯を取り出しその曲のサビ部分だけを彼に聞かせる。

彼は、曲を聴きながら一音、一音キーボードであわせてみていた。

 
「 OK じゃあいくよ 」

「 え…っ 」

 
サビを聞き終わると、そう言ってひなたに笑いかけた。

 
♪〜

 
「 !! 」

 
 
『 天才 』

 
ひなたの頭には、この言葉しか出てこなかった。


 
彼は一回も聞いたことのない曲を

一瞬で覚え、楽譜まで頭の中で作成できる。

 
しかも、一字一句間違えずに

一音も間違えずに…

 

NO.64 Eru*+。 12/24(水) 09:20 IP:221.17.197.134 削除依頼
ネクストォ^^*

NO.65 12/24(水) 20:41 IP:219.54.181.48 削除依頼
あげ&ねく

NO.66   桜子 12/25(木) 12:57 IP:118.12.133.223 削除依頼
ネクスト〜〜!★!

NO.67 リオン♪ 12/25(木) 13:05 IP:121.113.215.181 削除依頼
ネクスト!!
(+・`ω・)9《★F i g h t★》


NO.68 JuJu 12/26(金) 20:52 IP:124.84.212.43 削除依頼
 
 
 
「 …泣いてるの? 」

「 へ…っ? 」

 
彼の奏でる大好きな曲に魅了されていたかと思うと、

我に返ったとき、その曲はとっくに終わっていた。

 
周りにいたたくさんの人は、いつのまにか一人もいなくなってしまった。


「 あの…っごめんなさい…!!!

ついひきこまれてしまって… 」

「 リクエスト、こんな感じでよかったかな? 」

 
シャビッツの曲。

実は、ひなたが中学生の時お母さんにプレゼントされたアルバムの収録曲だった。

 
「 ありがとう。とっても良かった…

…よっ… 」

 
望んでもいない涙があふれ出る。

この曲を聴くといつもそうだ。

 
自分を捨てていなくなったお母さんの、

優しいときの場面しか頭に出でこなくなる。

 
許さない…って誓ったのに。

 
「 …ねぇ、ここに両手をおいてよ 」

「 ? 」

 
涙をカーディガンの袖でぬぐった。

 
そのとき曲しか聴いていなかったひなたは、

初めてはっきりと彼の顔と姿を見たのだ。

 
派手な色のキャップ。

短髪。


顔立ちがとても整っていて、

まつげも長い。

 
ひなたは、不意にもドキッとしてしまう。

面食いの自覚なんてないから…


その彼が、ひなたに向かって両手を差し出している。

 
…だが、一つだけ妙なところが彼にあった。

 
 
 
彼は、ずっと目を閉じていて

一瞬たりとも開けようとしないのだ。

 
 

 


 

NO.69 (●∀●) 12/26(金) 21:05 IP:61.126.209.136 削除依頼
凄いです!面白いです!天才ですっ!
ネクスト!

NO.70 カロラァ 12/26(金) 22:21 IP:124.144.62.194 削除依頼

 面白いです!

 NeXT希望です!



NO.71 紗希 12/27(土) 12:00 IP:219.124.194.27 削除依頼
ネクスト(^_^)v

NO.72 Eru*+。 12/27(土) 14:57 IP:221.17.197.134 削除依頼
目開けないって、目が見えないんですか??

ネクスト^^*

NO.73 JuJu 12/27(土) 20:39 IP:221.185.176.175 削除依頼


「 …? 」

 
色々と不思議に思いながらも、

ひなたは彼の両手に手をおいた。

 
すると彼は、

ゆっくりとひなたの手を握る。

 
ひなたの手をすっぽり覆ってしまうくらい大きな手だった。

さっきまで演奏していたからか、少し汗ばんでいた。

 
「 どうも。

俺、夢原 大河(yumehara taiga) 」 


「 …美空…ひなた 」

「 ひなたでいい? 」 

「 え? うん… 」

 
『大河』と名乗った男は、

しばらくそのままひなたの手を握っていた。

 
口元が優しく笑っている。

ひなたはその顔に、またドキッとした。 


しかし、目はいっこうに開けようとしない。



「 俺ね…目、見えないんだ 」
 
 
大河は歌っていた声より、ずっと低い声で

ひなたの心を悟ったように言った。 


「 !! 」

 
不思議に思っていたことの答えを言い当てられてしまった。

 
「 でも俺はこの体質で不自由だと思ったこと、一度もないけどね 」

「 … 」

 
びっくりして何も言い返せなかった。

「どうして?」とも聞き返せない。
 

見えないのに…なんであんなにキーボードが弾けたんだろ…

しかも、一度も聞いたことのない曲を…

 
「 ねぇひなた。

君、声聞いたところ学生だろ?

なんでこんな時間まで街にいるんだよ 」

「 バイト…してる…の 」


やっと声が出た。


「 へぇ?

どんなバイト? 」

 
そう聞かれた瞬間、

ひなたの心臓がとくんと跳ねた。

 



NO.74 JuJu 12/27(土) 20:48 IP:221.185.176.175 削除依頼
 
 

大河は笑みを浮かべながら問う。
 

 
ひなたは心臓がはねたのを合図に、

握られている手をはなして、大河の肩にまわした。

 
「 ひなた? 」


 
 
 
 
 
 
 
「 こういう仕事 」


 
 
 
 
 
 
 
ひなたはそのまま大河を引き寄せた。
 
 
 
 
 
 
 
 
  
ちゅっ

 
 
 
 
 
 



NO.75 JuJu 12/27(土) 20:48 IP:221.185.176.175 削除依頼
 



これは恋なのか

ただの驚き心臓の高鳴りなのか

 
ひなたにはよくわからない。

 
でも、

彼の持つものに

心の底から惚れこんでしまったのは

確かだった。

 


自分からキスをしたいと思ったのは

人生でこれがはじめてだった。

  
 


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