朝日新聞に続き、毎日新聞・産経新聞も半期赤字転落:もう変態新聞買う人なんていねーだろ・・





1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:03:45.63 ID:4nlYF2WK0

いつもと変らない1日の始まり。

僕はいつものようにPCの電源を入れる。



そしていつものように巡回作業へ移行する。

もうこんなことを数年間繰り返している。






自分が自宅警備員のベテランであることを自覚しつつ

プロであることに多少の負い目も感じる。









2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:05:43.34 ID:Bw1NUlsPP

    ク    ク || プ  //
      ス  ク ス  | | │ //
       / ス    | | ッ //   ク   ク  ||. プ  //
       /         //   ス ク ス _ | | │ //
         / ̄ ̄\     /  ス   ─ | | ッ //
       /  _ノ  .\     /         //
       |  ( >)(<)       ____
.        |  ⌒(__人__)     ./ ⌒  ⌒\
        |    ` Y⌒l    /  (>) (<)\
.         |    . 人__ ヽ /  ::::::⌒(__人__)⌒ \
        ヽ         }| | |        ` Y⌒ l__   |
         ヽ    ノ、| | \       人_ ヽ /
.         /^l       / /   ,─l       ヽ \








3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:07:58.27 ID:4nlYF2WK0

僕はいつものようにVIPに流れ着き一瞥して舌打ちを鳴らす。

「またゆとりか…」

溜息と共に自然に声が溢れた。

面白くも無いのに来てしまう…麻薬と何も変らない。




そして、僕は似たような環境下の人間のブログをいつものように巡回する。

基本的に自宅警備員のプロと呼べる人間は自己を発信したりはしない。




意味がないからだ。

自己を発信する人間はどこか自分とは違う。

そう思いつつも僕はブログを見てニヤニヤするのだ。










4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:10:25.45 ID:4nlYF2WK0

思えばお気に入りに入れていたブログも入れ替わりが激しい。




いよいよ経済的に収入を得なければならない状況に立たされ

飛び立ってゆく自宅警備員もいた。




僕はそういう人を見て、眉をひそめていた。

正に働いたら負け的な価値観が僕を支配していたのだ。




そんな折に事件は起こった。








5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:12:39.66 ID:4nlYF2WK0

両親が話しがあると僕を呼んだのだ…。



僕も自宅警備員を始めた当初は両親に咎められるのが日常茶飯事だった。





しかし、僕の確固たる意志に屈したのか

両親はいつの頃からか諦めたらしい。



今では半年に一度あるかないか程度の召集がかかったのだ。







6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:14:51.90 ID:4nlYF2WK0

父親は僕を一瞥すると、深い溜息をついた。


それから暫く沈黙が場を支配していたのだが、

母親がお茶を出すと同時に、父親が口を開いた。




…内容はハッキリとは覚えていない。



ただ、父親がリストラされたという事だけは分かった。








9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:17:05.14 ID:4nlYF2WK0

父親のリストラ。



僕は瞬間的に自己の保全に関して思考を廻らせた。

いや、必然的にそこに辿り着いてしまったのだ。




父親リストラ→金がない→自宅警備員解雇




時間はかからなかった。

僕は解雇された後に自分がどうやって生きて行くのか?

考えようとしたが、すぐに止めた。







12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:20:19.66 ID:4nlYF2WK0

両親は今後、年金受給まで何とか食い繋ぐつもりでいるらしい。

今のご時勢、天下り出来なければ、高齢の父はアルバイトが関の山だろう。

母親もパートをするのだろう。




両親は僕をこれ以上面倒見れないと切り出した。

僕は冷静を装い、いつもの如く黙秘権を行使した。




しかし、黙秘権を行使した所で状況は何も変らない。

僕はいつも以上に死相が見えていたことだろう。








13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:21:47.09 ID:4nlYF2WK0

僕にとってはこれは平和な日常を破壊する大事件であった。

僕は誰かにこの大事件を聞いてもらいたかった。




そしてVIPにスレを立てた。

「自宅警備員解雇されたwwww」と。





しかし、50レス程度で落ちた。








15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:23:14.73 ID:cCcwQCuBO

これは期待できる








16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:23:22.16 ID:4nlYF2WK0

僕は諦めた。


全てが終わったのだ。

この平和な自宅から外の地獄のような世界へ出るのか?

死を選ぶのか?




僕は一晩中考えた。

だが、やはり死は選べなかった。





僕は求人をネットで漁った。







17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:27:14.37 ID:4nlYF2WK0

ネットで情報を漁るにしても、2ちゃんねるで漁ってしまう所が

自宅警備員の性なのであろう。




僕は二重三重に凹まされ、軽い鬱状態になった。



僕に何が出来るんだ?自問自答を繰り返し、優しさを求めて

YAHOO掲示板で質問したりとか恥ずかしい真似もした。




結果として僕は工場の期間工という職種を発見した。

寮にタダで住めるらしい。

仕事は会話が最低限で済むライン作業だ。








19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:30:43.11 ID:4nlYF2WK0

僕は何処でも同じだろうという気持と、

いざというときはバックれればいいという気持でTOYOTAに的を絞り

面接という名の説明会に足を運んだ。





僕は家をでた瞬間から終始震えていた。

ポケットの中で握り締めていた拳が汗でびっしょりになっていた。









21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:34:29.08 ID:4nlYF2WK0

会場に付き見渡すと、いかにも底辺といった人々が順番を待っていた。


機械的に部屋の中へ入れられると、一通りの質問をされる。

僕は適当に考えていたまともな理由でそれをかわす。



しかし

声は上ずり、相手の目は見れない、震えている



と三拍子揃っていたので半ば諦めていた。








24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:37:10.57 ID:4nlYF2WK0

説明会が終わると僕はすぐさま近くのトイレに駆け込み呼吸を整えた。


いつものPCの前に居る精悍な顔つきで堂々としている僕はそこには居なかった。


シュミレーションでは僕は風を切って家まで辿り着いていた筈なのに

僕はトイレで泣いてしまった。




軽く死のうか迷った。








25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:39:52.16 ID:4nlYF2WK0

途中でホットココアを購入したのみで、後は脇目も振らずに家に辿り着いた。

そして、部屋の鍵を閉め、呼吸を整えたらいつもの僕に戻った。

この部屋が僕にとっての聖地なのだ…そう改めて認識させられた。

両親が結果を聞きに来たが僕はいつもの黙秘権を行使した。








26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:42:37.98 ID:4nlYF2WK0

そして、またしてもVIPにスレを立てた。


>>2でお前すげーじゃんというレスが付いたので

僕はそれで満足してそれ以上は見なかった。




良く分からないのだが、僕はこの一言で今日という一日を正当化したのだ。



そして、いつものように何時までに1000行ったらおっぱいうpスレで

kskさせるという任務に戻った。








28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:45:28.79 ID:4nlYF2WK0

それから数日後に何と合格という通知が家に届いた。


僕は自分の目を疑った。

というか、TOYOTAを疑った。

同時になぜかとても悲しくなったのを僕は覚えている。





僕は働いている自分を良いようにイメージしてテンションを上げた。

現実は誰も友達も出来ず、仕事も出来ず、苛められるのは分かっていた。

だからこそ、僕はテンションを上げた。








29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:47:33.16 ID:4nlYF2WK0

僕は怖かったので期間工関係のスレは一切見なかったのだが

この時点で予備知識として覗いてみた。




…想像以上に悲惨だった。

仕事はそんなに大変ではないだろうと、決め付けていたのだが

とても肉体的にハードらしい。



僕は筋トレをしようかと思ったのだが、止めた。








30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:47:46.64 ID:8/6UV3ShO

樹海行きが近いですね







31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:50:23.17 ID:4nlYF2WK0

出勤日が近付いてきた。



僕は愛知県に住んでいたのだが、TOYOTA市からは離れていたし

家は両親が処分するらしいので、結局は寮に入らなければならない。





そこで僕は持っている愛着のある自宅警備員道具を処分しなければならない

という一つの壁にぶつかった。



これが無くなれば僕は自宅警備員として積み上げてきたキャリアを捨てることになる。





僕は自宅警備員には戻れない。

そう感じていた。







40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:02:07.13 ID:4nlYF2WK0

三種の神器の一つであるPCだけは捨てることが出来なかった。

寮に郵送する手筈を整えて僕はTOYOTAの門をくぐった。




初日はボロボロの寮に案内されて二人一組で寝るらしい。

僕は九州から来たと言うほくろから毛が生えているのが特徴的な男と一緒になった。





僕が寝ていると突然、甲高い叫び声が響いた。

僕は飛び起きて、辺りを見渡した。

しかし、それはその男の寝言での叫びであったのだ。





僕は一刻も早く正規の一人部屋に移ることを願った。








41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:05:12.51 ID:4nlYF2WK0

教育が終りも近付くと、周りではコミュニティが出来たりして騒がしくなってくる。

しかし、僕は勿論、一人だ。

死相が出ていたに違いない。



僕に話し掛けてくる奴など皆無だった。



期間工は殆んどがタバコを吸うらしく

喫煙可能な場所は満員で、そこらかしこに痰や唾が吐き捨てられている。




僕は何度もガン飛ばされながら、必死で目を反らし続けた。







42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:07:44.83 ID:4nlYF2WK0

僕の配属先が決まった。

塗装課というところらしい。




組み立てが大変だと聞いていたので、僕は安堵した。

如何にも力仕事とは無縁そうだ。




しかし、これが地獄の始まりであったことは知る由もない。




とにかく僕は必死だった、教育の段階から必死だった。

過呼吸になりながら、僕は必死だった。








44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:12:53.25 ID:4nlYF2WK0

教育が終り、各自職場に案内される。



僕も自分の工場へのバスに乗り込んだ。

このとき、帰る場所も無いという不安で僕は泣いた。

隣の人にばれないように泣いた。





工場に着き、職場へ案内される。

僕と裏番の二人だけだった。





休憩室へ入るなり、丁度休憩中だったらしく、皆の目が突き刺さる。

挨拶をしたが、誰も答えてはくれない。

そして、若い期間工に「女じゃねーのかよおおお」って残念がられる。




僕の期間工はこうしてスタートした。







46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:14:56.21 ID:4nlYF2WK0

最初にリーダーが職場を案内してくれた。

トイレがどこだとか、お前はここが職場だ、とか。





リーダーは定年間近のお年寄りだったのだが、この時は良い人に思えた。





この時は…








48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:17:23.70 ID:4nlYF2WK0

そんなこんなでこの日は案内だけで新しい寮へ帰った。



新しい寮は比較的良い所だった。

ベッドもあって、僕は鬱で酷く疲れていたが何とかテレビをつけて、ぼーっとしていた。




何となくこれから始まる地獄は予測できた。

僕はカルピスを飲み干した。








50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:20:13.47 ID:4nlYF2WK0

次の日の朝、僕はお昼以降に起きるのがライフスタイルだったので

とても死にそうだったのだが、何とかバスに乗り込んで工場へ向かった。

周りは皆死んだ魚のような目をしていた。

僕には勿論、死相が見えた。





そして、僕の割り当てらた仕事内容は車のボディを延々と拭く仕事らしい。

僕は内心ラッキーと思った。





失敗するような塗装仕事にさせられたらヤダなあと思っていたからだ。







52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:24:24.95 ID:4nlYF2WK0

先にそこを担当していたのは、大卒の実習生というものだった。

その人は3ヶ月間の実習に来ていたらしくて、とてもジャニーズ系でイケメンだった。






僕はその人に仕事を教えて貰う訳なのだが、

その人はここの職場と人と、この仕事に、

相当の恨みを持ってるらしくて僕に最悪っすよと連呼していた。








殴りたい殴りたいと、とても一流大卒とは思えない程のことを連呼していた。

僕は3ヶ月でこんなに人が壊れるのか?と、ぞっとした。








54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:29:15.38 ID:4nlYF2WK0

僕は最初、その人に仕事を当然教えてもらうわけなのだが

教えてもらってると社員が来て、楽しそうに喋ってるとさぼってると見做すと宣言された。

僕は当然楽しそうに喋っているつもりもなく、仕事を教えてもらっていただけだ。






手を止めていると、ボディがどんどん流れてくるので

僕は必死で一日中小走りでボディの周りをぐるぐるまわり外や中を拭いた。







次の工程には社員が入ってやるところがあるのだが、

そこも楽をする為に省略されてるので、

必然的に僕のラインで二ライン分の仕事をこなさなければならない。





僕は当然間に合わなかった。









55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:33:15.28 ID:4nlYF2WK0

間に合わないと、すぐに次工程の期間工上がりの社員が

京都弁で何やっとんのじゃい!!われ!!!ころっすぞ!!

と、怒鳴ってくる。

僕は萎縮してしまった。

とにかく、怖いので間に合わなくても流すようにしていた。




しかし、そうするとバレるらしくて、リーダーが走ってきて

お前の代わりは幾らでもいる、と僕を罵った。








57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:35:48.78 ID:4nlYF2WK0

仕事が終わると、僕の足は棒状態になっていて、指も手もまともには動かない。

僕は這い蹲るようにして寮に帰った。

そして、一旦座り込んでしまうと、10秒ほどで睡魔が襲ってくる。

そんな日々の繰り返しだった。





僕は毎日泣いた。両親は僕をとっくに見捨ててたらしく、連絡も一切無い。

僕を再雇用する気はないらしい。





僕は自分が生きているのか死んでいるのか良く分からない日々が続いた。







58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:38:37.92 ID:4nlYF2WK0

僕は寮にPCを持ち込んでいたのだが、ネットに接続していなかった。

ネットをやるより寝たかったのだ。

土日も寝ることが大切だった。





代わりに、僕は日記をつけていた。

日記には自分には帰る場所は無いという言葉が何度も何度も書かれている。

途中で終わっている日記も多い。

寝てしまったのだろう。







59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:43:36.96 ID:4nlYF2WK0

入った時から僕の仕事内容はハードだということは聞かされていた。

現に1ヶ月たったら取れると言う足の疲れが嘘のように取れない。

全く変わりが無い。というか、足首が内出血している。





掌も雑巾をしぼり、高熱のボディを触るので擦り剥けとヤケドで酷い状態だ。

僕は期間工後の後遺症を覚悟した。









61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:46:13.47 ID:iDvOMuMy0

激務薄給ってやつか






60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:43:53.92 ID:k5H2GtUJ0

おもしろい






63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:49:29.90 ID:4nlYF2WK0

僕がミスをする度に、社員が僕に淡々と説教をするのだが

お前の給料は日給9000円だ。

そして、お前の今やったミスが9000円だ。





どうしてくれるんだ?

今日はタダ働きでいいか?

と、僕を脅してくる。





僕は黙秘権を行使し、黙っていた。

僕は9000円支払うから許してくださいと言う気持に支配されていた。








65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:54:47.29 ID:4nlYF2WK0

休憩室はタバコの煙で一杯だった。


話しの内容は聞きたくなくても聞こえてくる。

パチスロ、競馬などのギャンブルの話し

車の改造の話し

女遊びの話し

他の人の悪口

90%はこれらの話しだった。





最初に僕に仕事を教えてくれた大卒の人がいなくなってからは

僕はずっと心の中で周りの声を掻き消すように妄想をしていた。



最初は携帯を弄っていたのだが、社員に辞めろ!これも時給に入っている!

と言われたので辞めた。




しかし、5分間の休憩と、昼休みは時給には入っていなかった。

僕は当然、怖いので逆らわない。








68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:59:07.57 ID:4nlYF2WK0

大卒の実習生は、出世したらこいつらに痛い目あわせてやると僕に言っていた。

そして、僕に夏が来る前に辞めた方が良いと何度も言っていた。




勿論、僕は行く所がないので、辞める訳にはいかなかったのだが

後々でその忠告の意味が身に染みた…








70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:04:41.61 ID:4nlYF2WK0

徐々に外が暑くなりだす6月。

梅雨の季節がやってきた。




僕の職場は埃が禁物なので、外気は完全に遮断されている。

そして、埃が舞わない為に常に霧吹きで水が噴射されている。

奥からはどんどん高熱のボディが流れてくる。





この時点で、湿度95%、室温45度という地獄だ。

半分サウナ状態なのだ。




僕の仕事場は他の職場と隔離されていて、

新設の突貫工事で作られたらしく、空調設備が一切無い。




期間工には空調設備などいらないという考えなのだろう。





僕は腕まくりすら禁止された、サウナスーツみたいなつなぎをきて

体中から汗を噴出し、顔は塩で真っ白になった。








71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:07:58.52 ID:4nlYF2WK0

その頃から僕の身体に異変が置きはじめた。

僕は立ちくらみ状態が常に続いたので、さすがに死を予感して社員に訴えた。



死にます、助けてください。せめて、水だけは持参させて下さいと。

しかし、社員は倒れたら変るよwと恐ろしいことを言うだけだった。





予想通り僕は倒れた。








72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:10:26.98 ID:5qv15XnX0

それ訴えれるんじゃね?倒れたら変えるとかって





74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:14:24.92 ID:HwFSxOux0

なんかわかる







77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:37:32.03 ID:4nlYF2WK0


僕は起きた時には休憩室で寝かされていて、すぐに内部の医者に診察された。




そして、その後同じ現場での仕事は一週間はダメだということだったので

僕はリーダーからとても迷惑そうな顔をされたのは忘れられない。



僕は他の職場へ連れて行かれ、そこで掃除をさせられた。





仕事開始から終りまで永遠と床をガムテープでゴミ取りという

嫌がらせに近いことを二週間もやらされた。




そこのリーダーは真面目にやるのは良いけど、

手を抜けないのは馬鹿だと言ってきた。




僕が手を抜けば後ろの工程の京都人に

人格を否定されるほどの罵声を浴びせられると言うのに…





僕は混乱した。









78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:43:26.43 ID:4nlYF2WK0

僕が職場に復帰したとき、僕の工程をやらされていた人は社員で

ラインのスピードは半分でやっていた。



それなのに、間に合っていなかった。

けれども、誰からも咎められず和気藹々とやっていた。

後ろを見るとスポットクーラーが設置してあった。




僕はなんとも言えない気分になった。

その日の帰り、バスの中のラジオで流れていたハイロウズの

日曜日よりの使者を聞きながら僕は外を眺めていた。






僕は日曜日より、永遠の終りが欲しいと思った。








82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:47:23.68 ID:4nlYF2WK0

僕がラインに戻ると、スポットクーラーは設置してくれていたのだが

勿論、これは体裁上で吹き出し口には埃が舞わないようにと布を被せられた。




その布が非常にきめ細かく、正直いって、全く風が来なかった。

なので、僕は以前と同じ環境下で夏を迎えた。





僕は諦めの境地に至っていた。

心の中で社員やリーダーを死ぬほど恨んでいた。





そんなときに、社内のお偉いさんがラインを見学しにきた。







87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:56:15.42 ID:4nlYF2WK0

僕はおかしくなっていたのだと思う。



集団に観察されている状態。

お偉いさんはクーラーが設置されている部屋から僕を談笑しながら観察している。





僕は暑さ対策のために、せめて、身体を冷やさなければ倒れると言う意識が

有った為に霧吹き機で服を濡らして、少しでも体温を下げていた。

体中がびしゃびしゃだが、自分で対策しなければ本当に死ぬのだ。






僕はお偉いさんが見ているからといって、その行為を慎む事はできなかった。





灼熱のボディは触ると火傷するほどの温度だし、

そのボディの内部に入らなければならないのだ。






僕はよくリーダーから汗をボディに付けるなと文句を言われていた。

しかし、それは不可能だった。




汗で目の前が見えない程で、

僕は此処に入ってから3ヶ月でガリガリになったのだから。





しかし、お偉いさんは僕の行為に対して目を瞑ってはくれなかった。








89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:02:54.85 ID:4nlYF2WK0

お偉いさんは、期間工の僕と直接話すようなことはしない。

動物園の動物と同じ意識なのだ。




目と鼻の先にいる僕に対して、社員を通して、


あいつは何でスポットクーラーまで付いているのにあんなことをしているんだ?

スポットクーラーはいらないからどかす

サボってる

何であんな遊んでいる暇があるのだ?





僕のマニュアルにはない動きに対して、問題が提起されたらしい。

絞った雑巾を更に絞るというTOYOTAの考えの元に

犠牲になっているのはいつでも底辺の期間工だろう。





僕の仕事は更に増えた。そして複雑になった。







91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:08:40.17 ID:ckA9/sTI0

アメリカのTOYOTA工場なんて時給3250円なのにwwwざまぁwwwwwwwwww






93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:11:29.73 ID:4nlYF2WK0

僕は毎日夜中に身体の痛みで起こされる。

悪夢も毎日見た。

足に虫が這っている幻覚にも悩まされた。




僕は温室から一気に地獄に来た。

外の世界は地獄だ。

蟹工船の冒頭の一文「おい、地獄さいぐんだで!」




僕はその言葉を思い出していた。

しかし、その一方で高級な趣味も無い僕は貯蓄が貯まっていた。







95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:15:12.73 ID:4nlYF2WK0

僕は満了の日をずっと夢見ていた。

その先の事など考えられなかった。




とにかく、此処が地獄以外に何だというのだろうか?

これ以上の地獄が僕を待っているのか?




家に帰りたい…僕はずっとそう思っていた。

しかし、帰る家はもうない。





僕はもうこの列車から降りたかった。







96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:21:16.29 ID:4nlYF2WK0

僕は何とか満了の日を迎えた。

この日をどんだけ待ったか…。





最後に職場から立ち去る僕に挨拶をしてくれるものは誰も居なかった。

それでも僕はやり遂げた。

いや、やり遂げざるを得なかった。





最後に内部の医師に満了してから何が起こっても

決して訴えないという約束をさせられた。





判子を押さなければ、満了金は出せないと言われ僕は押した。




とにかく、一秒でも早く僕は外の世界に出たかったのだ。

僕は多分、身体なんてどうでもいいと思っていた。








98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:25:05.24 ID:4nlYF2WK0

僕は貯蓄したお金で部屋を借りる必要があった。

外での野宿は僕には無理だと踏んだのだ。





しかし、僕と親は既に連絡が出来ない。連絡先すら教えてもらえなかったのだ。

僕が親にしていた行為を考えると当然かもしれない。




そこで唯一保証人がいらないレオパレスを借りることにした。







100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:35:30.73 ID:H+KZ96vhO

期間工ってこんなにひどいの?

最後の判子押さなきゃ金出さないなんて訴えたら勝てるレベルじゃね?







101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:40:24.53 ID:hQiF0USXO ?2BP(53)

>>100 後の事より、目先の金







102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:42:06.32 ID:4nlYF2WK0

僕は寮から引っ越す時に余りの嬉しさにまた泣いてしまった。

そして、自然に叫んでしまった。




何故あんな僕らしくないことをしたのかは分からないのだが

それ程に僕の精神は狂っていたのだ。





TOYOTAの文字を見るだけで吐き気を催すようになってしまったのも

此処での後遺症の一つだと考えられるだろう。




僕は初めて神に祈った。

もう二度と此処へは戻ってきませんように…と。





しかし、実際問題次の収入先もない。

ここで貯めた微々たる貯蓄などすぐに底を付いてしまうだろう。







103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:45:42.21 ID:4nlYF2WK0

僕は寮から出て電車で名古屋市内へ向かった。

あてはない。

だが、僕の心は開放感で一杯だった。





電車の外の風景を見ながら、僕は今後の身の振り方を真剣に考えた。

派遣は嫌だ。とにかく、もう二度と工場で働くのは嫌だった。

それをする位なら死んだ方がマシだとさえ思えた。





いっそ、寺にでも入ってしまおうか?僕は考えていた。







106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:57:26.39 ID:4nlYF2WK0

とにかく僕は借りたレオパレスに入居することになった。

値段は異様に高い。ぼったくりだ。

しかし、保証人無しで借りられる所は此処しかなかった。





壁は非常に薄い。隣の人の吐息までも聞こえてきそうだ。

僕は部屋にカーテンが付いてないこともあり、

電気も付けないまま次の日までそのまま寝た。





僕は夢の中で魔物に追いかけられていたのだが、

逃げようと思うと足が泥濘に入ったようになり、とても苦しかった。







110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:13:36.96 ID:4nlYF2WK0

ともかく僕は仕事をしなくてはホームレスになる。


それだけは分かった。

僕は選んでいられる状態ではないのだが、工場だけは嫌だった。

工場に行くと精神病にかかると僕は確信していた。





僕は求人雑誌を買い、職業安定所へ通った。

そこにはゾンビのような人と、僕のように死相が見えていた人の群れがいた。




そんな中で職員が僕に雇用保険もらいつつ、

訓練校へ通いスキルを身に付けるのもいい。


という提案をした。




僕は学校には行きたくなかったのだが、

今後の生活のことを考えると選択の余地はなかった。




それ程までに求人は酷い状態だった。






112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:16:57.67 ID:4nlYF2WK0

迷った挙句、僕はデザイン系の訓練校と、情報系の訓練校を受験することにした。

試験はともかく、面接は酷いものだった。




しかし、僕は情報系の方に合格した。

期間は3ヶ月だった




僕は金を貰いながらなら悪くないか。と思っていた。







113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:19:28.94 ID:4nlYF2WK0

学校は思ったよりも年齢層が広く、おじちゃんやおばちゃんが沢山いた。

どれも共通しているのは、死んだ魚の目をしていたことだ。




僕は最初から友人などを作ることを諦めていたので

休憩時間には一人で読書をしていた。





そんな折、同じ歳ぐらいの若者が僕に話し掛けてきた。

僕は驚きの反面、久しぶりの出来事に内心嬉しかったんだ。







114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:23:09.71 ID:4nlYF2WK0

それから少しづつその人と仲良くなった。


僕は話しをしても相手に伝わらないし、伝わっても何だか途中で面倒臭くなり

話すのを辞めてしまう癖があるのだが、その人は僕に執拗に話し掛けてきた。




その人はNくんと言い、前職は証券会社で働いていたらしい。




僕はなんでこんな所にそんな人がいるんだろう?と疑問に思いつつ

電話番号を交換したりして、ご飯を食べに行ったりする仲になった。







115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:25:49.77 ID:ILbCN3v4O

wktk






116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:26:14.88 ID:4nlYF2WK0

あるとき、Nくんが会社を立ち上げると言い出した。

僕は止める理由もないので、凄いねと言い聞いていた。





すると、何やら資金に困っていて僕に出資金を貸して欲しいとのことだ。


僕は今まで友達がいなかったので、こういう時は困った時で

貸してあげるのが友達だと思ったのだ。







117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:26:35.01 ID:5qv15XnX0

ねぇよwww







118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:28:26.12 ID:4nlYF2WK0

すぐに返せる宛があるというNくんの言葉を信用して僕は

殆んどの貯金額をNくんに貸した。



Nくんはそれを受け取ると満面の笑みで帰っていった。

僕は初めて出来た友達をなくしたくなかった。








123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:32:42.60 ID:4nlYF2WK0

そしてそれからNくんは学校へ姿を見せなくなった。

近所のパチンコ店で見かけたという情報だけが入ってきた。

連絡も取れなくなった。




それから約束の日になっても一向に返済はされなかった。




Nくんは結婚してたので、嫁さんに電話をしてみたのだが、

全く相手にされず一蹴された。





僕は再び鬱になった。そして、もう二度と人間は信用しないと心に決めた。


この学校で逆に資産を失った。

内容はエクセルやワードだったので、得るものは無かった…

ただ、ワードの民間検定に合格したのみだ。








125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:35:57.89 ID:4nlYF2WK0

僕はこの頃になると良く考えるようになっていた。

僕の人生のピークは自宅警備をやっていた頃なのではないか?と。

あの頃の僕は充実していたし、ネット内では弁慶だった。




しかし、外の世界では僕みたいな

肉の殆んど付いていない餌でも毟りに来る人間がいる。




僕は強くなろうと決めた。







134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:59:30.29 ID:4nlYF2WK0

事実は小説よりも奇なりとはよく言う。




僕は、それから再び工場で働きつつ法律の勉強をした。

工場と言っても小さな町工場だ。



金型で永遠と同じ物を作る。

この部品が何に使われているのかすら知らない。



とにかく仕事は何でも良かった。

明日生きてゆけるだけのお金を稼ぎ、勉強がしたかった。




自分を守る為に、僕は必死で勉強した。

朝の4時に起きて、勉強して仕事へ行って終わってから勉強した。




苦痛ではなかった。僕はこのまま生きて行くほうが苦痛だと分かったから。

そして、今年の夏に司法書士に合格しました。





思い出すのは、朝方に聞いた新聞配達のバイクの音

毎日買って飲んだ缶コーヒー

模試で良い結果でなくて、罰として自分に与えたシャーペンの傷

気晴らしに読んでいたNATIONAL GEOGRAPHIC

目の前に張っていた「人事を尽くして天命を待つ」という言葉

合格したとき流した涙

工場の社長や社員のビックリした顔。喜んでくれた顔。





僕は全て一生忘れる事はできない。

ここに書いた出来事も全て忘れる事が出来ない事実です。





読んでくれて有難う。







135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:02:55.68 ID:QnfPBNk1P









138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:04:07.10 ID:492BZfWV0

乙 よくがんばった







141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:05:55.81 ID:+dV3wDPl0

お前マジでカッコいいよ

俺も頑張るぜ







NATIONAL GEOGRAPHIC 傑作写真ベスト100 ワイルドライフ

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