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奄美の元公設弁護士を依頼者が提訴
「債務整理放置され苦痛」 日弁連が実態調査
(2008 12/23 07:59)
 弁護士過疎を解消するため、日本弁護士連合会が2005年3月に奄美市に開設した公設事務所が手がけた多重債務処理をめぐり、依頼者だった同市の40代女性が22日、「債務整理を放置された上、債権者から突然給与を差し押さえられ、精神的苦痛を受けた」などとして、同事務所初代所長の高橋広篤弁護士(32)=静岡県掛川市=を相手に、220万円の損害賠償を求める訴訟を鹿児島地裁名瀬支部に起こした。
 高橋弁護士の後任所長で、女性の代理人を務める大窪和久弁護士(33)によると、高橋弁護士が所長時代に扱った債務整理をめぐっては、「処理がどうなっているのか分からない」などの苦情が100人を超える依頼者から同事務所に寄せられている。日弁連は関係者から事情を聴くなど実態調査を進めている。
 日弁連によると、公設事務所の弁護士が依頼者に訴えられ、その代理人を後任の弁護士が務めるのは極めて異例。
 高橋弁護士は、南日本新聞の取材に、「こちらに全く落ち度はない」と全面的に争う構えを見せた。
 訴状によると、女性は05年5月、高橋弁護士に債務整理を相談。高橋弁護士は具体的な説明をせず、「破産するしかない」と告げ、債務整理を受任。しかし、破産手続きに着手しないまま、女性に事前に知らせることもなく08年1月、代理人を辞任した。
 この後、債権者である消費者金融1社が女性を相手に借金の支払いを求め東京簡裁に貸金請求訴訟を起こした。女性は旅費がなく出廷できず、債権者の請求通り借金を支払う判決が確定、給与が差し押さえられた。女性は差し押さえの精神的ショックで、勤め先を休職しなければならないほど追い詰められた、としている。
 女性は(1)弁護士が債務整理の委任を受ける場合、処理方法などについて説明を行う義務があるのに怠った(2)債権調査を行っただけで、そのほかは何もせず長期間放置した−として、高橋弁護士が委任契約に基づく義務を果たしていないと主張している。
 これに対し、高橋弁護士は「受任後、女性と連絡が取れなくなった。何回か手紙を出したが、どうしても連絡が取れず、代理人を辞任せざるを得なかった」と説明した。
 22日は別の依頼者男性(49)=奄美市=も「依頼した債務整理がなされていない」として高橋弁護士に550万円の損害賠償を求める訴えを同支部に起こした。
 

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