【台北・庄司哲也】元タレントの飯島愛さん(36)の死去について、台湾では一般紙が1面トップで報じるなど、海外の人物の訃報(ふほう)としては異例の扱いとなっている。民主化や社会の開放が進んだ90年代初頭に飯島さん出演のアダルトビデオが台湾に輸入されたことで、飯島さんが文化や表現の自由の「象徴」となったためだ。
台湾の4大紙の一つ「中国時報」は25日付の1面トップで、飯島さんの写真とともに「60~70年代生まれの台湾男性にとって、青春期に共通した性の幻想の対象だった」と伝えた。4大紙で別の「聯合報」も飯島さんの特集を組み、「アジアの男性のみんなの記憶」と報じた。
中国時報の張景為・副総編集長は今回の扱いについて、「飯島さんが活躍した時代は、台湾の政治、社会が開放された時代と重なる。決して奇をてらったわけではなく、飯島さんの死は社会性があると判断した」と説明する。
台湾では1987年に38年間にわたって続いた戒厳令が解除され、新聞発行や歌など表現や文化の制限が解かれた。90年代に入って流通し始めた日本製アダルトビデオは、社会の自由化のシンボルとされた。
飯島さんは台湾で最も著名な日本人タレントの一人で、著書「プラトニック・セックス」の翻訳版は15万部を売り上げた。
毎日新聞 2008年12月26日 18時28分