国循の患者死亡問題「省外で調査を」―医学部長会議
国立循環器病センター(大阪府吹田市)で人工心臓の装着手術を受けた男性が昨年春に死亡した事故を受け、死因を調査する委員会の設置を厚生労働省が検討している問題で、全国の大学付属病院長や医学部長などで構成する「全国医学部長病院長会議」(小川彰会長)は12月26日、事故の調査委員会は省外に設置すべきだとする声明を出した。同会議の「大学病院の医療事故対策に関する委員会」の嘉山孝正委員長は同日記者会見し、調査委が省内に設置されることは、同会議が反対している「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」を具現化するための前例になりかねないとの懸念を示した。
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死因究明で医療者らからヒアリングへ 嘉山氏はまた、同センターの上部組織である厚労省内に調査委が設置されることで、現場の自律的な活動が阻害され、その結果、適切な医療提供が困難になるおそれがあるとも指摘した。
その上で、今後の対応を同センター側に委ねるよう要請。仮に、第三者による調査委の設置が必要と同センターが考えるなら、大学医学部に設置を依頼することを提案した。
声明は、舛添要一厚生労働相と同センター総長宛てに送付した。
記者会見で嘉山氏は、「(調査委を)省内につくるといったプロセスが非常に問題だ。大綱案に非常に近い形ではないか」と述べた。また、「上部組織(厚労省)が(調査委を)作れば、下は何も言えなくなる」との認識も示した。
新聞などの報道によると、男性は手術から約2週間後に容体が急変し、意識不明のまま約1年後に死亡した。毎日新聞は、厚労省が第三者による調査委を省内に設置する方針を決めたなどと報じたが、舛添厚労相は19日の閣議後の記者会見で、「まず現場の国立循環器病センターでしっかりと調査をして、現場の調査をまず上げなさいということだ」と述べている。
このため嘉山氏は、「大臣と厚労省の現場との意見が乖離(かいり)しているのではないか」との見方を示した。
キャリアブレインの取材に厚労省は、調査委を省内に設置するかどうかは「(同センターによる)事実関係の調査結果次第」としている。
更新:2008/12/26 22:31 キャリアブレイン
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