公園の中央、プレーネン広場に面した倉敷チボリ公園のシンボル。ここでいう「シンボル」という言葉には次のような意味合いが含まれています。デンマークに生まれ、長い年月の中で育てられてきたチボリは、今ではデンマークの人々にとって欠かせない存在です。特に、倉敷チボリ公園の建設当時のデンマーク･チボリは、派手なアトラクションがあるわけではありませんでしたが、そこには周囲と調和した美しい自然、見事な建物や芸術・文化、そして満ち足りた気持ちにさせてくれるレストランがあり、人々の触れ合いや、心から安らぐことのできる時間がありました。それは、いうならば本物の豊かさであり、あらゆる年代の人々が、公園に足を運ぶだけで日常的に味わうことのできる貴重な体験です。こうしたデンマーク・チボリの「豊かな日常」を、倉敷の新しい都市文化として定着・発展させたいという願いが、このタワーには込められています。
外観は、北欧ルネッサンス様式を忠実に表現したデンマーク・コペンハーゲンの古城・ローゼンボー、フレデリクスボーがモデルとなっています。塔の先端までの高さは38m、外壁はレンガ、青い屋根は青銅仕上げ。湖畔に建つアンデルセン交流館が横に伸びた格好をしているのに対し、チボリタワーは天に向かって上に伸びる形を大切にしました。また、建物の後部は既存の木を中心にして森を形成し、全体的にこじんまりとさせることで、公園を中央で分断することのないよう工夫しています。

エントランスホールは、北欧文化への導入部分として、まず、フレデリクスボー城の天井画をモチーフに、時計の歯車を回す「歯車」、船への積み荷作業を表現した「積荷」、船の内部を描いた「航海」、狩猟風景を描いた「猟」を表す、4枚の立体カラクリ壁を展示しています。
メインホールは、デンマークの歴史や文化、生活を音と映像を駆使して紹介する展示室。デンマーク・チボリを中心としたコペンハーゲン市内のジオラマと、バックスクリーンに映し出されるデンマークに関する4つの映像で、「おとぎの国デンマーク」を演出します。
映像は「地理と歴史」「歴史と名所」「経済と文化」「市民の生活」で構成。シーランド島のバイキング祭り、酪農を営む人々の暮らし、街角の広場でのミニコンサート、喜びにあふれたクリスマスの一日など、さまざまな映像を通して来園者は、北欧の国・デンマークについて知識を深めていくことができます。街を包み込む教会の鐘の音、石畳を走る馬車音など、まるで自分がスクリーンに映し出されるワンシーンの中に存在するかのようなリアルな表現も効果的です。見学は無料。ホール内に設けられたスタンディングシート、あるいはウォークスルーの通路を歩きながら、思い思いに楽しむことができるようになっています。

チボリタワーの前に設けられたこの噴水は、タワーの雄大さと荘厳さを引き立たせるために、全体の構成だけでなく水の出方もシンプルにし、水の繊細さと美しさを重視しました。四季折々のボーダー花壇の美しさもあわせてご覧ください。

チボリタワーに向かって左手にあるイタリアン・レストランは、倉敷市の指定木となっている既存のクスノキを生かしテラスに取り囲む形で建設されました。イタリアンクッケンのテラスはイタリアの町で良く見かけられるピアッザ（十字路広場）をイメージして作られたため、中央にほどよいサイズの噴水(イタリアン噴水)があります。洒落た古典イタリア庭園で良く見られるタイプにデザインされた噴水盤は、人がイスに座った視線から丁度良い高さとなっています。建物の外観は、ルネサンス期のイタリア建築の特徴を取り入れながらデザインされています。また、サインやオーイング（テント状のひさし）には、イタリア国旗の3色（緑・白・赤）をアクセントとして使い、よりイタリアらしさを演出しています。

チボリタワーに向かって右手にある噴水は、世界的に有名な女流彫刻家リンウッツォンが、ロイヤルコペンハーゲンの工場の協力を得て制作したものです。噴水の中心をなすドーム状のタイルは、世界的に有名なロイヤルコペンハーゲンの磁器と同じ土を用い、同じ手法で作られました。「噴水」といっても、一般的なものとは違って、4つの噴水と3つのプランターでひとつの作品として構成されており、滑るように流れる噴水は宇宙をイメージしたものです。作者のリンウッツォンは「見る人によっていろんな感じ方をしてほしい」と語っています。デンマーク・チボリ公園にも類似のプランターがグラスサロンの前に設置されています。

プレーネンステージでのイベントのために、多くの人がこの広場に集まっている光景は、チボリでは最も代表的な光景です。2002年春に誕生した本格的なステージは、デンマーク・チボリ公園のデザイナーによるデザインを基に作られています。