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2008年12月26日

◎北電の会館落札 活用されてこその地域貢献

 大方の予想通り、北陸電力が石川厚生年金会館を落札し、ホールの存続が確定的になっ た。一時はマンション用地などへの転用も懸念され、ホール存続が危ぶまれていただけに、北電が「企業市民」の理念を高く掲げて、取得に動いたことに改めて敬意を表したい。

 ただ、ホール運営のノウハウを持たない電力会社がどこまで有効活用できるのか、経営 の足を引っ張らないほどの収益を上げられるかどうかは未知数だ。この手の文化施設は息長く、頻繁に活用されてこそ生きる。北電には宝の持ち腐れにしない努力を求めたい。

 石川厚生年金会館のホールは、兼六園にほど近い金沢の文化ゾーンにあり、年間約二十 万人が利用する。ホールの維持をめぐっては、県議会や金沢市議会で対策を求める意見が相次ぎ、地元の利用団体などからもホール機能存続を求める五千二百九十三人分の署名が金沢市に提出されていた。

 北電の永原功社長は、先の会見で「北陸のコンベンションにとって、あの規模のホール は大事だ」と述べた。実際、千七百七人収容のホールは地域文化の発表の場として、またコンベンション誘致の面からも貴重な施設だが、収益性の乏しさから、一度失われてしまえば、二度と再建できない施設と見られていた。

 ホール付き厚生年金会館として初めて入札が行われた「愛知」の場合、名古屋市がホー ル存続を条件に固定資産税相当額を五年間補助する措置を打ち出しながら、住宅メーカーなどの共同企業体が落札し、マンション建設地になった。先月、入札が行われた「北海道」の場合は、最終的に札幌市がホールを含めて約二十八億五千万円で取得している。

 もし北電が入札しなければ、愛知や北海道に似た状況に置かれていたのではないか。県 はマンションやホテルなどへの転用を避けるため、風致地区の高さ規制を厳しくしたり、敷地を都市公園に入れる検討を進めていたが、買い手不在の場合、県や市に対し購入を求める声が高まっていただろう。それを思えば、北電のホール運営をしっかり支えていく責任がある。

◎オバマ氏が協力要請 クリスマス演説で国民に

 来年一月二十日、新しい米大統領に就任するオバマ氏は、クリスマスに合わせた国民向 けラジオ演説で米国が直面する課題を指摘し、協力を求めた。

 すなわち、解決に向けて最優先で取り組む問題としてアフガニスタンでのテロとの戦い と経済危機を挙げ、「力を合わせて歴史の歯車を動かせば、米国を新しい方向に導いていける」と国民の結束を呼び掛けたのである。

 大統領選終盤では、もっぱら金融危機が争点になり、実体経済への波及を予測し、財政 出動で取り組むとしたオバマ氏の積極姿勢が勝利につながったのだが、それがクリスマス演説によってあらためて明示されたのである。

 任期切れが迫るブッシュ大統領も昨年に続きクリスマス向けラジオ演説を行い、イラク やアフガニスタンでの米国の重要性を説いた。大統領や次期大統領がクリスマスに行う国民に向けた演説―しかも国民を安心させ、元気や協力を引き出す演説である。そうした機会に恵まれない日本の国民にとっては大変うらやましい習慣と言えそうだ。

 演説がクリスマスにつながった由来はよく知らないが、大統領がラジオで国民に語りか ける演説は、一九三〇年代の大恐慌下で共和党から民主党への政権交代があり、現職を選挙で破って登場したフランクリン・ルーズベルト大統領が国民の士気高揚策として始め、その後カーター大統領がまねたなどといわれる。

 ルーズベルト大統領は全銀行をいったん閉め、経営内容を調べて大丈夫なところから順 次開かせ、そのことをラジオ通して国民に知らせ、安心させたといわれる「炉辺談話」が有名である。

 翻って考えると、麻生太郎首相は進行中の経済危機について「百年に一度のもの」との 認識を示しているのだから、ラジオを通してじっくり国民に政策を語りかけ、元気を出させ、協力を求めてもよい。中身が深まらない野党の党首とのトップ対決や、騒音で内容が聞き取りにくい街頭演説などより、よほど国民に歓迎されるのではないか。


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