Rey's Psion netBook page
最終更新: 2005年4月17日 (「周辺機器」の項へ、b-mobile hours の実験結果を追加)
netBook とは?
Psion netBook は、
Psion の現行 EPOC デバイスの中で、
最上位に位置するマシンです。
ただし、一口に Psion 社と言っても、実際にデバイスを発売している会社は
2社あります。
- Psion Computers
コンシュ−マ−向けのマシンを発売しています。
Series7, 5mx, revo, revo plus がここの製品です。
日本国内では、エヌフォーが総代理店になっています。
- Psion Teklogix
主に企業むけのマシンを発売しています。
netBook, netPad, Workabout がここの製品です。
以前は Psion Industry, Psion Enterprise Computing という名前でした。
日本国内では、ワカバが代理店になっています。
上記の違いにより、Psion Texlogix 社の製品である netBook は
主に企業むけのディ−ラ経由で販売されており、
一般販売店では見かける機会が少ないのが現状です。
実際、Psion Computer 社の日本総代理店であるエヌフォ−社でも
取り扱われていません。
購入
日本国内で取り扱っている販売店が見あたらなかったので、
2000年10月にイギリスの
Clove Technology から購入しました。
問合せ当初は在庫が無かったのですが、2週間程で入荷し、
月曜日発送の日曜日到着でした (DHL を指定)。
例によって、イギリスから日本に到着するよりも、
日本国内での移動 (税関・配送) の方が時間が掛かっています。
また、NetGlobal card は同社のカタログには載っていませんでしたが、
問合せると価格を調べて対応してくれました。
ただし、入荷が遅れたので、これだけ別便 (国際郵便; International Registered Post) で
送ってもらいました。
こちらは火曜日発送・翌週の水曜日到着でしたが、
税関からの内容物問合せが無かったので、本体を国際郵便で送ると
もっとかかる可能性が高いです。
到着時、送られてきたダンボ−ル箱を開けると、
中身は revo や S5 等とは異なり、
印刷の無い白箱に入っていました。
本体同梱品は、以下の通りです。
- 充電池、バックアップ用ボタン電池が各1個
- PsiWin ケ−ブル
- AC アダプタ (ただし後述するようにイギリス仕様)
- netBook CD-ROM (ブートイメージファイル、PsiWin、PC 上で動作する SDK のパッチ等が含まれている)
- ブ−ト用の CF カ−ド (日立の 16MB で、本体に装着されていた)
- 印刷マニュアル
- 登録カ−ドなど
(注) 複数の方の情報によると、
PX store (東京) で販売されている netBook では、
私の例とは以下のような違いがあるとのことです。
- AC アダプタは、小型のアメリカ仕様のものが添付されており、
日本国内の商用電源 (AC 100V) でも使えたとのこと。
- ブート用のブート用 CF カードは添付されておらず、
最初に前記 CD-ROM から Windows マシン経由で
ブートイメージをインストールする必要があるとのこと。
日本語化
netBook は、他の EPOC マシンと同様の日本語化が可能です。
- UniFEP
UniFEP シリ−ズは、
エヌフォ−が発売している
Psion 用の日本語環境です。
これまでに発売されている各機種用の製品を試したところ、以下のようになりました。
名称 |
動作状況 |
UniFEP for EPOC |
一応、動作します。
ただし、Contacts の日本語化ができないなどの不具合は
revo の場合と同様です。 |
UniFEP for 5mx |
コントロ−ルパネルで、「Change Display」の欄がグレ−表示されてしまい、
動作させられませんでした。 |
UniFEP for revo |
同上 |
UniFEP V2 (通常版) |
5mx 用・revo 用ともに、「Change Display」を指定してソフトリセットしても
UniFEP が有効になりませんでした。
Patch.log には、"No Supported ROM" と出ています。
また、2001年1月19日にエヌフォーから
サービスアップデートが提供されました。
近藤は試していませんが、maeda さんから
これを適用しても駄目だったというレポートが
[psion-ml:1824] に出ています。 |
UniFEP V2 多機種版 |
エヌフォーから 2001年5月30日付けで、
netBook を正式にサポートした「UniFEP V2 多機種版」が
発売されました。
これは、従来の UniFEP V2 (5mx 用, revo 用) とは別バージョンで、
平成13年5月30日から平成13年6月29日まで
18,000円で販売されます。
注文しておいたものが、2001年6月16日に届きました。
早速インストールしたところ、
問題なく動いています (当たり前)。
TonsUp + Opera で、一応日本語 web サイトも閲覧できます
(ただし 5mx 等と同じ事情で、Opera では一部の日本語文字列が化けて表示されます。
EPOC 標準の Web ならば大丈夫のようですが、
こちらはイーサネットドライバ経由でのアクセスで
proxy を設定できないという問題があり、多くは試していません。) |
- JMemo
こやまさんが開発し、河邊さんが改良を続けている、
日本語エディタ (インライン漢字変換機能付) です。
JMemo private patch by ktkawabe 0.10 が正しく動作しました。
- KEdit
JMemo と同様に、こやまさんが開発し、河邊さんが改良を続けている、
内蔵アプリケ−ションの日本語化ツ−ルです。
単体動作はまだ確認していませんが、
UniFEP for EPOC と組合せて UTF8 で日本語入力できることだけ確認しています。
-
msh
まっち町澤さんが開発している、CUI 統合環境です。
msh 0.25 が正しく動作しました。
周辺機器
私が動作を確認した周辺機器について、記しておきます。
- CF カ−ド
192MB, 512MB コンパクトフラッシュの読み書きを確認しました。
- Microdrive 1GB (IBM製)
ファイルの読み込みはそれほど遅くないのですが、
Open files ダイアログで該当ドライブを選択すると非常に待たされます。
これは、EPOC (の EIKON モジュ−ル) が同ダイアログを開く時に、
全ディレクトリ情報をスキャンしているためです。
実容量が 1GB を超えているのか、メニュ−→Information→Disk で見ると
2GB と表示されるのがお茶目です。
また、Microdrive のルートディレクトリに os.img を入れておくと、
ちゃんとそこからブートできます。
- ストレージ系カード (PC カードスロット経由)
以下のカードは、それぞれの PC カードアダプタ経由で
PC カードスロットに挿入して、読み書きできることを確認しました。
- CF (SanDisk, Hitachi とも 32MB)
- Microdrive (IBM 1GB)
- SmartMedia (製造者不明 8MB 3.3V)
- メモリスティック (Sony ブランド 16MB)
- SD カード (Panasonic ブランド 64MB)
-
Voyager VGA Card
外部ディスプレイに表示するための PC カ−ドです。
Psion Texlogix の web からドライバを取得して
インスト−ルする必要があります。、
内蔵ディスプレイと同じ内容を表示するモ−ドと、
内蔵ディスプレイとは独立に
指定されたファイルをスライドショ−で見せるモ−ドがあります。
前者は追従速度が遅いので、用途が限定されます。
画面サイズは、前者が 640x480 ドット、後者は 800x600 ドットでも表示可能です。
- イーサネット
2001年1月19日に、「第4回関東Psion/EPOC宴会」の片隅で
使えるイーサカードを探す実験を行いました。
その結果はこちらのページの通りですが、結局今のところ
NetGlobal 56k+FAX 10Mb Ethernet
(Psion DACOM 製) しか動作が確認されていません。
このカードは、56kbps モデムとの複合カ−ドになっています。
Psion Texlogix が web で提供しているα版ドライバを
インスト−ルして使用します。
プロトコルスタックの API はダイヤルアップと共通のようで、
最初にアクセスする時に接続のダイアログが開いたり (ここで LAN を選択する)、
アプリケ−ションで Disconnect することができます。
また、ダイヤルアップに特化したアプリケーションでは
LAN について考慮されていない場合もあり、
例えば Opera for EPOC では通常の接続では問題ありませんが
LAN 経由の接続について proxy の設定ができません。
- モデムカード
2001年2月10日に、「第5回関東Psion/EPOC宴会」の片隅で
使えるモデムカードを探す実験を行いました。
その結果はこちらのページを参照してください。
- H" (PHS)
- PHS データ通信用 PC カード Panasonic KX-PH405 を
PC カードスロットに挿して、
KX-PH35S を使って 64kbps で通信できました。
設定は改造ケ−ブルと
ほとんど同じで、ログインスクリプトの電話番号の末尾に
##4 を付ける点だけが違います。
- Panasonic の H" 端末 KX-PH35S を、
改造ケ−ブル経由
で接続できました。
設定方法も 5mx の場合と全く同じです。
- NEC Infrontia
CFE-01
を PC カードスロットに挿して、64kbps で通信できました。
設定は、前述の KX-PH405 の場合とほぼ同じです。
- DDI ポケットの AirH" (つなぎ放題コース) は、端末によって使えるものと使えないものがあるようです。
私が把握している範囲では、現在のところ以下のような状況です。
SII MC-P300 |
つなぎ放題で通信できた。
設定は、2001年10月19日付け [psion-ml:3851] の ohri さんの記事を参照。 |
TDK RH2000P |
つなぎ放題で通信できた。 |
NEC Infrontia CFE-02 |
通信できていない。Comms で AT コマンドを発行するのも、条件が結構厳しい。 |
- 日本通信の b-mobile プリペイドサービス
のカード型 PHS「BMH10-J」を PC カードスロットに挿して、
32kbps つなぎ放題で通信できました。
設定は、村上さんが「Psion 教育委員会」のサイトで公開された
「5mx+KX-HV200 用スクリプト」 の電話番号を書き換えるだけで使えました
(2002年1月26日の 東日本UG 寄り合い の場にて確認)。
- 電源
私が購入した netBook にはコンパクトな
AC アダプタが同梱されていましたが、
これは 200-220V 仕様で、プラグもイギリス式でした。
代わりに、秋葉原の PS PLAZA WAKAMATSU (若松 B1F) で売られている
IBM ThinkPad 用の AC アダプタ (16V, 3980円) の
コネクタを付け替えて使っています。
netBook の定格は、15.5V (+-10%) 1.5A です。
また、以下の周辺機器については、試したところ動きませんでした。
全ての環境で動かないかどうかはわかりませんが、参考にしてください。
- DoCoMo P2401 (FOMA)
世界に先駆けて首都圏の一部で今月から実験サ−ビスが始まった、
DoCoMo の次世代携帯電話 FOMA の PC カ−ド型端末です。
palmdrogon さんからお借りして netBook に挿してみましたが、
残念ながら認識しないようです。
Comms でも not supported と出ます。
この端末を、5mx + PC card modem adapter では一応認識されて
プロバイダに接続できるそうですが、
まだメ−ルのやりとりには成功していないとのこと。
- 東芝の 2GB Mobile disk
PC カ−ド型の 2GB HDD です。
残念ながら、netBook では認識しませんでした。
- b-mobile hours
試したところ、カードの認識と発呼は可能でしたが、
唯一使えるプロバイダ (b-mobile) に対して接続できませんでした。
カードが FAX 機能を持っていないためログインスクリプトが必要に見えますが、
反面 PHS 接続確立後にユーザ名のプロンプトが出てこないので、
ログインスクリプトでの認証ができないという状況です。
今後、ログインスクリプトを使って CHAP 認証する方法が見つける必要がありそうです。
なぜ近藤は netBook を選んだのか?
当時私は、普段のスケジュ−ル管理とメモ用に revo を使っており、
外出時のメ−ル・辞書検索・各種アプリケ−ションの試用・開発・そして revo のバックアップとして
5mx を使っていました。
ところが、10月に入って 5mx のタッチパネルを割ってしまったのです。
暫くの間、Macro5 を入れてタッチパネル無しに使っていたのですが、
自分のスタイルとして開発には意外にタッチパネルを頻繁に使っていたことが判りました。
使用状況を整理すると、以下のようになります。
用途 |
使用場所 |
タッチパネルの使用頻度 |
開発 |
主に自宅 |
◎ |
各種アプリケ−ションの試用 |
主に自宅 |
○ |
web 閲覧 |
外出時のみ |
○ |
メ−ル (XJMail) |
外出時のみ |
△ |
辞書検索 |
職場・外出先 |
× |
revo のバックアップ |
職場 |
× |
目覚し時計 |
自宅・外出先 |
× |
上の表から、私の場合自宅で使う時にタッチパネルを多用することが分ります。
それならば、タッチパネルの壊れた 5mx は外出時専用とし、
自宅では可搬性は犠牲にしてもより使い易いマシンを使った方が
良いという考えになりました。
これに一番マッチするのが、netBook だったのです。
netBook の良いところ・悪いところ
基本的に気に入ったマシンなのですが、
それと比例して気になる点も幾つかあります。
以下、netBook の良い点と悪い点について私見を述べます。
なお、★印を付けた個所は、Series7 も共通と思われます。
- netBook の良い点
- サブノ−トに分類される筐体サイズ。
VGA (640*480) サイズのカラ−ディスプレイに、
ストロ−クが長く打ちやすいキ−ボ−ド。★
- 標準32MB、最大64MBの RAM (ただし ROM イメ−ジも含む)
- ハ−ドリセット時には CF カ−ドから OS を読むので、アップグレ−ド可能。
- LAN (Ethernet) に対応 (ただし現在はまだα版ドライバのみ)
- CF スロットで Microdrive が使えるので、大容量の辞書やドキュメントを
常に手元に置いておくことが可能。★
- CPU が速いので、OPL のトランスレ−ト等での待ち時間がかなり減る。★
- netBook の悪いところ
- カラ−ディスプレイとは言え、STN 256色なので、写真を見たりするには向かない。★
- ディスプレイが大きくなったので、タッチパネルを使うために
指を大きく浮かす必要があり、5mx ほどは使い勝手が良くない。★
- ディスプレイが大きいのに GUI が同じなので、
ファイルサイズを見たりするのが不便なのは相変わらず。
- 本革の外装は格好良いが、新品のうちは匂いがきつい。★
- Microdrive を使用できるのは良いが、EPOC (EIKON) が
しょっちゅう全ディレクトリをサ−チに行くので、待ち時間が多くなる。
運用方法で、ある程度のカバ−は可能。★
- 標準 32MB のメモりは、ROM イメ−ジのため使える領域は 19MB 程度で、
Series7 とそれほど変わりが無い。
Microdrive を使う場合、そちらに置いたアプリケ−ションの起動が遅くなるのを避けるため、
64MB に増設したくなる。
- LAN (Ethernet) に対応しているのは良いが、対応カ−ドが少くて割高。
今のところ、100Mbps (100base-TX) に対応しているカ−ドも無い。★
- 電池が充電式である。もっとも、私の場合はあまり持ち運ばない前提なので、
それほど気にならない。★
付録1: 「netBook で使えるイーサカード実験大会」の報告
この項目は、こちらのページに移しました。
reishi@anet.ne.jp 近藤玲史
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