清原だ桑田だと言って、彼らの生き様や逸話に涙しても、俺より二つも若い。
これは言っても仕方ないことで、むしろ、どれだけ若い人と付き合うかってことだと思う。
無理して若ぶってもしょうがないし、威張って見せてもどうしようもない。
十五年以上やっている本業の世界では、誰が上でも下でもなく、健全な仲間関係が出来ていて、お互いを尊重し合いながら、いいバランスが取れていると、俺は思う。
が、次郎は別なのである。
二〇〇六年の夏頃、何を思っていたのだか、俺自身すら判らない気分の中、赤坂に部屋を借りた。
台所に生ゴミは溜めるまいという強迫観念にも似た思いから、俺は、街で飯を食っていたのだった。
赤坂見附駅にほど近い鮨屋……週に三度は行っていたその店で、俺は次郎に会ったのだ。
始まりの予感・・・