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社説1 2次補正・本予算の早期成立が先決だ(12/26)

 臨時国会が閉幕した。「政局より政策」と強調していた麻生太郎首相が第2次補正予算案の臨時国会提出を見送り、急激に悪化する景気・雇用情勢への対策が後手に回ったのは痛恨の極みである。深刻さを増す景気情勢を踏まえれば、来年1月5日に召集される通常国会で2次補正と来年度予算案を1日も早く成立させることが与野党の責務である。

 臨時国会では金融機能強化法とインド洋給油活動継続法が成立したが、2次補正先送りで景気対策では目立った成果を上げられなかった。終盤に民主党が提出した雇用対策法案も政府の無策ぶりを際立たせる国会戦術の域を出なかった。

 来年の通常国会は冒頭から波乱含みである。民主党は早期の衆院解散に追い込むため、2次補正審議に際して定額給付金を分離する修正案を提出して与党を揺さぶり、与党がこれに応じない場合は徹底抗戦する戦術を描いている。

 自民党は2次補正と本予算案の早期成立のために強行採決の連発も辞さない構えだが、麻生政権の求心力低下で、与党内の結束力に陰りが出ている。衆院の3分の2以上の賛成が必要な再可決に際して、与党から造反がでないかどうか不安な面も抱えている。

 景気や雇用情勢の先行きは予断を許さない。とりわけ3月の年度末は企業の資金繰りが一段と厳しくなるとの見方が多い。与野党の不毛の対立で2次補正や本予算案の成立が遅れ、悪化する景気の足を政治がさらに引っ張るような事態は何としても回避すべきである。

 2次補正の早期成立と本予算案の年度内成立を図るため与野党が話し合いを尽くし、必要なら予算修正することがあってもいい。定額給付金には自民党にも異論が少なくない。道路特定財源の一般財源化が中途半端に終わったことへの不満も出ており、与党も強硬路線だけで突き進むのは容易でない。

 審議が難航するような場合は、麻生首相が話し合い解散を呼びかけ、野党に審議促進で協力を求めることも真剣に検討してもらいたい。2次補正と本予算案が成立するなら、与党としてもこれ以上、衆院解散を引き延ばす合理的理由はないはずだ。

 民主党も不必要な引き延ばしや審議拒否で2次補正や本予算案の成立を遅らせてはならない。定額給付金やガソリン税の暫定税率に反対なら、採決で態度を明確にすればいい。いたずらに審議を引き延ばせば、有権者の批判が民主党に跳ね返ってくることを覚悟すべきである。

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