農林水産省は25日、日本農林規格(JAS)法違反で2008年度中に国と都道府県が改善を指示・公表した事例81件のうち、九州に本社を置く業者が25.9%の21件あり、全国9地区で最多だったことを明らかにした。都道府県別では、福岡県が10件で全国トップで、2位の大阪、千葉(各5件)を引き離している。
九州で食品偽装が多いことについて同省は(1)アサリやタケノコなど食材の産地(2)中国に近く輸入食品を扱う業者が多い(3)汚染米不正転売事件の現場となった三笠フーズの工場が福岡県にあり、関心が高く情報提供が増えた‐ことが背景にあると分析している。81件は25日現在の数字で、07年度の84件に迫っている。九州の内訳は、福岡十▽佐賀二▽長崎三▽熊本一▽大分三▽宮崎一▽鹿児島一。
JAS法では、違反業者の事業拠点が複数の都道府県にまたがる「広域業者」は国が、一県だけの「県域業者」は都道府県が処分する。九州の21件のうち広域業者は8件。長崎県内の工場で中国産の冷凍野菜を国産と偽装していたキャセイ食品(東京)のように、九州に工場や協力業者がいた事例が別に4件あり、広域業者案件31件の約4割の12件が九州と関係があった。
農水省が設置している「食品表示110番」への情報提供は、汚染米事件が発覚した9月5日以降急増。同省の調査担当者は「特に九州では、業界関係者から内部告発のような有力な疑義情報が多く寄せられ、偽装発覚に結びついた」と話している。
=2008/12/26付 西日本新聞朝刊=