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教職員の病気休職:精神疾患、4995人に 15年連続で増加--昨年度公立校

 07年度にうつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は4995人(前年度比320人増)で過去最多だったことが、文部科学省の調査で分かった。15年連続の増加で、01年度(2503人)の約2倍。病気休職者に占める割合も13年連続で増え、過去最高の61・9%(前年度比0・8ポイント増)に達した。文科省は「重大な結果。教員のメンタルヘルス保持の取り組みを充実させたい」とコメントした。

 全国の公立小中高校や特別支援学校などの教員計約92万人を対象に調査。病気休職者全体の数も8069人(414人増)と過去最多で、14年連続で増えた。精神疾患の大多数はうつ病で、適応障害やパニック障害、統合失調症なども含まれる。年齢別では40代(37・5%)と50代以上(35・2%)で7割以上。文科省によると(1)従来の指導法が通用しなくなり自信を失う(2)保護者との関係が変化し説明を受け止めてもらえず悩む(3)業務の多忙化や複雑化(4)家庭の事情--など複数の要因が絡んだケースが目立つ。

 ◇懲戒処分は1万2887人に

 調査では07年度に懲戒処分(監督責任を除く)を受けた教員が1万2887人だったことも判明。前年度比1万1728人の大幅増だが、1万1893人は北海道で、査定昇給制度に反対する争議行為で処分された教員だった。

 処分の理由別では▽酒気帯びを含む飲酒運転81人(前年度比20人減)▽わいせつ行為139人(31人減)▽体罰124人(45人減)▽公費不正執行または手当などの不正受給40人(24人増)などだった。【加藤隆寛】

 ◇地方公務員全体、最多の2万326人

 教員、警察官を含む地方公務員全体で07年度に懲戒処分を受けたのは2万326人と、過去10年間で最多となったことが25日、総務省のまとめで分かった。2万人を超えたのは84年度以来。問題がある職員を免職・休職させる「分限処分」を受けた地方公務員も2万2686人で、記録のある60年度以来最多となった。【石川貴教】

 ◇ベテランの挫折、増加 指導通用せず孤立深める

 心を病む先生が増え続けている。精神疾患で休職する教員数が過去最高となった文部科学省の調査結果。ベテランの先生でも手のかかる児童生徒に立ち往生し、多忙の中、孤立を深めている。

 「最近多いのは、40代後半から50代のベテラン教員の挫折」と話すのは、北九州市教育委員会内で教員の相談にのる保健師だ。「立って騒ぐ子に注意しても、これまでの指導が通用しない。授業が成立せず、保護者のクレームが入り始めると対処が難しい。夜間の家庭訪問など時間外の仕事も続き、精神的な病に陥る例がある」

 最長期限の3年休職して復職したものの、辞めていく教員もいる。休職期間が長いほど復帰は難しい。

 学年主任として生徒間トラブルの処理に奔走した関西地方の50代の男性教員は、自律神経失調症と診断され今春から休職した。きっかけは肩の重い痛みと右腕のしびれ。脳血栓の前兆と思い受診したが異常はなかった。「授業後に口が乾き強い疲労に襲われるようになった。休む理由を探す自分にがくぜんとし、心療内科でストレスが原因とわかりました」

 東京都教職員互助会の三楽病院で、年900件近くの相談に対応する臨床心理士の溝口るり子さんは「悩みがあっても同僚は忙しそうで相談できず、抱え込んでしまう教員も多い」と話す。

 団塊世代の大量退職で、経験の浅い若手教員も増えている。教員の相談にのる東京メンタルヘルス・アカデミーの武藤清栄所長は「子ども同士のトラブルにどう介入していいかわからない教員が増えている。受験、受験で教員採用に至った人も多く経験不足。相談すれば楽になるのに、『余計なことを話せば自分が傷つく』と孤立しがち」と指摘する。

 07年度に精神的な病で休職した教員は全教員の0・55%。だが武藤さんは、時々休んだり、抗うつ剤を服用したりして働く教員はその5倍程度に上ると推測、休職予備軍のすそ野は広いとみる。【山本紀子】

毎日新聞 2008年12月26日 東京朝刊

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