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家庭負債で経済危機は起きるか(下)

 しかし、最近の景気低迷で所得が減少し、ローン返済を延滞する人が少しずつ増えている。昨年末に0.55%だった銀行の家庭向け融資延滞率は9月末には0.58%へと0.03ポイント増加した。担保になっているマンション価格が2006年下期のピーク時に比べ30-40%下落し、一部地域の債務者はマンションを売却し元金を返済するのもままならない状況だ。

 金融機関も担保の住宅を裁判所の競売に付しても融資全額の回収ができない状況が生まれている。競売コンサルティング業者「GGオークション」によると、最近1年間に競売市場で落札されたソウル市内のマンションの16%は負債を返済し切れない安値で競り落とされた。ソウル市松坡区と城南市盆唐地区では落札価格がそれぞれ27%、54%も債務を下回った。

◆景気回復の足かせに

 借金でマイホームを購入した世帯がローン負担に耐えられず、返済が滞るようになれば、金融機関が担保として確保している住宅の売却が相次ぎ、住宅価格はさらに下落する可能性が高い。そうなれば、金融機関はローンを回収することができなくなり、さらに経営状態が悪くなる。つまり、企業の資金不足が内需不振、景気低迷へとつながる悪循環を招くことがあり得る。

 専門家は景気後退と不動産価格の下落が重なっていることを懸念している。韓国開発研究院(KDI)の金炫旭(キム・ヒョンウク)博士は「特に金融資産を持たない低所得層は景気低迷で雇用事情が悪化すると、延滞リスクにさらされるため、家庭負債の不良債権化が加速化する要因になる可能性がある」と指摘した。

 ハナ金融研究所のキム・ワンジュン研究委員も「政府が雇用不安に対応した社会のセーフティーネットを拡充し、家庭も融資の早急な返済をするなど、財務構造の健全化に向け努力すべきだ」と強調した。

李敬恩 (イ・ギョンウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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