Print this Post Article Lists Back

家庭負債で経済危機は起きるか(上)

 ソウル市に住む自営業者のAさん(50)は先ごろ、銀行から恐ろしい警告書を受け取った。金利支払いをあと1回延滞すれば、融資の担保になっているマンションを競売処分するという内容だった。2年前に銀行から3億ウォン(現在のレートで約2000万円)を借り、江南地区にマンションを購入したが、商売がうまくいかずに利払いが2カ月滞ったところ、銀行から通知が来たのだという。Aさんは「元金分をいくらかでも取り戻そうと思えば、家を安値でも急いで売り払わなければならないようだ」と話した。

 金融会社の従業員Bさん(40)は最近、倹約生活を送っている。昨年住宅価格が底を打ったと判断し、銀行から2億ウォン(同約1400万円)を借り購入したマンションの価格がいつの間にか1億ウォン(約700万円)以上も下落してしまったためだ。Bさんは「住宅価格が値下がりし、雇用も不安になり、支出を抑えている」と語った。

 このように巨額の家庭向け融資に「黄信号」がともった。住宅価格が下落する一方、貸出金利は下がらず、ローンを組んで住宅を購入した人は返済負担に苦しんでいる。彼らは財布のひもを締め、消費を減らし、ただでさえ冷え込んだ内需を凍りつかせている。

 専門家は家庭の負債増加が住宅価格の下落と重なり、韓国経済破たんの新たなきっかけになる可能性があると懸念している。ついに金融当局は全方位的な家庭債務の不良政権化防止プログラムを稼働させた。金融当局の対策は家庭が借金返済を延滞しないよう金融支援を行うことを骨格としている。

◆雪だるま式に膨らむ家庭負債

 家庭の負債規模は既に適正水準を超えている。9月末現在の家庭の負債残高(家庭向け融資とクレジットローン)は676兆321億ウォン(約46兆7000億円)で、初めて1世帯当たり4000万ウォン(約280万円)を超えた。

 家庭の負債が急増する原因は住宅担保ローンだ。4-6月期現在で住宅担保ローンが負債全体に占める比率は34.8%に達する。不動産価格が上昇するとレバレッジ効果(投資のために借り入れをして利益を得ること)を狙って、銀行資金でマンションを購入した人が多かったためだ。

李敬恩 (イ・ギョンウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る