Divers eye 王道の誇り 坂田健史 〔後編〕
今は大晦日の試合に集中しているだろう坂田。しかし、あえてその後の私生活について聞いてみた。すると坂田は笑顔で答えてくれた。
-やはりこの試合が地元への凱旋という意味でも、ひとつの大きな区切りになると思います。その後には、二世誕生ということも考えられます。
そうですね(笑)。子どもがほしいなって最近思ってるんです。そろそろ結婚生活も落ち着いてきましたし。
-男の子と女の子、どちらがほしいですか?
男の子がほしいですね、できれば。
-それはボクシングをさせたいということですか?
いや、あんまりボクシングはさせたくないですね(笑)。
自分からは絶対すすめないと思います。
-「やりたい」と言ってきたら?
うーん・・・。そりゃ「やりたい」って言ってきたら、やらせたくはないですけど、絶対にやるなとは言えないですからね。自分がやってるのに(笑)。ただ、ひとつ言えることは、
子どもが物心つくまでは、なんとしてでも世界チャンピオンでいたいということですね。
-ボクシング漫画の『はじめの一歩』(森川ジョージ・原作)が好きと聞きましたが、他には好きな漫画やアニメはありますか?
基本的に漫画は好きなので、今でも、何でも読んでますよ。『北斗の拳』とか『ドラゴンボール』とか、あとやっぱり『あしたのジョー』も。好きな漫画を数えたらきりがないですね。
-好きな芸能人はいますか? 以前は乙葉さんが好きだと言っていましたが。
そうですね。でもそれはだいぶ前に言ってたので、今言われると恥ずかしいですね(笑)。でも、本当にきれいな人だなって思ってました。
-それは、乙葉さんが結婚してしまって、好きではなくなったということですか?
違いますよ(笑)。今でも素敵な方だと思いますよ。
-テレビは見ますか?
まあ、時間がある時だけですけど、バラエティ番組とか見ますね。練習をして、家に帰って食事をしたりお風呂に入ったりしていると、なんだかんだで11時くらいになってしまうんですけど、その時にやってるテレビを見たりはよくします。自分がテレビに出た時も見るんですけど、結構恥ずかしいですね(笑)。
プライベートについて語る坂田の表情は、どこにでもいる普通の青年の顔だった。この身長163センチの28歳の男のどこに、あの不屈の闘争心が宿っているのか、不思議になった。
-これから減量期間に入り、試合に向けて精神的にもナーバスになると思いますが、気をつけることはありますか?
毎試合恒例で、1ヶ月ほど前に2週間、ハワイで走りこみのキャンプをします。気候的にも暖かいので怪我をしにくいのもありますからね。ここでたくさん食べて体力をつけます。その後、試合までの1ヶ月間は東京のジムで練習をして、夜は自宅に帰る生活をします。選手によっては自分ひとりになって集中力を高める人もいますが、僕の場合はいつもどおり妻と過ごした方が集中力が高まるタイプなんだと思います。だから特別ピリピリするようなことはないですね。自然に集中力は高まっていきますね。
-ジムと自宅は近いんですか?
いえ、電車で通ってます。協栄ジムでは現役選手は車の運転は禁止なんです。お酒もたばこも禁止です。たばこは健康的な面でスポーツ選手には向かないということですが、お酒や運転は自分や相手選手と命をかけて戦っているボクサーは、私生活でも、事故などの確率のある行動は取ってはいけないということです。もしお酒を飲んでプロボクサーが誰かを殴ったりしたら大変なことですからね。
普段の行いが、そのままボクシングに現れてくるんだと思います。
-尊敬する人はいますか?
ぼくの中では世界チャンピオンになった人たちは、全員尊敬する人物ですね。
ぼくは4回挑戦して世界チャンピオンになりましたけど、何度も挑戦して世界チャンピオンになった選手もいれば、1回目の挑戦で世界チャンピオンになった人もいます。挑戦回数とかはそれぞれ違いますが、みんなすごい苦労と努力を重ねたことだけは確かです。だからみんな尊敬しますね。ボクシング以外でも、スポーツの第一線で活躍している選手は尊敬しますね。たとえば北京オリンピックを見ていた時もそうだったんですが、やっぱり自分と重ねて見ることが多いんですね。今、こんな精神状態なんだろうかとか。こんな大きな舞台で、よくあれだけの実力を発揮できるなとか。そういう視線で見てしまうことが多くて、だからこそ、スポーツの一線で活躍している選手たちのすごさがわかりますね。
-好きな言葉はありますか?
好きな言葉っていう風に、特別意識して考えたことはないんですけど、やっぱり、
「あきらめないこと」は、大切だと思いますし、好きな言葉ですね。ぼくも試合中に、もうダメだ、戦っていられないという状態になったことが、何度もあるんですけど、そんなぎりぎりの時でも「あともう少しがんばろう」と思って乗り越えてきたので、どんなに苦しくてもつらくても、「あともう少しだけがんばろう」と考えて「あきらめないこと」を大切にしてますね。ボクシングは特に一発勝負ですから。今日負けても明日がある、ということはないわけです。だから、「あきらめないこと」の大切さを痛感しています。
-数あるスポーツの中で、ボクシングを選んだ理由は何ですか?
ボクシングって単純じゃないですか。拳だけで殴りあって、強さを競い合うっていう、シンプルなところが気に入りました。それであこがれたんだと思います。そんなシンプルなルールの中で、自分が強くなりたいっていう気持ちはいつもあります。強くなった自分をお客さんに見てもらいたいと思っています。しかし、いつまでもその時点での最強のさらに上があると思うので、「自分が強い」とは、世界チャンピオンになった今でも思えませんね。思った時点であきらめたっていうことですから。そうなったら引退しなければなりません。
だからどんなことでもあきらめずに、今できることを全力でやって生きていきたいです。大晦日は、良い試合をお見せできる自信があります。ぜひ、応援よろしくお願いします。
「あきらめない」。「あともう少しだけがんばろう」。単純なことだが、それを実践することによって坂田は世界チャンピオンに登り詰めた。これはボクシングとは関係ない、われわれの人生にも当てはまることだろう。坂田は試合を通じて、そんなことを観客に伝えたいのかもしれない。
WBA世界フライ級タイトルマッチ、王者坂田健史VS挑戦者デンカオセーン・シンワンチャーは2008年12月31日、ゴングが鳴る。
(文責・近添真琴)
プレゼントの応募は締め切りました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
坂田健史選手から、サイン入りTシャツ、
サイン入りスタッフパス(前回の試合のもの。12月31日の試合では使えません)、
そして12月31日の試合のスポンサー席チケットをいただきました。
抽選で、Tシャツは1名様。
スタッフパスは3名様。
スポンサー席チケットはペア1組の方にプレゼントいたします。
(画像クリックで拡大画像を見ることできます)
応募締切:平成20年12月24日(水)
当選者の発表は、発送をもって代えさせていただきます。
坂田選手への熱いメッセージを添えてご応募ください。
メッセージは、DI-VEに掲載させていただくこともございます。