TOP > 【Design Studio】 プロボクサー 坂田健史氏 VOL.4

Design Studio プロボクサー 坂田健史氏

苦しい3年間で変わったこと 何度戦っても、試合は怖い

何度戦っても、試合は怖い


--試合前日~当日はどのように過ごすのですか? まずは計量が終わり、リングに上がるまでの間の食事から教えてください。

「計量は試合前日の昼間に行われるんですが、無事パスすればあとは好きなものを食べて構いません。

僕らのジムの場合、毎回決まったレストランに連れて行ってもらうんです。必ず食べるのが、350グラムのジャンボハンバーグと大盛りご飯2~3杯。かなりお腹いっぱいになるのでその分、夕食はあまり食べられないですね。水分ももちろんしっかり取りますが、飲み過ぎないように注意しています。

試合当日はこの前の試合の場合、14時の試合開始に合わせ朝7時ごろに食事をしました。前日、計量が終わった後すぐにたくさん食べて夕食は少なめにするので、翌朝はしっかり。炭水化物を多く摂取するために、パスタを食べることが多いですね。今回はキャベツとベーコンのパスタでしたが、基本的に脂っこくないようにしてもらいます。試合前は毎回そんな感じです。

水はある程度好きに飲むんですが、冷たすぎてお腹を壊さないように気をつけています。水の種類には、特にこだわりはないですね。

その後は試合まで、ほとんど食べません。試合直前にお腹がすくと、ゼリーなどで栄養を補給します。試合中はすきっ腹ぐらいがちょうどいいんですよ」

--試合前の控え室では、どのように過ごすのですか?

「試合開始2時間前には控え室に入り、音楽を聴きながらストレッチや軽いアップをして、できるだけリラックスするように心がけています。その際には思いついた動きをしてみたり、今まで練習してきた動きを確認したりもします。そして試合開始15~20分前にグローブを付け、そこから一気に集中していきます。

控え室から出てリングに上がるまで、緊張状態が続きます。心境としては、もうやるしかない、という感じですね。正直、試合が始まるまでは、どれだけ自分に大丈夫だと言い聞かせても怖いです。

完全に開き直るのは、ゴングが鳴った瞬間。その時には緊張から、ある程度解放されます。正直、考えている暇もありませんから」

--試合中はどのような心境ですか?

「基本的に、12ラウンドで試合を作っていくことで戦略を考えます。ただし、トレーナーが立てるプランは、試合の状況によって変わっていきます。そのためラウンド間のインターバルでトレーナーから指示を受けるんですが、いつも的確なことを言ってもらえるのでありがたいですね。何せ、細かいことをたくさん言われても頭に入りませんから。

あとはとにかく、練習を信じること。試合では、練習でやってきたことしか出せませんからね。また試合中、相手が予想外の動きを仕掛けてくることもよくあります。そんな時はどうしても慌てますが、気持ちをすぐに落ち着けることが大切。そして、トレーナーからの指示を待つようにします。

試合に勝った瞬間はもちろん、言葉で言い表せられないほどうれしいですよ。その喜びがあるからこそ、きつい練習もやっていけるんです。何度挫折しても世界への挑戦を諦めなかったのは、勝った瞬間のあの素晴らしい喜びを忘れられないからなんです」

バックナンバー
VOL.3 : 正直、反省だらけの試合。最後まで、勝ちを確信することができませんでした
VOL.2 : 続けることの大切さ。それはプロ選手も一般の方も同じです
VOL.1 : デビュー以来、欠かさずつけている練習日記が体調管理のヒントになっています

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坂田 健史(さかた たけふみ)
プロボクシングWBA世界フライ級チャンピオン
1980年生まれ。広島県安芸郡出身。
2007年3月 WBA世界フライ級チャンピオン獲得

協栄ボクシングジムのホームページ
http://www.kyoei-boxing.co.jp/index2.html

坂田健史オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/takefumi-sakata/

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