TOP > 【Design Studio】 プロボクサー 坂田健史氏 VOL.4
プロボクシングWBA世界フライ級チャンピオン 坂田健史さんにお話をうかがいます。第4回目となる今回は、3度にわたる世界タイトル挑戦の苦労、試合前日から当日にかけての過ごし方などについて語っていただきました。7月まで5回にわたり、坂田さんのインタビューをお届けします。
編集:佐伯幸治(AirHead)/文:前田成彦(Office221)/写真:和田達彦
--坂田選手は今まで、どんな人に影響を受けてきたのですか?
「ボクシングを始めるきっかけになったのは、マイク・タイソンなんです。力強くてスピードにあふれ、豪快でわかりやすいボクシングをしますからね。実際には体格がまるで違うので、ああいうボクシングスタイルを真似しようとは思いませんでしたが。
協栄ジムに入ってからは、先輩の佐藤修さん(元WBA世界スーパーバンタム級チャンピオン)ですね。3歳違いの先輩でずっと一緒に練習してきて、背中を追いかけてきたんです。佐藤修さんは毎日の練習に本当に集中して、常に100%の力を出し切る練習をやっていた。それを見ていつも、自分の甘さを実感していましたね」
--坂田選手のキャリアを振り返ってお伺いします。2004年から2006年にかけて3度も世界挑戦に失敗していますが、この時、ボクシングを辞めてしまおうと思ったことはなかったのですか?
「ここまでずっとやってこられたのは、世界チャンピオンになりたいという目標があったから。でも正直、世界戦で3度負けた時は本当に苦しかったです。いつ、次の世界戦を組んでもらえるかもわからないので、正直辞めようかとも思いました。
でもそのたびに、今辞めたらいつか後悔するんじゃないかと思い直して…。応援してくれる周囲の人達のためにもあとちょっとだけやってみよう、と気持ちを立て直し、頑張ったつもりです」
--最初の世界戦からタイトルを奪取するまで、3年の月日がかかりました。この間、さまざまな試行錯誤があったと思います。
「例えば一人ハワイで練習してみたりとか、いろいろやってみましたよ。でも結局、特別なトレーニングなんてないんです。パワー、スピード…世界戦で足りなかったものは何なのかを考えながら、毎日の練習に取り組むしかない。結局、例えばサンドバッグを打つ時に一発一発意識を込める、といった些細な積み重ねが大事なんです。
また、食事やコンディション調整についても考えましたね。特に食事。昔はあまり気を使わず好きな物ばかり食べていたので、それを見直しました」