来春の採用内定者宅に入社予定の企業から手紙が届いた。封を開くと「内定取り消し」の文字。ドキッとした次の瞬間、安堵(あんど)へと変わった。
「内定取り消しが盛んに言われています。さぞご心配でしょうが、わが社は決して取り消しなどはいたしません」とある。会社の経営の安定性や若い力への期待を記し、「残る学生生活を有意義に」と結ぶ。直筆の社長の署名を添えて。
不安な日々を送っているのではと気遣う会社の誠意がにじむ。雇用環境が厳しさを増すだけに、ちょっとした心配りが元気を与える。会社への信頼感も増すことだろう。
非正規労働者を中心に人員削減の嵐が吹き荒れている。従業員寮からの立ち退きを求められて路頭に迷い、年越しが危ぶまれる人も多い。何とも重苦しい年の瀬である。
そんな中、炊き出しや物資の提供など各地で支援の動きが広がりつつある。農業や介護など人手が必要な業種と結び付ける試みや、所有する空き部屋を安く貸すとともに仕事を提供して双方のメリットになるよう工夫する企業もあるそうだ。
厳しい時だからこそ支え合いが光る。今日はクリスマス。麻生サンタクロースは「雇用の安定重視」と予算案の大袋を誇らしげに示す。果たして中身のプレゼントが人々に安心感と夢を与えられるだろうか。