2008年12月26日
「思想地図」(NHK出版)を買ってください
12月25日に発売の「思想地図」(NHK出版)に、私の書いた文章が出ています。
特集「ジェネレーション」は今年の6月に発売になった「思想地図」第一巻特集「日本」に続く第二巻だ。
このところ、「ロスジェネ」など思想誌の創刊が相次いでいるが、その代表が東浩紀・北田暁大編集によるこの「思想地図」である。いっぽうで総合誌といわれる「論座」と「現代」が相次いで廃刊となり、好対照を見せている。
これまで、ちょくちょく「論座」に、かなり前には「世界」に書かせてもらったりしてきたが、このたびは若手に混じって執筆の場を与えてもらい、大変光栄に思っている。ところが、たぶんこれまでの私の読者は「思想地図」なんかに手を伸ばさないのではないだろうか。
それは大変残念なことであり、ひょっとすると残念を通り越して大きな損失ではないかとすら思う。
デカルトに始まる近代哲学から派生した比較的新しい学問としての臨床心理学は、フロイト、ユングという二大巨頭(ひょっとしてユングは外れるのかもしれないが)を脱構築する理論を求めてきた。別に理論的要請ではなく、明らかに臨床の場である現実がそれを求めていると思うのだ。
私は常日頃、その指標を臨床心理学の内部ではなく、メタ的立場としての社会学に求めてきた。そのことはさまざまな文や講演などで、理解可能な範囲で控え目に述べてきたが、同業者からの理解は少なかった。
むしろ社会学周辺の研究者からエールを送られることが多く、私のポジショナリティを少々不安定にしたことは確かだ。
でも、私は別に臨床心理学の研究者ではなく、一介のカウンセラーとして生きているのだから、その立場からすればどのような領域からどのように評されようと、日々の私のクライエントとの関係にはそれほど影響はない。
臨床活動こそが、私にとっては自己言及的視点を与えてくれ、日々の言動に批判的視線を内在化させてくれる契機なのだから。
というわけで、ぜひぜひ普段手にとってみないような「思想地図」を買ってやってください。
これはNHK出版の編集者KさんとOさんに代わってのお願いで~す。