日本で生まれ育ったものの、両親が不法滞在だったため、フィリピンへの国外退去を命じられている中学1年生の少女。その姿をこれまでもお伝えしてきましたが、クリスマスの25日、同じ境遇にある子供たちが、法務省前に集まりました。その思いは・・・
両親が不法滞在だったために国外退去を命じられている、中学1年生のカルデロンのり子さん(13)。生まれ育った日本に残してほしい。のり子さんはその願いを署名に託しています。
「寒い中、お疲れさま」(署名する人)
先月、入国管理局は滞在期限を来年1月14日まで延長しましたが、その先も日本で暮らせる保証はありません。
「時間が過ぎる度に1月14日が近づいて来て、不安でいっぱいになります」(カルデロンのり子さん)
実は、外国人の両親を持ち、日本で生まれ育った子供が国外退去を迫られているケースは、のり子さんだけではありません。今月20日、都内で開かれた集会。同じ立場におかれた22人の子供たちが集まりました。
集会が終わってのり子さんが話しかけたのは、群馬県の公立中学校に通うフィリピン国籍のアルバレス・ラニエルさん(13)でした。2人は早速、携帯電話の番号やメールアドレスを交換。
「きょう初めて会ったんですけど、自分だけではなく、同じくらいの年で(他にも)同じ問題で苦しんでいるんだなと分かりました」(カルデロンのり子さん)
「私はすごくうれしい、のり子ちゃんと会えて」(アルバレス・ラニエルさん)
24日、ラニエルさんは両親と4歳の弟と一緒に、地域の教会でクリスマスイブを過ごしました。
ラニエルさんの両親は15年以上前に来日、自動車工場などで働いてきました。ラニエルさんと弟は日本で生まれ育ちましたが、2年前、不法滞在を理由に父のニーロさんが入国管理局に一時収容され、一家は国外退去を命じられました。その時初めて両親の不法滞在を知ったラニエルさんは、母親にこう訴えたといいます。
「私は居なかった方が良かったのかな」(ラニエルさん)
「そんなことないよ。そんなことない・・・」(ラニエルさんの父・ニーロさん)
おととしのクリスマスイブを、ラニエルさん家族は離れ離れのまますごしました。父親が入管に収容されていたからです。しかし、今年は・・・
「今のクリスマス、本当にすごいうれしいんですよ」(父・ニーロさん)
「パパ泣いちゃダメだよ」(ラニエルさんの弟)
「ごめんね」(父・ニーロさん)
「だから今日が、本当に最高のクリスマスですね」(ラニエルさん)
25日、東京・霞が関の法務省の前には、国外退去を命じられた30人を超える子供たちが、滞在資格を認めてほしいと訴えました。日本にはこうした子供たちが5万人近くもいる可能性があるといいます。
「不法滞在の責任は、子供たちにはまったくない。(強制送還は)子供の心に大きな傷を残すことになる」(支援団体『A・P・F・S』 吉成勝男さん)
支援団体は、長い間日本でまじめに働き、子供が日本での生活に定着しているような家族には、滞在資格を与えていくことを検討すべき時期に来ていると訴えています。(25日16:39)