チーム医療と看護教育の在り方でヒアリング
「看護の質の向上と確保に関する検討会」(座長=田中滋・慶大大学院経営管理研究科教授)の第3回会合が12月25日に開かれ、チーム医療と看護教育の在り方について、委員と外部の有識者からヒアリングを行った。
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■チーム医療に「予測力」が必要 坂本すが委員(東京医療保健大・医療保健学部看護学科学科長)と太田秀樹委員(おやま城北クリニック院長)が、それぞれの立場からチーム医療の推進について意見を述べた。
坂本委員はチーム医療がうまくいく条件として、▽医師が信頼する看護師の存在▽看護師や助産師の仕事に対するやりがい▽役割分担が明確▽病院全体としてのプロトコル―の4点を指摘。患者のニーズに迅速に対応できるため、チーム全体が良い関係になるとした。
坂本委員はまた、これからのチーム医療のキーワードは「予測力」だと指摘。以前は医師と看護師の間にあうんの呼吸が存在したが、医師、看護師、患者の流動性が増した現在の急性期医療では、以前のような関係づくりは難しいとして、「チーム医療で信頼を得るためには、予測する力が必要だ」と強調した。さらに坂本委員は、多様な教育を行うためには「現在の3年(課程)では苦しいと思う」との認識を示した。
一方の太田委員は、自身が運営する訪問看護ステーションなどの事例を紹介。その上で、訪問介護におけるチーム医療の手法について、▽顔の見えるコミュニケーション(世間話できる関係性)▽情報共有ツール▽ケアカンファレンス参加―の3点を指摘した。
坂本委員の意見を受け、福井次矢委員(聖路加国際病院長)が「米国のナースプラクティショナーより幅広い仕事を任せられるようなシステムづくりも可能ではないか。そのシステムづくりに取り掛かるべきだ」と主張。これに対し、羽生田俊委員(羽生田眼科医院長)は「ナースプラクティショナーの定義が固まっていない。名前だけが独り歩きしている。今のままでも十分にできる。やらせていないだけだ」と反論した。
西澤寛俊委員(特別医療法人恵和会理事長)は、「医師不足の現在、本来は医師がやらなければならないことを看護師がやっている場合もある。それが本来の看護師の役割かどうかは違和感がある」と指摘。医療教育の現場について、「医師は看護学校を、看護師は医学部を知らない。教育が縦割りになっているので、相互に理解する必要がある」と述べた。坂本委員はこれに賛意を示した上で、「ドクターの指示を聞くだけでは、判断力は身に付かない。思考の深さを鍛える必要があるが、今の看護教育では時間がない。もっと(教育の)期間が必要だ」と訴えた。
■「大学の保健師実習は限界に」
一方、東京都立板橋看護専門学校の齊藤茂子校長と神奈川県立保健福祉大の小山眞理子教授は、教育現場の現状と課題について説明した。
齊藤校長は、同校の入学者が「高卒・18歳・女性・未婚」から「高学歴・社会人・男性・既婚」に変化している現状を説明し、教育内容を変える必要性を指摘。
看護師養成所の今後の課題として、▽18歳人口が減少する中での入学者数の確保▽教員数の確保と資質向上支援―などを挙げ、4年制化については「教育期間の延長は必須」としながらも、大学と養成所は並存すべきだとの私見を述べた。
小山教授は、同大の基本理念やカリキュラムなどを具体的に紹介した。その上で、大学での看護基礎教育の問題点として、必修科目数と教員の担当時間数の多さを指摘。「(看護師の)指定規則に阻まれて必修科目が多くなってしまう。創造性の能力を育成する時間的なゆとりがない」と説明した。
草間朋子委員(大分県立看護科学大学長)は、「看護師の教育でも3年では限界に来ているとなると、大学の統合カリキュラムで保健師の教育までしているのは問題だと思う。看護師の基礎教育を土台に、保健師の質も向上が必要だ」と述べた。また、坂本委員は「もう保健師の実習は限界。『あんなことしか学んでいないのなら、もういらない』という現場の声もある」と明かした。
■「実践があってこそ看護」
舛添要一厚労相は、「医療水準が上がり、現場に出た時にすぐに適応できず、がっかりして辞めてしまうケースがあると聞いている。これをどうすればよいのだろうか」と質問。
これに対し、齊藤校長は「看護は実践があってこそ看護。どれだけ養成期間を延長しても、実務経験がなければ厳しいと思う」と答え、小山教授は「学生たちが『できない』と言うことを悲観的に見るのではなく、自分を客観的に見ているのだと思ってほしい」と、即戦力を求める現場関係者への理解を求めた。坂本委員は「早く行って何かをさせると思わせるのが問題だと思う。できなくても『今はいいんだ』と考えさせる教育をしなければならない」と述べた。
次回の会合は来年1月21日に開かれ、中間取りまとめに向けた議論に入る。厚労相は1月中旬をめどに何らかの方針を出すとしているが、次回でまとまるかどうかは不透明だ。
更新:2008/12/25 20:46 キャリアブレイン
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